開幕戦オーストラリア大会から1カ月のインターバルを経て、スーパーバイク世界選手権(WSB)第2戦ヨーロッパ大会が25日からイギリス・ドニントンパークで開幕した。ドニントンパークでスーパーバイク世界選手権が開催されるのは、2009年以来、2年ぶり。コースレイアウトに変化はないが、この大会に向けて、安全性を高めるためにコースの数カ所で、グラベルを拡張する工事が行われた。
ドニントンパークは、一周4.023km。コース前半は高速セクション、終盤はシケインと2カ所のヘアピンが連続するストップ&ゴー区間と、まったく異なるセッティングが求められる難コースとして知られる。今大会は3月下旬の開催。金曜日は16℃まで気温が上昇したが、土曜日の午前中に行われた2回目の予選は気温7℃。スーパーポールの時点でも10℃までしか上がらないという厳しい寒さの中で行われた。
開幕戦オーストラリア大会では、事前テストの転倒で両手を負傷し、完ぺきにほど遠い体調ながら、第2レースで4位と健闘したジョナサン・レイ(Castrol Honda World Superbike Team)は、ホーム大会を迎えて気合満点。「ドニントンがカレンダーに戻ってとてもうれしい。大好きなコースで、ホームでみんなに会えるのも楽しみ。体調もほぼ完ぺきだ」と開幕を待ちわびていた。初日はセッティングが決まらず16番手と出遅れたが、2日目の予選では本来の調子を取り戻し、6番手まで浮上。スーパーポールでも8番手につけて2列目を確保。本番では、今季初優勝を目指し、追い上げのレースに挑む。
チームメートのルーベン・チャウスは、初日8番手とまずまずのスタートを切ったものの、2日目の予選で12番手へポジションを落とした。さらに、上位16台で行われるスーパーポールでは、最下位の16番手に終わった。今大会、コース終盤のブレーキングに課題を抱えたチャウス。セッティングの方向を完全に間違えたことで順位を落としてしまった。「ドニントンパークは大好きなコース。オーストラリアが終わって、この1カ月スペインで暮らしていたので寒さが心配」と語っていたが、2日目の気温低下に合わせたセットアップがうまく機能しなかった。しかし、セッティングの方向性を見つけたチームは、決勝でのばん回に全力を尽くす意気込みだ。
ポールポジションはカルロス・チェカ(ドゥカティ)が2戦連続で獲得した。
スーパースポーツ世界選手権(WSS)は、開幕戦オーストラリア大会で3位表彰台に立ったサム・ロース(Parkalgar Honda)が、ホーム大会で2戦連続表彰台を狙う。自宅からサーキットまでが1時間半というロースは、「知り尽くしているドニントンパークで世界選手権を戦うのは不思議な気分」と気合満点。オーストラリアでは惜しくもデビューウインを逃したが、凱旋レースとなる今大会は優勝を狙っている。初日は2番手。気温が低下した2日目は痛恨の転倒で3番手にダウンしたが、逆転優勝に闘志を燃やす。
6番手にはジノ・レイ(Step Racing Team)。開幕戦オーストラリア大会では左手親指を負傷して決勝はリタイア。今回も完全な状態ではないが、昨年のシルバーストーンでは3位表彰台に立っているだけに、2年連続ホーム大会で表彰台に立つ意気込みだ。そのほかに、7番手のロビン・ハームス(Harms Benjan Racing Team)、8番手のジェームス・エリソン(Bogdanka PTR Honda)、9番手のフローリアン・マリーノ(Hannspree Ten Kate Honda)とトップ10入りしたCBR600RR勢が上位を狙う。また、開幕戦オーストラリア大会で手と背中を負傷したファビアン・フォーレ(Hannspree Ten Kate Honda)は予選12番手。決勝レースに出場するかどうかは、日曜日に決断する。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 8番手)「この2日間、気温の変化が大きくて、タイヤの選択がとても難しかった。コンディションに合わせていろいろトライしたが、決勝もどうなるかわからないので、明日もタイヤの選択に集中しなければならない。マシンの状態はよくなっているが、エンジンブレーキのセッティングが完ぺきではない。特にハードブレーキングが連続するコース終盤で問題を抱えている。まだトップとのタイム差があるので、今日のスーパーポールはベスト8に残ることを目標にした。オーストラリアで負傷した手のケガは、まだ痛みはあるけれど、ほぼ問題はない。ドニントンは大好きなサーキット。ホーム大会なのでいい結果を残したい」
ルーベン・チャウス(スーパーバイク 16番手)「開幕戦のオーストラリア・フィリップアイランドとはまったく違うコンディションで、この2日間はまるでウインターテストに参加しているような気分だった。オーストラリアとはまったく違うセッティングに変えなければならかったため、いろいろとトライした。特にコース終盤のブレーキングに課題を抱えているので、その解消に全力を尽くしている。まだまだ完ぺきにはほど遠いが、オーストラリアに比べたら方向性は見えているので、その分いい結果になるかも知れない。明日は2レースともポイントを獲得して、第3戦のオランダにつながるレースにしたい」
サム・ロース(スーパースポーツ 3番手)「初日の予選は気温も路面温度も高かったが、今日は一気に寒くなったため難しかった。初日は2番手とまずまずのスタートが切れた。今日はセッション序盤に転倒したため初日のタイムを更新できず、3番手に落ちてしまった。でも、フロントローを獲得できてよかった。ドニントンパークは知り尽くしているサーキット。こうして世界選手権でドニントンを走るのは不思議な感じがする。オーストラリアでは3位になれた。今回も地元ファンの前で、オーストラリアのように表彰台に立ちたい」
スーパーバイク
順位 | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|
1 | C.チェカ | ドゥカティ | 1:28.099 |
2 | L.ハスラム | BMW | 1:28.365 |
3 | T.サイクス | カワサキ | 1:28.556 |
4 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 1:28.561 |
5 | 芳賀紀行 | アプリリア | 1:28.673 |
6 | M.ビアッジ | アプリリア | 1:28.702 |
8 | ジョナサン・レイ | Honda | 1:29.514 |
16 | ルーベン・チャウス | Honda | 1:30.076 |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|
1 | L.スカッサ | ヤマハ | 1:31.232 |
2 | C.デイビス | ヤマハ | +0.018 |
3 | サム・ロース | Honda | +0.136 |
4 | B.パークス | カワサキ | +0.413 |
5 | D.サロン | カワサキ | +0.731 |
6 | ジノ・レイ | Honda | +0.848 |
7 | ロビン・ハームス | Honda | +0.904 |
8 | ジェームス・エリソン | Honda | +0.921 |
9 | フローリアン・マリーノ | Honda | +0.978 |
11 | ウラジミール・イワノフ | Honda | +1.462 |
12 | ファビアン・フォーレ | Honda | +1.475 |
15 | アレクサンダー・ルンド | Honda | +1.955 |
17 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | +2.296 |
19 | パウェル・スコペック | Honda | +2.426 |
20 | ミゲル・プライア | Honda | +2.479 |
22 | ロベルト・ムレシャン | Honda | +2.674 |
23 | バラージュ・ネメス | Honda | +2.960 |
24 | バスティン・シェゾー | Honda | +3.084 |
25 | ミッチェル・ピロッタ | Honda | +3.342 |
26 | イムレ・トース | Honda | +3.951 |