Estrella Galicia 0,0所属の17歳、アーロン・カネットは、Moto3世界選手権で2年目のシーズンを送っています。デビューイヤーの2016年は、優れた才能の片鱗を何度も見せたものの、決勝ではバトルの最中に転倒することも多く、なかなかリザルトに結びつけることができませんでした。
「めまぐるしい一年でした」。カネットはルーキーイヤーを、この一言で表現します。
「予選までのセッションでは速さを発揮して、フロントローを何度も獲得できました。ですが決勝レースでは、前半はトップグループについていけるものの、最後まで表彰台争いを続けるのは難しかったです。世界選手権にデビューした昨年は、今後のレースキャリアにおいて大切なことを、たくさん学べました。レースでは序盤から多くのライダーが全力で走りますが、冷静さを保ち続けていないと、トップグループを走り続けることはできません。実際に昨年のアルゼンチンGPでは、表彰台争いができていたのに、最後で転んでしまいました」
その後も、高い資質と将来性をうかがわせるレースがある一方で、いい位置を走りながら転倒に終わってしまう展開も多く見受けられました。そして、シーズン後半戦のオーストラリアGPでは、ついに3位表彰台を獲得。カネット自身は、これが昨年のベストレースだったと振り返ります。
「気持ちよくトップグループについていけて、走りながらリズムがどんどんよくなっていったんです。17年は、さらに激しい戦いになっていますが、上位陣にしっかり食らいついていけると思っています。転倒もゼロにしますよ!」
その言葉通り、今シーズンは本来の能力をしっかりと発揮するようになりました。開幕戦のカタールGPでは、トップ集団で最後まで激しい争いを繰り広げた末、0.034秒差で4位。惜しくも表彰台には届かず悔しい結果ですが、カネットは手応えを得たようでした。
「トップグループの中で戦うことが今年の目標なので、それができたカタールのレースはとてもよかったと思っています。今後もこの調子で、いつもトップグループでレースをしたいです」
第2戦のアルゼンチンGPは、4番手スタートから11位でフィニッシュ。次のアメリカズGPではポールポジションを獲得しましたが、レースでは4周目に転倒してしまいました。
その後カレンダーは、戦いの舞台をヨーロッパに移し、カネットのホームレースとなる第4戦スペインGPを迎えました。このレースでは、最終ラップの最終コーナーまで手に汗握るトップ集団のバトルが展開。そんな中、カネットは持ち味を存分に発揮し、トップでチェッカーフラッグを受け、初優勝を達成しました。
「本当にうれしくて、最高にハッピーな気分です。レース終盤の戦略がバッチリ決まりました。最終ラップはそれまで以上にプッシュして、最後はすごく厳しい戦いでしたが、(ホアン)ミル選手(Leopard Racing)と(ロマーノ)フェナティ選手(Marinelli Rivacold Snipers)をオーバーテイクできたんです。最終コーナーで2人ともを抜くのはとても難しかったのですが、しっかりとマシンを止めて、うまく立ち上がれました。そして最後の直線では、勝ち負けを考えずにひたすら前だけを目指したんです。ひょっとしたら抜かれるかもしれない、とも思ったのですが、トップでゴールラインを通過できました!」
勢いそのままに臨んだ第5戦のフランスGPでも、カネットは活躍しました。4列目12番グリッドという厳しいスタート位置でしたが、少しずつ順位を上げてトップグループに追いつき、最後は2位でゴール。
「後方集団から追い上げて、最終ラップには3番手に浮上。それから前の選手が転倒したことで2番手になりました。グループの前につけると再逆転されてしまう可能性もあると思って前には出なかったのですが、がんばって前を追い詰めました。ル・マンは大好きなコースだから、今回の表彰台は優勝と同じぐらいうれしいです。今後もこの調子で、どんどん表彰台を獲得してきたいです!」
5戦を終えて、現在のランキングは3位。すでにHonda陣営の重要な一翼を担う17歳、カネットの今後の活躍に、ますます期待が高まります。
