アメリカGPの予選は前日に続き好天に恵まれ、フリー走行、予選ともに絶好のコンディションとなり、初日のフリー走行から大幅にタイムが上がった。その中で順調にセットアップを進めたアンドレア・ドヴィツィオーゾが3番手。わずかの差でダニ・ペドロサが4番手と続き、Repsol Honda Teamの2人が、好位置から決勝に挑むことになった。以下、Honda勢は、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)が9番手、マルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)11番手、アレックス・デ・アンジェリス(Interwetten Honda MotoGP)16番手、ロジャー・リー・ヘイデン(LCR Honda MotoGP)は17番手だった。ポールポジションはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。初日トップのケーシー・ストーナー(ドゥカティ)は2番手だった。
最高峰クラスで初のフロントロー獲得を果たしたドヴィツィオーゾ。今大会は初日のフリー走行で3番手と好調なスタートを切り、2日目のフリー走行でも4番手。そして予選では3番手と着実にタイムを上げた。
今大会は新しい電子制御に取り組み、好調なスタートを切っていた。2日目では、タイムロスをしていた下りセクションのT4区間のタイムを改善。予選ではベストタイムを短縮しただけでなく、優勝を狙える1分21秒から22秒のハイペースを刻み、大きな注目を集めた。
ドヴィツィオーゾは、MotoGPクラスにデビューした一昨年のアメリカ大会で4位。昨年も好走したが、ピットロード出口のパイロンに接触してブレーキレバーを破損。その後、リズムを崩し転倒リタイアに終わっていた。3年目の今年は最高峰クラスのベストグリッドから、今季5回目の表彰台と今季初優勝に挑む。
2年連続アメリカGP制覇と、前戦ドイツGPからの2戦連続優勝を狙うペドロサは、決勝に向けてロングランを順調にこなしたが、ソフトタイヤのアタックが決まらずフロントローを逃した。この日は、ドヴィツィオーゾとほぼ同じペースを刻んだが、フロントのセッティングが完全に決まらなかった。そのため、PPのロレンソ、2番手のストーナーにアベレージでわずかに後れを取ったが、決勝前のウオームアップで、ドヴィツィオーゾとともに、もう一歩前進して、ともに優勝を狙う意気込みだ。
ラグナセカ初体験のシモンチェリは、マシンのセットアップが進み、初日から約1.5秒タイムを短縮、予選ではシングルグリッドとなる9番手につけた。一方、初日9番手につけたメランドリは、この日、思うようにセッティングが進まず11番手。しかし、ラグナセカを得意とするだけに、追い上げのレースが期待される。
負傷欠場の青山博一の代役として2戦目を迎えるデ・アンジェリスは、午前中のフリー走行ではセットアップに苦戦したが、予選ではタイムを上げて16番手。同じくケガをしたランディ・デ・ピュニエの代役として出場のロジャー・リー・ヘイデンも大幅にタイムを上げて17番手。両選手ともに周回を重ねるごとに調子を上げているだけに、決勝の走りに期待したい。
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 3番手)「初めてフロントローを獲得することができてうれしい。昨日はT4区間でタイムをロスしていたが、今日はその区間でタイムを上げることができたので、順位を3番手に上げられた。バイクをいい状態に仕上げてくれたチームに感謝したい。今日はベストタイムだけではなく、アベレージでもいいラップを刻むことができた。しかし、ロレンソとストーナーは、さらに速いラップを刻んでいるので、ウオームアップでさらにセッティングを詰めたい。明日のレースは、1分21秒後半から22秒前半の戦いになると思う。フロントローからスタートできるので、この2人についていきたい。タイヤはソフトをチョイスする予定だ。バイクのバランスもよくて2日間を通じてフィーリングもよかった。明日のレースが楽しみだ」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)「昨日から今日にかけてセットアップはかなり進んだ。午前中のフリー走行ではアベレージもよく、かなり手応えがあったのだが、午後の予選ではチャターが出てうまくタイムを出せなかった。レースタイヤでは30ラップ以上をこなし、かなりいいフィーリングだった。ラップタイムも悪くなかった。しかし、ソフトを履いてアタックしたときは、チャターが出てしまい、完全なアタックができなかった。ウオームアップでアベレージをもう少し上げたい。明日の決勝はタイヤの選択がとても重要になると思うのでミスをしないようにしたい」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 9番手)「昨日は初めてのラグナセカに苦戦した。今日も走り出しはあまりよくなかったが、HRCのエンジニアのヘルプもあって、格段に進歩することができた。だれかの後ろについてタイムを出したわけではなく、単独で走って、こうして9番手タイムをマークすることができた。バイクの状態もよくなり、コース攻略も大体できたと思う。昨日から自分でも驚くほど前進できた。明日のレースが楽しみで仕方がない」
マルコ・メランドリ(MotoGP 11番手) 「昨日は思ったよりも順調だったが、今日はあまり前進することができなかった。新しい電子制御が完全に機能せず、セットアップにもう少し時間がかかりそうだ。最後のアタックをしているときに、カリオ(ドゥカティ)が転倒したので、アタックを中断しなければならなかった。そういう不運はあったけれど、トップグループから大きく後れているのは事実。明日のウオームアップでさらにセットアップに取り組みたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 16番手)「午前中のフリー走行は、フロントのフィーリングが悪くて、思うように攻めることができなかった。それが午後の予選では1.5秒もタイムを短縮できたのだからうれしい。まだまだやらなければいけないことはたくさんあるが、決勝に向けてなんとかセッティングが決まってうれしい。明日のウオームアップでもう少しアベレージを上げられるようにして決勝に挑みたい」
ロジャー・リー・ヘイデン(MotoGP 17番手)「昨日より約2秒もタイムを短縮することができた。バイクのセットアップも進んだし、全力を尽くしてくれたチームに感謝したい。グリッドは最後尾だが、乗っているフィーリングは悪くない。今日は周回するごとにタイムを上げられたので、明日の決勝がすごく楽しみだ。今回は家族や友人たちが応援にきてくれた。みんなの前でMotoGPのレースを戦えることが本当にうれしい。明日は、こうして出場のチャンスを与えてくれたチームのために、みんなが喜んでくれるようなレースにしたい」
山路敏幸|Repsol Honda Team 監督「ダニ、アンドレアともに、セットアップは順調だった。2人がフロントローに並ぶことはできなかったが、レースペースが向上したので、2人ともに明日は、優勝争いに加われるはずだ。ウオームアップでセットアップを進め、さらに戦闘力を上げたい。アンドレアは、MotoGP初のフロントローを獲得した。これまで優勝も表彰台も経験してきているのに、予選がよくなかった。今年は2列目の常連になり、今度はフロントローを獲得してくれた。今日の結果はすごく自信になったと思うし、明日の決勝では、ワンステップ向上した走りを期待したい。ダニは、昨日から確実に前進したが、フロントの安定感がまだ十分ではなくて、アタックもうまくいかなかった。明日のウオームアップではそのあたりを改善してアベレージを上げていきたい。今日の予選を見る限り、ロレンソ、ストーナーの両選手が速く、明日は厳しいレースになると思う。しかし、2人そろって表彰台に立てるように全力を尽くしたい」
MotoGP
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:20.978 |
2 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.191 |
3 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.639 |
4 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.677 |
5 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.701 |
6 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.710 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.942 |
8 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.239 |
9 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +1.322 |
10 | 40 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.388 |
11 | 33 | マルコ・メランドリ | Honda | +1.429 |
12 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.669 |
13 | 41 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +1.734 |
14 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.792 |
15 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.149 |
16 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +2.248 |
17 | 95 | ロジャー・リー・ヘイデン | Honda | +2.786 |