2011年6月4日(土)・予選 会場:カタルニア・サーキット 天候:晴れ、ときどき曇り
気温:25℃ コースコンディション:ウエット/ドライ
第5戦カタルニアGPの予選は、Honda勢のし烈なPP争いとなり、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)が最高峰クラスの初PPを獲得しました。シモンチェリはこれで3戦連続フロントローを獲得。念願の初表彰台に向けて大きく前進することになりました。
シモンチェリは今大会、初日のフリー走行で2番手と好調なスタートを切りました。しかし、コース終盤でタイムロスしていることが明らかになり、この日は、このウイークポイントの克服に全力を尽くしました。午前中のフリー走行ではタイムを更新するも、3番手に順位を落としました。午後の予選では、セッション中盤までなかなかタイムを更新できませんでしたが、終盤、セットアップが決まり、一気にタイムを更新しました。過去3戦は、転倒とライド・スルーのペナルティで表彰台を逃してきましたが、今大会の初PPは、念願の初表彰台と初優勝に向けて大きく前進することになりました。
フリー走行、予選とライバルを圧倒してきたケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)が僅差の2番手につけました。今季3回のPPを含み、4回目のフロントロー獲得となったストーナーは、フリー走行でライバルを圧倒。午後の予選も終始トップにつけていましたが、最後のアタックでタイムを更新できず、わずかの差でPPを逃しました。しかし2日間、4セッションの内容では、ライバルの追随を許さないすばらしい仕上がりで、2戦連続、今季3勝目に期待が膨らんでいます。
トップの2人にそん色のない走りをしてきたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、前戦フランスGPに続き、2戦連続フロントローの期待が膨らんでいましたが、最後のアタックで5番手にポジションを落としました。しかし、レースタイヤでのアベレージはよく、表彰台争いに加わることは確実で、前戦フランスGPの2位に続いて、2戦連続表彰台への期待が寄せられています。
以下、青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、大接戦の中で予選11番手、ト二・エリアス(LCR Honda MotoGP)は14番手という結果でした。カタルニア州のバルセロナに住む青山にとっては、今大会は第2のホームGP、エリアスもホームGPとなるだけに、地元ファンの声援を受けて追い上げのレースに挑むことになります。
大接戦の続くMoto2クラスは、今大会も厳しい戦いとなりました。PPを獲得したのは、ステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)で、開幕から5戦連続でPPを獲得しました。以下、1秒差以内に13台という厳しい戦いの中で、ホームGPに闘志を燃やす アレックス・エスパルガロ(Pons HP 40)が2番手、高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)が3番手に続き、フロントローを獲得しました。
すでに2勝を挙げているブラドルは、今季3勝目を期し、エスパルガロはホームGPでの初表彰台に気合満点。そして高橋はカタルニアGPの2連覇に闘志を燃やすなど、激しい戦いの中でフロントローに並んだ3選手の走りに注目が集まっています。今大会は、フリー走行ではトップから1秒差以内に26台という今季最高の接戦となり、今シーズン一番の熱戦が繰り広げられることは間違いありません。
この日は、朝方に降った雨の影響で、125ccクラスのフリー走行はウエットコンディションで始まりました。しかし、午後にかけて次第に青空が広がり、MotoGPクラスとMoto2クラスは、すべてドライコンディションで行われ、サーキットに集まったファンも大喜びの一日となりました。
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ポールポジション) 「こういう日が来ることを待ち望んでいたし、今はとても幸せな気分です。セッション序盤はやや問題を抱えていましたが、徐々にペースを上げることができました。昨日の課題だったコース終盤のタイムロスも改善できましたし、セッション終盤ではプッシュすることもできました。今回は、ケーシーがすべてのセッションで速かったので、正直、PPを取れるとは思っていませんでした。だから、余計にうれしいです。最終ラップは、リスクを覚悟で全力でアタックしました。この周回はミスをしましたが、その前の周のタイムでPPを獲得することができました。明日の決勝は厳しい戦いが待ち受けています。ケーシーもホルヘ(ロレンソ、ヤマハ)もすごく速い。とにかく、この2人についていけるように全力を尽くしたい。そして、レースを終えたときに表彰台に立っていたい。チャンスがあれば優勝も狙いたいです」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 2番手) 「残念な結果でした。今日はいいペースでラップを刻めていましたし、ニュータイヤでアタックすれば、もっといいタイムを出せるはずでした。確かに、セッション序盤はあまりいいフィーリングではなくて、タイヤの温度の上がり方も十分ではなかった。ソフトタイヤを投入してもグリップが十分ではなくて、それがどうしてなのか理解できませんでした。そこで空気圧を変えて次のタイヤでアタックしたのですが、結果的にそれもよくなくて、フラストレーションのたまる予選になりました。最終的にハードでもソフトでもほとんど同じタイムしか出せませんでした。セッションを通じて、こういう状態だったので、バイクのセットアップも進めることができませんでした。しかし、ハードタイヤでのレースペースには自信がありますし、明日もドライコンディションなら、今日の予選のようなラップタイムで走れると思います」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手) 「このサーキットはものすごくスライドするので、乗っていてすごく楽しい。午前中のフリー走行は、順調にセットアップが進みました。マシンのバランスも改善されて、フィーリングもよかったです。レースペースもよく、ケーシーと一緒にラップを刻めて、とてもハッピーでした。今日は、ケーシーはもちろんですが、シモンチェリとロレンソとフロントローを争うことになると思っていました。フロントローに並ぶ自信はあったけれど、最後のアタックをしていたとき、5コーナーでミスをしてタイムをロスしてしまいました。しかし決勝に向けて、いいペースを刻めているし、明日はいいレースができると信じています。明日のレースがすごく楽しみです」
青山博一(MotoGP 11番手) 「今日の結果に満足してはいませんが、昨日よりマシンの状態はよくなっています。明日のウオームアップでさらに状態をよくしていきたい。昨日は2通りのセッティングを試しましたが、最終的に、前回のフランスまでやってきたベースセッティングの延長線上で、今回もいくことにしました。これまではタイヤの温度が上がりにくく、タイヤのパフォーマンスを引き出せないという課題を抱えていました。これまでと同じセッティングをアジャストしている状態なので、今回も根本的な解決はできませんでした。今日は思ったよりも路面温度が上がりました。できることなら、明日の決勝はもっと上がってくれることを願っています。明日は厳しいレースになると思いますが、最低でも8位以内を目標にベストを尽くしたいです」
トニ・エリアス(MotoGP 14番手) 「今日は2011年型のニューシャシーで走りました。フロントのフィーリングとコーナー出口のリアのトラクションは改善されたのですが、ブレーキングの安定性とフルバンクのときのエッジのグリップについては、さらにセットアップを進める必要があると感じました。今日はトップ10内で終われると思っていたので、それを思うと、すごく残念な結果でした。厳しいグリッドに終わりましたが、声援を送り続けてくれたファンに心から感謝したいです」
中本修平 | HRCチーム代表 「ケーシーは、どのセッションでもいい走りをしていました。予選セッションもPP獲得は間違いなかったのですが、最後のアタックで、うまくいきませんでした。アンドレアもそれは同じで、最後のアタックがうまくいかず、5番手へとポジションを落としました。2人ともにタイヤのパフォーマンスをうまく発揮できなかったようです。しかしレースに向けて、ケーシーの仕上がりはよく、何もなければ、明日の決勝はケーシーが勝ってくれるんじゃないかと思っています。その後ろで、アンドレアとマルコ、そしてロレンソがし烈な2位争いをすることが予想されます。とにかく明日も厳しいレースになるはずで、Honda勢が表彰台に立ってほしい。初めてPPを獲得したマルコにおめでとうと言いたいです。今日のマルコはがんばったと思います」
ステファン・ブラドル(Moto2 ポールポジション) 「今日はすごい接戦だったので、フロントローに並べればいいと思っていました。5戦連続でPPを獲得できて、とてもうれしいです。昨日と今日のフリー走行は、コーナーの出口に問題を抱えていました。今まで経験したことがない問題だったので、着実に改善しようと心がけました。最終的にタイヤをうまく使えるセッティングを見つけたのですが、明日も冷静に戦わなければならないと感じています。明日の目標は優勝すること。しかし、激しい戦いになるのは確実なので、ベストを尽くし、フィニッシュしたいです」
アレックス・エスパルガロ(Moto2 2番手) 「今日は最後の最後まで、ブラドルとPP争いをすることができてうれしかった。前回のフランスも6位で、調子は上向いていました。今回も調子がよくて、フリー走行、予選といい走りができました。今回はいいレースにしたいと思っています。トップグループで戦う自信はあります。明日はトップグループが大集団になると思っています。厳しい戦いになるでしょうが、今回はホームGPなので、地元ファンの前で表彰台に立ちたいです」
高橋裕紀(Moto2 3番手) 「昨日、今日といろいろニューパーツを試しました。いいものもあるし、このサーキットに合わないものもありましたが、最終的にフロントローに並べることができてよかったです。しかし、一発タイムなので、決勝に向けて、もう少しアベレージを上げなくてはいけません。明日のウオームアップでさらにセットアップを進めたいです。現状では、表彰台には立てても、優勝争いをするには厳しい感じがしています。しかし、セッティングが決まれば、優勝争いも可能だと思います。ドライコンディションになってほしい。そして、昨年のように、表彰台のてっぺんに立てるようなレースがしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | 1:42.413 |
2 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.016 |
3 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.315 |
4 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.329 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.336 |
6 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +0.789 |
7 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +0.810 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.815 |
9 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.034 |
10 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.243 |
11 | 7 | 青山博一 | Honda | +1.321 |
12 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +1.351 |
13 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +1.655 |
14 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.097 |
15 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +3.248 |
- | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | 1:46.753 |
2 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +0.114 |
3 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +0.225 |
4 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.315 |
5 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.401 |
6 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +0.454 |
7 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +0.473 |
8 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.602 |
9 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +0.673 |
10 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +0.703 |
11 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.774 |
12 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.805 |
13 | 21 | ハビエル・フォレス | SUTER | +0.988 |
14 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | +1.012 |
15 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.028 |
16 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +1.064 |
17 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +1.093 |
18 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +1.108 |
19 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.184 |
20 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +1.201 |
21 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +1.235 |
22 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +1.252 |
23 | 31 | カルメロ・モラレス | MORIWAKI | +1.315 |
24 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | +1.328 |
25 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +1.334 |
26 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +1.403 |
27 | 25 | アレックス・バルドリーニ | SUTER | +1.426 |
28 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +1.460 |
29 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +1.481 |
30 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +1.529 |
31 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.578 |
32 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +1.734 |
33 | 49 | ケブ・コフラン | FTR | +1.878 |
34 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +2.002 |
35 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +2.088 |
36 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +2.295 |
37 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +3.173 |
- | 88 | リカル・カルダス | MORIWAKI | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 1:51.281 |
2 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +0.402 |
3 | 25 | M.ビニャーレス | アプリリア | +0.818 |
4 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +0.854 |
5 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.007 |
6 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +1.168 |
7 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +1.195 |
8 | 39 | L.サロン | アプリリア | +1.348 |
9 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.354 |
10 | 26 | A.マーティン | アプリリア | +1.466 |