モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > Honda Force V4 Story > 進化し続けるForce V4
世界最高峰のロードレースWGPの車両規定が「2ストローク500cc以下」から「4ストローク990cc以下」と定められ、"MotoGP元年"となった2002年。Hondaはライバルに類を見ないV型5気筒エンジン搭載のレーシングマシンRC211Vを登場させた。75.5°のバンク角に、前3気筒、後ろ2気筒のレイアウト。ロードレース史上、前例のないエンジン形態を持つその独創的なマシンは、990ccクラスにおける最多優勝(48回)を達成した。そして800cc時代の幕開けとなった2007年。ライバルメーカーの多くが990cc時代からのエンジンスケールダウンを選ぶ中、HondaはRC211Vの熟成で得たデータをもとに新開発された、V型4気筒エンジン搭載のブランニューマシンRC212Vを送り出し、ロードレース最高峰クラスにおけるV4エンジンでの挑戦が再び始まった。マス集中パッケージをさらに進化させ、驚くほどコンパクトかつアグレッシブな車体でサーキットに衝撃を与えたRC212Vは、まさにこれまでHondaが積み重ねてきたV4エンジン技術と車体技術を高い次元で融合させた結晶であった。しかし、レース業界全体のレベルが非常に高くなった中で、ライバルメーカーたちもそれぞれの技術力とプライドをかけて制覇を目論んだ結果、Honda勢は2007年から2010年までの間、チャンピオンの座から遠ざかるという、非常に厳しい戦いを強いられることとなった。
「独自の技術をもって最高峰クラスで勝つ」。その実現に向けて、RC212Vの開発陣は果敢に挑み続けた。トップスピードの追求と同時に、ハイパワーを操るライダーの負担を軽減し、ライダーが本当に行いたいアクションをマシン側からサポートすることを目的に「電子制御」の進化にも積極的にトライ。さらに、シフトチェンジの際に生じるショックを大幅に軽減する「シームレスミッション」などの革新技術も次々と投入。それらの努力を着実に積み重ねた結果、800cc時代の最後となった2011年、HondaはRC212Vでライダー、チーム、コンストラクターの3つのチャンピオンシップをすべて獲得し、5年ぶりにMotoGPの頂点へと返り咲いたのである。再び大排気量化され、車両規定が1000ccに定められた2012年。MotoGP新時代の幕を開いたマシンは、新開発のV型4気筒エンジンを搭載したRC213V。2012年シーズンは、Honda勢が18戦全ての表彰台に登壇。ダニ・ペドロサが7勝、ケーシー・ストーナーが5勝と、快進撃を見せたが、ライダーチャンピオンはロレンソ(ヤマハ)に奪われる。しかしながら、Hondaが2年連続でコンストラクタータイトルを獲得し、Repsol Honda Teamが2年連続でチームタイトルを獲得。高いポテンシャルを発揮したシーズンとなった。