2011年8月12日(金)・1日目フリー走行 会場:ブルノ・サーキット 天候:曇り、ときどき晴れ 気温:23℃
コースコンディション:ドライ
第11戦チェコGPのフリー走行は、1回目、2回目ともに、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、ケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)の3選手が上位を独占。すばらしいリザルトで後半戦のスタートを切りました。
2週間のサマーブレイクで、シーズン前半戦の疲れを取ったペドロサは、後半戦の活躍を期待させるすばらしいスタートとなりました。午前中の走行では2番手のストーナーに約1秒近いリードを築く1分56秒328というすばらしいタイムで首位に浮上。午後の走行ではフロントのセッティングに集中したため、午前中のタイムを更新することはできませんでしたが、2セッションともにトップタイムをマークする完ぺきな一日となりました。
ペドロサは、第4戦フランスGPで右鎖骨を骨折して、3戦欠場します。しかし、復帰2戦目のドイツGPで今季2勝目を達成、連戦となったアメリカGPで3位表彰台獲得と、復調をアピールしました。そして、後半戦のスタートとなったチェコGPのフリー走行では、完全復活を感じさせる好ラップを連発。最高峰クラスでは初のチェコGP制覇に向けて絶好のスタートを切りました。
対照的に、2番手につけたストーナーは、リアのグリップと旋回性の妥協点を見いだせず、2セッションともにトライ&エラーの一日となりました。ベストタイムではペドロサに続きましたが、アベレージでは、ペドロサの1分56秒台に対して、1分57秒台と不満の残る結果に終わりました。2日目のセッションでは、チームメートのペドロサのタイムを目標にセットアップに取り組むことになります。
3番手につけたシモンチェリは、ペドロサの速さに圧倒されますが、1分57秒台でアベレージを刻み、念願の初表彰台に向けて大きく前進しました。シーズン前半戦は、2回のPPを含む6回のフロントロー獲得で大きな注目を集めました。しかし、ついに表彰台には立てず。加えて、前半戦最後のレースとなったアメリカGPでは転倒リタイアと悔しいレースに終わっているだけに、今大会はその雪辱に闘志を燃やしています。
この日、エンジンブレーキのセッティングに苦しんだアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、前戦アメリカGPでは表彰台に立てず、5位でフィニッシュしています。加えて、し烈な戦いを繰り広げたベン・スピーズ(ヤマハ)に先着される悔しいレースとなっていただけに、シモンチェリとともに、その雪辱に気合満点。2日目の予選ではフロントローを狙うことになります。この日は、トップ5に4台のHonda勢が名前を連ね、Honda勢の表彰台独占はもちろん、上位独占が期待されます。
第7戦オランダGPで背中を痛め、イタリア、ドイツ、アメリカと厳しいレースを強いられてきた青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は16番手。セッション終盤にポジションを落としますが、MotoGPマシンで初めて走るサーキットとしては、順調なスタートを切りました。1回目15番手。2回目16番手も接近戦となっているだけに、2日目のポジションアップに期待が集まっています。また、2008年、09年と表彰台に立っているトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)も、今大会からの巻き返しに気合満点。青山とともに2日目のポジションアップに挑みます。
Moto2クラスは、総合首位のステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)がトップタイム。アンドレア・イアンノーネ(Speed Master)、アレックス・デ・アンジェリス(JIR Moto2)が僅差で続きました。今大会は39台が出場。高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)は、サスペンションのセッティングに苦しんで20番手。2日目の追い上げに注目されます。
ダニ・ペドロサ(MotoGP 1番手)「今日は最初から感触がよかったです。マシンは最初からよくて、前進することができました。ベストタイムは更新できませんでしたが、午前、午後ともにマシンの状態を改善することができました。夏休みを過ごしたことで、今回は新鮮な気持ちで大会に挑んでいます。夏休みの前にはなかったエネルギーを感じています。土曜日と日曜日も、このペースを維持して、いいレースをしたいです。今日は両セッションともに、とても満足しています。予選、決勝と、まだまだマシンの状態はよくなると思います。それは他の選手たちも同じだと思いますし、このまま集中してセットアップに取り組みたいです。今日はずっと一人で走っていました。明日はほかのライダーの走りを見て、自分のアドバンテージとウイークポイントを探ってみたいです」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 2番手)「正直、今日はポジティブではありませんでした。前回のラグナセカと同じようなスタートになってしまいました。今日の走行を終えた段階では、どっちの方向でセッティングしていけばいいのか分かりません。フロントの感触がしっくりこなくて、コーナーの進入とコーナリングのフィーリングがいまいちでした。それにリアのエッジグリップも不足しているのでコーナーの出口でも苦戦しています。満足のいくセットアップにはほど遠いです。前進できるところはたくさんあると思いますが、今はどうしたらいいのか分かりません。明日は2台のマシンでいろいろ試してみたいです。そして、予選へ向けてベストな状態に仕上げたいです」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 3番手)「今日の2つのセッションには、とても満足しています。夏休みから戻ってすぐにペースをつかめましたからね。それにしても、今日のペドロサのスピードはすばらしいです。今はダニのことは考えず、自分のマシンのセットアップに集中したいです。今日はポジションを確認したり、いろいろなセッティングにトライしたけれど、すばらしい週末になりそうです。しいて言えば、コーナーエントリーをもっとよくして、ブレーキの安定性を改善したいです。そしてコーナーで自分のラインをキープできるようにしたいです。全体的によかったし、あとは微調整するだけ。今回はいいレースをする自信があります」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)「今日はエンジンブレーキの調整に苦労しました。今使っているエンジンブレーキのシステムは、イタリアGP後のムジェロテストで初めて使ったもので、それ以降ずっと使っています。とてもいいのですが、セットアップが難しくて、今日はいいセットアップを見つけるのに苦労しました。時間もかかり、そのためにあまり多く周回することができませんでした。終盤はセッティングが完ぺきではありませんでしたが全力で走りました。本当ならもっと速く走れたと思うし、フラストレーションがたまりました。今日の5番手タイムには満足していません。これからデータを見てセッティングの方向を決めます。明日も今日のようにドライコンディションで走れること祈っています」
青山博一(MotoGP 16番手)「休み明けの初走行、MotoGPマシンでブルノを走るのが初めてということを考えると、順調なスタートが切れました。特に午後の走行は途中までトップ10前後にいました。最後の5分間でポジションを落としましたが、タイムが接近しているので、明日はポジションを上げたいです。オランダで痛めた背中は、この2週間でよくなっているし、トレーニングもすることができました。まだ切り返しで痛みはありますが、イタリア、ドイツ、アメリカのようなつらさはなくなりました。今日は、旋回性とグリップのバランスを探る一日になりました。この2つの要素を明日はうまくまとめたいです。今日は新しいセッティングを試しましたが、結果的にシーズン前半にやっていたセッティングに近い状態になりました」
トニ・エリアス(MotoGP 18番手)「夏休みを終えて、こうしてブルノで走ることができてうれしいです。ブルノは大好きなサーキットの1つだし、2008年と09年には最高峰クラスで表彰台に上がれました。しかし、残念ながら今大会もこれまでと同じ問題でスタートしてしまいました。でも午後のセッションでは、いくつかの小さな進歩がありました。予選へ向けて、さらにセットアップを進めなくてはいけません。厳しい状況ですが、モチベーションは上がっています。そして、チームは僕のためにすばらしい仕事をしてくれています」
中本修平|HRCチーム代表「リザルトはよかったですが、リアのグリップ不足がHonda勢共通の課題となりました。リアのグリップを上げると旋回性が悪く、旋回性を上げるとリアのグリップが不足します。その妥協点を探る一日になりました。トップタイムのダニは、午後にタイムを更新できませんでしたが、これはフロントフォークのセッティングに集中していたこともあってタイムを狙っていなかっただけのこと。ケーシーとシモンチェリは、グリップ向上と旋回性の改善に取り組む一日でした。ドヴィツィオーゾは、エンジンブレーキのフィーリングがよくなくて、この部分にも取り組みました。今日はトップ5のうち4台がHondaでしたが、今回もロレンソと厳しい戦いになることは間違いありません。明日も引き続き、セットアップに集中したいです」
高橋裕紀(Moto2 20番手)「イタリアのミサノでテストをして今大会に挑みました。ミサノでは新しいリアサスにトライしてすばらしい走りができましたが、このサーキットにはまったく合っていなくてだめでした。午前中は、いろいろセッティングを変えてみました。午後の走行もいろいろやりましたが、結局よくはなりませんでした。明日は、今までの状態に戻して挑みます。ミサノのテストを生かせず、本当に残念でした」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
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1 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:56.328 |
2 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.503 |
3 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +0.808 |
4 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.846 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.207 |
6 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +1.303 |
7 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.417 |
8 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.529 |
9 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +1.531 |
10 | 21 | J.ホプキンス | スズキ | +1.552 |
11 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.792 |
12 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.985 |
13 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +2.126 |
14 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.240 |
15 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +2.245 |
16 | 7 | 青山博一 | Honda | +2.279 |
17 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +2.671 |
18 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.829 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | 2:03.166 |
2 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +0.158 |
3 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +0.185 |
4 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +0.636 |
5 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.687 |
6 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.757 |
7 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +0.833 |
8 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.900 |
9 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +0.997 |
10 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | +1.041 |
11 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.051 |
12 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +1.075 |
13 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +1.103 |
14 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | +1.140 |
15 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +1.252 |
16 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +1.326 |
17 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +1.339 |
18 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +1.371 |
19 | 88 | リカル・カルダス | MORIWAKI | +1.431 |
20 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +1.451 |
21 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +1.490 |
22 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +1.624 |
23 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.676 |
24 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +1.685 |
25 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +1.810 |
26 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +1.881 |
27 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.927 |
28 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +2.024 |
29 | 25 | アレックス・バルドリーニ | SUTER | +2.197 |
30 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +2.204 |
31 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +2.232 |
32 | 18 | ジョルディ・トレース | SUTER | +2.420 |
33 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +2.484 |
34 | 31 | カルメロ・モラレス | SUTER | +2.644 |
35 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +2.973 |
36 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +3.054 |
37 | 24 | トンマーゾ・ロレンツェッティ | FTR | +3.438 |
38 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +3.454 |
39 | 97 | スティーブン・オーデンダール | SUTER | +4.194 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 2:08.456 |
2 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +0.306 |
3 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +0.344 |
4 | 44 | M.オリベイラ | アプリリア | +0.839 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.920 |
6 | 52 | D.ケント | アプリリア | +0.938 |
7 | 23 | A.モンカヨ | アプリリア | +0.960 |
8 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +1.082 |
9 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.095 |
10 | 25 | M.ビニャーレス | アプリリア | +1.357 |