前戦サンマリノ大会から2週連続の開催となる第7戦スペイン大会が6月17日、モーターランド・アラゴンで開幕しました。モーターランド・アラゴンは、昨年9月にWGPが初めて開かれた会場で、スーパーバイク世界選手権は、それに続いての開催となります。
モーターランド・アラゴンは、バルセロナの南西約200kmに位置し、自然の地形を利用したアップダウンと、バリエーションに富んだコーナーが多く、選手たちにも好評です。スーパーバイク世界選手権は、WGPよりやや長い、コース終盤のロングストレートを最大限に生かした、一周5.344kmのコースを使用します。昨年12月にアラゴンで合同テストが行われましたが、雨と寒さのためにほとんど収穫はなく、今大会が事実上の初走行となりました。
前戦サンマリノ大会では、Castrol Honda World Superbike Teamのジョナサン・レイがウオームアップで転倒、右腕とう骨などを骨折して、決勝を欠場しました。2週連続となる今大会も欠場しますが、手術も成功、順調に回復しています。復帰は次戦チェコ大会(7月10日決勝)を予定しています。
レイの欠場で、チームメートのルーベン・チャウスは、Castrol Honda World Superbike Teamの期待を一身に担うことになりました。アラゴン大会はチャウスにとって、ホーム大会。チームの期待と地元ファンの熱い声援を受けて、2日間の走行に挑みました。
初日1回目のフリー走行では、マルコ・メランドリ(ヤマハ)がトップタイムをマーク。チャウスは1.742秒差の18番手で最初の走行を終えました。昨年12月、チャウスはアラゴンでCBR1000RRに初めて乗っています。このときは悪天候のためにほとんど走れず、そのため午前中のフリー走行では、ギアなどを確認しながらの走行となりましたが、午後の予選では13番手へと順位を上げました。首位とのタイム差も1.127秒へと短縮、2日目に期待をつなげました。
しかし2日目、2回目の予選では、シーズン当初から抱えているチャターなどが解消せず、苦しい走りを強いられます。思うようにタイムを伸ばせず、最終的に17番手へと順位を落とし、スーパーポール進出を逃しました。そのため、決勝は5列目から挑むことになりますが、追い上げのレースに気合を入れています。今大会は20台が出場、PPを獲得したのはメランドリでした。
スーパースポーツは、アメリカ大会がカレンダーに入っていないため、今大会が6戦目となります。2日間の予選では、上位3台のし烈なPP争いとなり、ブロック・パークス(カワサキ)がPPを獲得。2戦連続PPが期待されたサム・ロース(Parkalgar Honda)は、3番手に終わるも、開幕から6戦連続フロントローを獲得。2戦連続表彰台と今季初優勝の期待が膨らんでいます。
以下、第3戦オランダ大会から3戦連続で表彰台に立つファビアン・フォーレ(Hansspree Ten Kate Honda)が7番手、スーパースポーツ初表彰台を狙うジェームス・エリソン(Bogdanka PTR Honda)が8番手、今季初表彰台にあと一歩の戦いが続くロビン・ハームス(Harms Benjan Racing Team)が9番手と、4台のCBR600RR勢がトップ10に名前を連ねました。今大会は29台が出場します。
ルーベン・チャウス(スーパーバイク 17番手)「今日は厳しい一日でした。とにかく、午後のスーパーポールに進出できなくて本当に残念でした。みんな一生懸命に働いてくれました。そしてできるかぎり、がんばりました。でも、一つの問題が解決すると、すぐに別の問題が出てくるのです。昨日はすごく暑かったけれど、アラゴンのコースをかなり攻略できました。コース前半はかなりいい感じで走れるようになっています。後半でロスしていました。暑くなったので、タイヤにも厳しくなりました。今日はそれを生かせるはずだったのですが、思ったようにタイムを更新できませんでした。今夜、引き続き仕事をして、明日のウオームアップでもっとよくしたいと考えています。そして、レースでは何かを得られるように、ベストを尽くして走りたいです。ここは自分にとってはホーム大会。熱狂的なファンがいるこの新しいサーキットで走れることが、なによりもうれしい。明日はファンにいい走りを見せたいと思っています」
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 欠場)「昨年の12月、アラゴンで行われた合同テストで、寒い中を数周走ったのですが、コースレイアウトが楽しかったから、今回走れないのはとても残念です。新しいサーキットで走るのは好きですし、そこから得られるデータはとても役に立ちますからね。先週のミサノでの転倒は、かなりスピードが出ていました。まだ、いたるところが痛いです。今週はもちろん、ルーベンとみんなを応援しています。そして彼らが、地元のサポートに後押しされて、いいレースができることを願っています。僕は早く治すことに集中します。マシンに乗るときは100%の状態でベストを尽くし、表彰台に戻りたい。そして、優勝したいです」
サム・ロース(スーパースポーツ 3番手)「また、いい予選となりました。今シーズンはこれまで、すべてのレースでフロントローを獲得しています。この記録をキープできて、うれしいです。これからも持続したいと思っています。昨日は、午前中のフリーから午後の予選にかけて、すごく気温が上がりました。そういう厳しい条件の中で、タイムを上げられた数少ない一人になれましたし、暑くなればアドバンテージを築けるかもしれません。明日はいいスタートをしなければいけませんが、パークスとデビッド・サロン(カワサキ)と優勝争いをする自信があります。ここはカワサキとヤマハの指定コースなので、そのコースで3番手に並べたこともうれしい。今日はいいロングランができました。そしてレースのセットアップはとてもいいです。優勝に向けて戦う準備はできています」
ファビアン・フォーレ(スーパースポーツ 7番手)「正直言って、昨日も今日も、期待していたポジションではありませんでした。そしてフロントローに並べなかったことも残念でした。マシンをもっと速く、より快適にして、アベレージを高めたいです。明日はマシンも自分自身も大きく前進したいと思っています。先週のミサノに状況が似ています。前回は、レースに向けてできることがまだあったのですが、今回は、やれることはすべてやったという感じです。暑くなるとかなり厳しいレースになると思うので、データを見直して、あと0.5秒は速く走れるようにしたいと考えています」
ジェームス・エリソン(スーパースポーツ 8番手)「昨日は11番手でした。そして今朝のフリーでは4番手まで順位を上げられたので、8番手という結果には満足していません。予選では新品のフロントタイヤを試しました。そしてサスペンションとギアリングを少し変えてみました。そうしたらすぐに、2秒も速く走れたので、びっくりしました。今回は気温と路面コンディション、タイヤのマッチングが難しいです。8番グリッドですが、区間ベストを総合してのタイムでは、5番手でした。明日はいいスタートが切れれば、表彰台に立てるかもしれません」
スーパーバイク
順位 | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|
1 | M.メランドリ | ヤマハ | 1:57.634 |
2 | M.ビアッジ | アプリリア | 1:57.790 |
3 | L.キャミア | アプリリア | 1:58.279 |
4 | C.チェカ | ドゥカティ | 1:58.472 |
5 | T.サイクス | カワサキ | 1:58.641 |
6 | E.ラバティ | ヤマハ | 1:58.756 |
17 | ルーベン・チャウス | Honda | 2:00.432 |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|
1 | B.パークス | カワサキ | 2:02.093 |
2 | D.サロン | カワサキ | +0.361 |
3 | サム・ロース | Honda | +0.615 |
4 | C.デイビス | ヤマハ | +0.965 |
5 | L.スカッサ | ヤマハ | +1.047 |
6 | M.ロッコリ | カワサキ | +1.348 |
7 | ファビアン・フォーレ | Honda | +1.444 |
8 | ジェームス・エリソン | Honda | +1.521 |
9 | ロビン・ハームス | Honda | +1.706 |
11 | フローリアン・マリーノ | Honda | +1.728 |
12 | ジノ・レイ | Honda | +1.852 |
14 | アレクサンダー・ルンド | Honda | +2.520 |
15 | ミゲル・プライア | Honda | +2.669 |
16 | パウェル・スコペック | Honda | +2.745 |
17 | ウラジミール・イワノフ | Honda | +3.503 |
18 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | +3.584 |
21 | ローマン・スタム | Honda | +3.879 |
23 | イムレ・トース | Honda | +3.995 |
24 | バラージュ・ネメス | Honda | +4.419 |
27 | ミッチェル・ピロッタ | Honda | +7.209 |