Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

Moto3 アダム・ノロディン SIC Racing Team

Moto3 アダム ノロディン SIC Racing Team
Profile
生年月日
1998/6/13
出身地
マレーシア
身長・体重
167cm・56kg
チーム(マシン)
SIC Racing Team(NSF250RW)
2016年の成績
Moto3 総合28位
Vol.1

SIC Racing Teamで、Moto3世界選手権2年目のシーズンを迎えるアダム・ノロディンは、なにもかもが初体験尽くしだった昨年を振り返り、非常に多くのことを学べた一年だったと話します。

「シーズン序盤は、知らないコースもあったので厳しいレースが多く、いいセットアップを探し出せずに中盤戦まで苦戦を強いられていました。特に厳しかったのはブレーキングです。やがてチームのチーフメカニックが、僕に必要なところをうまく見つけ出してくれて、少しずつ上手く乗れるようになってきました。シーズン終盤には、だいぶよく走れるようになりました。2016年シーズンはたくさんのことを吸収できた一年でした。最初のセッションから全力で走らなければならないことや、セットアップの積み上げ方、マシンの性能を引き出すためにはどうすればいいのかなど、本当に多くのことを勉強できました」

ノロディン自身がそう話す通り、昨年のシーズン序盤は苦戦を強いられていましたが、後半戦では少しずつ好成績を収められるようになりました。一年を振り返ってみたとき、最もいい走りができたのは日本GPだったと言います。

「日本はアジアタレントカップでの走行経験もあり、よく知っているコースで、フィーリングよく走ることができました。マシンもとてもよく走ってくれました。予選では9番グリッドを獲得して、決勝レースでも12位でフィニッシュできたので、いい内容だったと思います。翌週のオーストラリアでも、11番手スタートから11位でチェッカーフラッグを受けることができました。残念だったのはその次戦のホームレース、マレーシアGPでいい成績を残せなかったことです。地元ファンの前でシーズン最高の結果を獲得したかったのですが、週末の天候が安定せず、決勝レースも転倒で終わってしまいました」


このホームグランプリに先立ち、マレーシアに帰国したノロディンたちは首相官邸に招かれ、ナジブ首相と会見するという機会がありました。今後も国を挙げてモータースポーツを応援し、マレーシア人チャンピオンを誕生させるために最大の支援を続ける、と述べた首相の言葉は、国内の一般紙などでも大きく報道されました。

「首相はレースを観戦しにサーキットへ来ることができないので、レースウィークに先立ち、僕たちを官邸へ招待してくださいました。普通の18歳なら体験できないような貴重な時間を首相とともに過ごさせていただき、忘れられない経験になりました」

周知の通り、近年の東南アジア各国では二輪モータースポーツの人気が非常に高く、さらなる上昇傾向が続いています。マレーシアでも若い選手たちがどんどん育っていることを実感する、とノロディンは言います。

「将来に向けた展望はかなりいいと思います。以前は、マレーシア人選手はなかなか世界レベルで戦えませんでしたが、今は僕を含めて3名の選手が世界選手権にフル参戦しています。若いライダーの育成にも力を入れているので、その中から高い資質を持った選手たちが育ってくるのは時間の問題だと思います」

今年のSIC Racing Teamのマシンやチームウェアには、KBSという大きなスポンサーロゴが配置されていますが、これは同国の青少年およびスポーツ省(英:Ministry of Youth and Sports、マレー語:Kementerian Belia dan Sukan)の略称です。この事実にも、マレーシアが二輪ロードレースを熱心に支援する姿勢がよく現れていると言えるでしょう。国の期待に応えるためにも、世界選手権2年目となる今シーズンこそ、いい結果を獲得したい、とノロディンは意気込んでいます。

「昨年の後半からマシンのセットアップがよくまとまるようになり、僕自身もどんどん上手く走れるようになってきました。今年もプレシーズンから着々と準備を進め、開幕戦はトップ10フィニッシュという好結果でした。さらによくしていくために、これからもチームと一丸となってがんばります!」