ドニントンパークで開催された第2戦ヨーロッパ大会決勝は、両レースともに気温が10℃以下の寒さとなり、路面温度も8℃前後という厳しい条件の中で行われた。その中で、Castrol Honda World Superbike Teamのジョナサン・レイとルーベン・チャウスは、ともに両レースで完走し、ポイントを獲得した。
地元大会に闘志満々。予選8番手から優勝を目指したレイは、第1レース5位、第2レース6位と、惜しくも表彰台に届かなかった。第1レース、第2レースともにレイは、気温も路面温度も低いことからソフトタイヤをチョイスした。その選択は決して悪くなかったのだが、中盤以降、厳しい走りを強いられた。
第1レースは、まずまずのスタートから序盤はトップグループに加わった。今大会は、タイヤの選択が難しく、目まぐるしくポジションが入れ替わった。ソフトを選択した選手は後半順位を落とし、ハードを選択した選手は追い上げのレースをする。そのようなレース展開の中で両レースともにソフトをチョイスしたレイは、後半苦しい走りを強いられることになるが、ラップタイムを大きく落とさない巧みな走りを見せた。
チャウスは、第1レース12位、第2レース10位という結果だった。ハードをチョイスした第1レースは、スタートからゴールまで、思うようにペースを上げられず、苦しい走り。そのため第2レースはソフトをチョイス。それでペースを取り戻し、レース中盤までは5位になったホアン・ラスコルツ(カワサキ)とバトルを繰り広げ、チームメートのレイの背後に迫り、6番手まで順位を上げることに成功していた。しかし、後半はタイヤの消耗でペースを落とし、10位だった。
両レースともに厳しいコンディション。その厳しいコンディションの中で、フリー、予選とエンジンブレーキのセッティングなどに苦しみ、完ぺきな状態を作れないまま決勝に挑んだ両選手だったが、粘り強い走りで両レースともにトップ10フィニッシュを果たした。次戦オランダ大会は、チームのホーム大会。今大会のデータを生かし、今季初表彰台、初優勝を目指すことになる。
第1レースで優勝したのはマルコ・メランドリ(ヤマハ)。第2レースはカルロス・チェカ(ドゥカティ)だった。
スーパースポーツ世界選手権は、予選6番手から追い上げのレースを見せたジノ・レイ(Step Racing Team)が今季初表彰台となる3位。レイとし烈な戦いを繰り広げたロビン・ハームス(Harms Benjan Racing Team)が4位でフィニッシュした。予選3番手から中盤まで3番手を走ったサム・ロース(Parkalgar Honda)は、オープニングラップ6番手から猛烈な追い上げを見せる。中盤にはファステストラップを刻んでトップグループに迫ったが、惜しくもトラブルでリタイアとなった。そのロースと3位争いに加わったジェームス・エリソン(Bogdanka PTR Honda)も転倒リタイアと、CBR600RR勢にとっては激しい戦いとなった。優勝したのはルカ・スカッサ(ヤマハ)だった。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 5位/6位)「5位と6位という結果は、ここまでの状態を考えれば決して悪いわけではないが、自分が望んだリザルトではなかった。もっといい結果を残そうとがんばった。第2レースはミスもなく全力を尽くせただけに残念だった。レース序盤、できる限りプッシュした。それなのに簡単に引き離されてしまった。今日はソフトタイヤをチョイスした。しかし、レース中盤でタイヤは消耗してしまった。それも終盤遅れた理由の1つだった。今日のレースを終えて、いくつか感じたのは、これは電気的なものだが、スローコーナーからの立ち上がりを改善しなくてはいけないということ。次戦のアッセンは、同じようなセクションがあるので、この部分をよくする必要がある。これ以上、トップグループとのギャップが開かないように、そして、その差を縮めていかなければならない。これからを考えれば、もっともっとがんばらないといけない」
ルーベン・チャウス(スーパーバイク 12位/10位)「第1レースは、タイヤの持ちを考えてハードタイヤで挑んだが、まだCBR1000RRで2戦目ということもあり、うまく使いこなせなかった。寒かったこともあって、ブレーキングの立ち上がりもいいフィーリングを得られなかった。とにかく、1カ月前のオーストラリアは暖かかったし、あれから1カ月が経って、この寒さの中でパフォーマンスを発揮するのは、決して簡単ではなかった。第2レースはソフトをチョイスした。そのためフィーリングはよかったし、ラスコルツを追いかけ、その後、ジョニー(レイ)の後ろで数周走ることができた。しかし、タイヤのグリップが落ちてペースを落とし、3、4人のライダーに抜かれてしまった。それからは完走するための走りに徹した。両レースでポイントを獲得できたことはよかった。トップグループとの差も縮めることができた」
ジノ・レイ(スーパースポーツ 3位)「今日のレースは、ちょっとラッキーだった。予選まではあまりいい状態ではなかった。どこまでやれるか自信もなかった。開幕戦オーストラリアで転倒しているし、とにかくポイントを獲得したかった。それが3位で終われて、なんて言ったらいいのか分からない。ただびっくりしている。一生懸命がんばってくれたチームに本当にお礼を言いたい。本当にすばらしい気分だ」
ロビン・ハームス(スーパースポーツ 4位)「チャンピオンシップでは、Honda勢のトップとなる3位。これはいいことだけれど、今日は表彰台に立ちたかった。終盤、3位争いの中で、コーナーでワイドになってしまいグラベルを走らざるを得なかった。それで6位まで落ちてしまい、なんとかポジションを回復した。表彰台には立てなかったけれど、ベストを尽くしたと思う。チームにとってもベストリザルト。次戦もがんばりたい」
フローリアン・マリーノ(スーパースポーツ 6位)「厳しいレースになると思っていたが、その通りになった。予選ではいいバランスを見つけ、マシンの感触もよかった。でも決勝は気温が低いので、違うタイヤをチョイスした。結果的にそれがうまくいかなかった。何度もハイサイドになり、序盤には、転倒しかけて腕を強く打ってしまった。それからあまり強くプッシュできなかったが、ポイントを獲得できてよかった」
サム・ロース(スーパースポーツ リタイア)「先頭の2人に近づいているときにクラッチに問題が出てしまった。とても残念。あのまま走っていれば優勝できるレースだった。リタイアする直前にラップレコードを出した。本当にがっかりしている。母国ファンの前で本当に優勝したかった。ポジティブなこととしては、速さを見せられたこと。アッセンでは、この埋め合わせをしたい」
スーパーバイク(レース1)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | M.メランドリ | ヤマハ | 23 | 34:33.189 |
2 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 23 | +2.455 |
3 | C.チェカ | ドゥカティ | 23 | +5.839 |
4 | L.ハスラム | BMW | 23 | +6.176 |
5 | ジョナサン・レイ | Honda | 23 | +9.039 |
6 | 芳賀紀行 | アプリリア | 23 | +9.215 |
12 | ルーベン・チャウス | Honda | 23 | +28.378 |
スーパーバイク(レース2)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | C.チェカ | ドゥカティ | 23 | 34:21.537 |
2 | M.メランドリ | ヤマハ | 23 | +3.397 |
3 | L.キャミア | アプリリア | 23 | +5.902 |
4 | L.ハスラム | BMW | 23 | +13.842 |
5 | J.ラスコルツ | カワサキ | 23 | +14.253 |
6 | ジョナサン・レイ | Honda | 23 | +19.413 |
10 | ルーベン・チャウス | Honda | 23 | +24.907 |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | L.スカッサ | ヤマハ | 22 | 33:40.762 |
2 | C.デイビス | ヤマハ | 22 | +0.270 |
3 | ジノ・レイ | Honda | 22 | +20.374 |
4 | ロビン・ハームス | Honda | 22 | +23.469 |
5 | B.パークス | カワサキ | 22 | +24.872 |
6 | D.サロン | カワサキ | 22 | +32.001 |
8 | フローリアン・マリーノ | Honda | 22 | +43.826 |
10 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 22 | +55.956 |
11 | ミゲル・プライア | Honda | 22 | +1:00.717 |
13 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | 22 | +1:06.106 |
14 | バラージュ・ネメス | Honda | 22 | +1:08.528 |
16 | イムレ・トース | Honda | 21 | +1Lap |
17 | ミッチェル・ピロッタ | Honda | 21 | +1Lap |
RT | ジェームス・エリソン | Honda | 21 | +1Lap |
RT | パウェル・スコペック | Honda | 18 | +4Laps |
RT | バスティン・シェゾー | Honda | 14 | +8Laps |
RT | サム・ロース | Honda | 12 | +10Laps |
RT | ウラジミール・イワノフ | Honda | 3 | +19Laps |
NS | ロベルト・ムレシャン | Honda | 0 |
ライダー(スーパーバイク)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C.チェカ | ドゥカティ | 91 |
2 | M.メランドリ | ヤマハ | 72 |
3 | L.ハスラム | BMW | 53 |
4 | M.ビアッジ | アプリリア | 49 |
5 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 42 |
6 | ジョナサン・レイ | Honda | 38 |
14 | ルーベン・チャウス | Honda | 16 |
マニュファクチャラー(スーパーバイク)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | ドゥカティ | 95 |
2 | ヤマハ | 74 |
3 | アプリリア | 66 |
4 | BMW | 53 |
5 | Honda | 38 |
6 | カワサキ | 32 |
7 | スズキ | 27 |
ライダー(スーパースポーツ)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | L.スカッサ | ヤマハ | 50 |
2 | B.パークス | カワサキ | 31 |
3 | ロビン・ハームス | Honda | 24 |
4 | D.サロン | カワサキ | 23 |
5 | C.デイビス | ヤマハ | 20 |
6 | フローリアン・マリーノ | Honda | 17 |
7 | ジノ・レイ | Honda | 16 |
8 | サム・ロース | Honda | 16 |
10 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 13 |
11 | ジェームス・エリソン | Honda | 10 |
13 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | 7 |
15 | ミゲル・プライア | Honda | 5 |
18 | バラージュ・ネメス | Honda | 4 |
19 | バスティン・シェゾー | Honda | 3 |
21 | イムレ・トース | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(スーパースポーツ)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | ヤマハ | 50 |
2 | Honda | 32 |
3 | カワサキ | 31 |
4 | トライアンフ | 7 |