Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

Moto3 佐々木歩夢 SIC Racing Team

Moto3 佐々木歩夢 SIC Racing Team
Profile
生年月日
2000/10/04
出身地
神奈川県(日本)
身長・体重
170cm・62kg
チーム(マシン)
SIC Racing Team(NSF250RW)
2017年の成績
Moto3 総合20位
Vol.3

SIC Racing Teamの佐々木歩夢は、デビューイヤーとなった2017年をランキング20位で終えました。全18戦中8戦で入賞しポイントを獲得、ベストリザルトは第16戦オーストラリアGPでの7位。また、最終戦のバレンシアGPを終えて、ルーキー・オブ・ザ・イヤーも獲得しました。今シーズンの戦いを振り返った佐々木は、この一年間に50点という自己評価をしました。

「ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲れたのは、みんなのためにもよかったと思います。でも、レースは結局、結果だと思います。内容がどうであっても。だから、レースリザルトだけでいうなら、今年は納得のいかない結果だったので、100点からマイナス50点。でも、たくさんのことを学べたという点ではゼロからプラス50点。つまり、100点満点から引いていっても0点からプラスする考え方でも50点、というのが今年の点数です」

高い期待を抱いて臨んだ2017年シーズンが始まってみると、自分で予想していた以上に苦しいレースの連続になりました。しかし、そんな状況でも焦りを感じることはなかったと、佐々木は振り返ります。

「たしかに最初は、『えッ?』と思ったことはありました。でも、焦りはなくて、自分にできることを一つずつこなしていった一年でした。こうすれば前に行けるな、ここを直せばもうちょっといい結果を出せるなと、修正する点がいくつもあると分かっていたので、焦りを感じなかったのだと思います。今回のウイークはFP1とFP2を直そう、今回のレースでは予選を直そうと、目的を決めて取り組んでいる間に、あっという間にシーズンが終了してしまった感じですね」

2017年は今までのレース活動の中で最も苦労をした一年だったと佐々木は言います。しかし、その苦労の分だけ、今までで最も多くのことを学べたシーズンになったとも話します。

「順位が悪くて精神的に弱くなったということはなくて、むしろこの一年でメンタルを強くしてもらったと思います。走りも、開幕戦のころから比べるとよくなってきました。いいときよりもむしろ悪いレースのときの方が、学ぶことが多かったです。そう考えると、自信がなくなったわけでもないし、なにかを失ったシーズンでもない。順位だけで言うと納得はできないけど、学べたということではすごく意義のあるシーズンでした」

厳しいレースを経験しながら佐々木が心に刻みつけた最も重要なことは、常に高みを目指し続けるという姿勢だと言います。

「レースを走っている限り、どんな位置にいても優勝を目指して走ることが必要だということも、今年学んだ大切なことです。今までどんなレースに参戦していたときでも、自分はいつも優勝を目指して走ってきたのだから、グランプリの世界に来て優勝を目指さないのはおかしい。優勝を目指して走らない限り、優勝なんて絶対にできるわけがないじゃないですか。『今週は何位を目指しますか』と人から聞かれたときには、『10位を目指します』とか『6位以内が目標です』と言っていても、心の中ではいつも『1位を狙う!』という芯を持っていたいです。それをシーズン中に忘れていたのを、ここ最近になって思い出しました」

2018年の目標は、毎戦優勝争いをすること。そして、3年目のシーズンにチャンピオンを狙うと佐々木は心中の計画を明かしました。

「もちろん来年もチャンピオン争いをしたいですよ。でも、来年はとにかく毎戦トップ争いをして、最後にはランキング6位以内で終わりたいです。そして、その次の年にチャンピオンを獲りにいきたいと考えています。

Moto2は、Moto3のチャンピオンがステップアップしてもトップ10に入れるかどうかというくらい、すごく難しいクラスだと思います。だから、Moto3で毎戦、絶対にトップで走れるようになってから、Moto2にいきたいです。焦る必要は全然なくて、むしろ長いキャリアの中でしっかりと実力を積み重ねて進んでいきたい。だから、来年はMoto3で確実にトップ争いをする年だと考えています。それでいいリザルトを得られれば、さらに言うことなしですよね」

そう言って笑みを浮かべ、最後にこう付け加えました。

「自分では来年トップ6やトップ3にいけると思っていても、チームやメカニックたちはそう思っていないかもしれない。彼らを盛り上げるのもライダーの仕事だと思うし、みんなに『こいつ、ひょっとしたら今年はいけるんじゃないか。よし、オレもがんばろう』と盛り上がってもらうためには、自分の結果で示すしかない。だから、2018年はみんなのモチベーションを上げられるシーズンにしたいです」