round 12

August 14 2011, RACE
IZOD IndyCar Series New Hampshire Motor Speedway
第12戦 ニューハンプシャー

大荒れのレースでライアン・ハンターレイが今シーズン初優勝
一時トップを走行した佐藤琢磨は7位フィニッシュ

アメリカ東北部のニュー・イングランドと呼ばれる地域で1998年以来という久しぶりの開催となったインディカー・レースは、雨の予報が出ていたために予定の4時よりも30分早くスタートが切られました。天気予報の通り、225周のレースが100周を迎える前に雨が降り出しましたが、走行を完全にストップするまでの雨ではなかったため、フルコースコーションで周回は続けられました。しかし、もうゴール間近の200周を超えてから雨が若干強くなり、それでもインディカーのレースコントロールは216周目にリスタートを切る決断を下したことから、多重アクシデントを招いてしまったのでした。

グリーンフラッグが振られようというところで、6番手を走っていたダニカ・パトリック(Andretti Autosport)がスピン。彼女のマシンは5番手につけていたウィル・パワー(Team Penske)の目の前を横切ったために後続で大混乱が発生し、パワー、佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)、アナ・ベアトリス(Dreyer & Reinbold Racing)、エド・カーペンター(Sarah Fisher Racing)らがクラッシュしてしまいました。

  • ライアン・ハンターレイライアン・ハンターレイ
  • オリオール・セルビア(左)、ライアン・ハンターレイ(中央)、スコット・ディクソン(右)オリオール・セルビア(左)、ライアン・ハンターレイ(中央)、スコット・ディクソン(右)
  • オリオール・セルビアオリオール・セルビア
  • スコット・ディクソンスコット・ディクソン
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨

レースはその後もフルコースコーションのまま周回が重ねられたのですが、再びグリーンフラッグが振られることはなく、一旦赤旗でストップ。その後、コースがレース可能な状態に戻ることはないと判断され、コントロールラインにチェッカードフラッグが提示されました。

インディカーは、多重アクシデントが発生した216周目のリスタートにはグリーンフラッグが出されていなかったことから、その1周前の215周目の順位を最終結果として採用。その結果、優勝はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)のものとなり、オリオール・セルビア(Newman Haas Racing)が2位、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が3位という結果になりました。

ポールポジションからレースの半分以上を悠々とリードし続けたダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、118周目のリスタートで2位を走っていた佐藤と接触し、180度スピンしてストレート・イン側のウオールにヒット。そこでレースを終えました。このアクシデントによってハンターレイはトップに躍り出て、優勝を手にしました。今シーズンの初勝利はキャリア5勝目となるものです。

パワーはマシンのハンドリングが悪かったものの、チームの作戦がよく、粘り強くレースを走り続けて5位フィニッシュ。フランキッティとのポイント差を47点に縮めることに成功しました。

予選8番手から2位まで浮上する快走を見せた佐藤は、118周目のリスタート時に起きたフランキッティとの接触でタイヤがパンクし、フロントウイングにダメージを受けたためにピットストップを2回行いました。しかし、それでもリードラップに残り続ける8位をキープし、ライバル勢が全員ピットインしたことでトップに躍り出ました。しかし、彼もまた少しあとのタイミングで最後のピットストップを行わねばならず、最終的にポジションを7位に上げ、今年6回目のトップ10フィニッシュを記録。佐藤のシリーズランキングはトップ10に復帰しました。

コメント

ライアン・ハンターレイ(優勝)「私たちのマシンは、トラフィックの中でとても速く走りました。今週はプラクティスを走るたびにマシンを着々とよくしていくことができていました。ダリオ・フランキッティはとても速かったのですが、彼はリスタートでのアクシデントによりゴールまで走りきれませんでした。レースの世界では時として、最速のマシン、最速のドライバーが勝つとは限らないのです。最後のリスタートが切られたことを私は驚きました。雨が降っていて、タイヤを温めることがまったくできなかったし、2速ギアでも3速ギアでもタイヤは空転し、パワーを路面に伝えることができていませんでした。このコースは本当に難しく、走っていておもしろく、私は大好きです。このようなコースでのレースでウイナーになれたことをうれしく思います。今日はオーバーテイクも多く、とてもエキサイティングなレースになったと思います」

オリオール・セルビア(2位)「レース終盤は路面がかなり濡れていたので、リスタートは切られるべきではなかったと思います。しかし、レースコントロールはグリーンフラッグを出しました。そして、イエローフラッグが出された時、私はライアン・ハンターレイよりも前に出ていました。オフィシャルは一旦私をレースリーダーとして認めながら、順位を入れ替えました。その判断がなければ私が勝っていたレースだったので、この結果はとても残念です」

スコット・ディクソン(3位)「とても長い一日となりました。200周を終えた時点で、もう500マイルを走ったかのように感じていました。そして最後のスタートが切られ、アクシデントが発生しました。あのスタートは切られるべきではなかったと思います。スタート時刻を早めたのはインディカーによる好判断でしたが、彼らは雨が降っている状況だというのに、レースを続けることにこだわり過ぎたように感じていました。あの最後のリスタートでライアン・ハンターレイは加速せず、オリオール・セルビアが彼の前に出ていました。私は彼の後ろの2位となっていました。グリーンフラッグは出されたのですから、私は3位ではなく、2位という結果を手にするべきだと思います。しかし、今日のハンターレイは本当に速く、それは優勝に値するものであったと思っています」

佐藤琢磨(7位)「ダリオ・フランキッティとのアクシデントは、非常に残念なものでした。こちらはラインを保っていたと思うのですが、非常に接近していたのは事実で、まだ映像確認をしていないのでなんとも言えませんが、自分の方がもう少しスペースを与えるべきだったのかもしれません。タイヤとフロントウイングを交換したあと、何台ものマシンをオーバーテイクできました。雨が降っていたことが、自分にオーバーテイクを可能にしてくれました。だから最後のレース再開は、自分としては望んでいたことでもありました。もっと順位を上げられると思ったからです。しかし、リスタート時のスピードがとても遅く、目の前を走っていたウィル・パワーとの距離が一気に縮まって、そこで自分より前を走っていたマシンが急減速したので、接触してスピンしてしまいました。インフィニオン・レースウェイでの次戦は、昨年のリベンジではないですが、来週のテストを有効に使って、いいレースを戦い、いいリザルトをつかみたいです」

ロジャー・グリフィス |HPDテクニカル・ディレクター「インディカーとしては、225周のレースを最後まで行いたかったのです。ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイに集まったくれたファン、テレビで観戦してくれているファンに、レースをゴールまで見せたかったのです。インディカー・レースはスポーツであり、エンターテインメントでもあるからです。しかし、今日の場合はレースを続けるのに適したコンディションではなかったようです。レースはとてもエキサイティングでした。予想されていたよりも多くのオーバーテイクを見ることができました。ニューハンプシャーの1マイル・オーバルは非常にテクニカルで、ドライビングやマシンセッティングが難しくなることにより、レースをおもしろいものにしたのだと思います。今日はポイントリーダーのダリオ・フランキッティがリスタートでのアクシデントから、ゴールまで走り続けることができませんでした。2位につけていた佐藤琢磨とのアクシデントは、どちらにも同じだけの責任があったと考えられますが、フランキッティが接近していったようにも見えました。彼は20位という結果しか得られず、ポイント2位のウィル・パワーが5位フィニッシュを果たしたことにより、チャンピオン争いの行方はまたわからなくなりました」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
128ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F1:58:01.5843
22オリオール・セルビアNewman Haas RacingD/H/F+0.2361
39スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F+1.4839
406ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas RacingD/H/F+2.1750
512ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F+2.8250
67ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+3.6173
75佐藤琢磨KV Racing Technology-LotusD/H/F+4.1174
86ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+1Lap
983チャーリー・キンボールChip Ganassi RacingD/H/F+2Laps
1014ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+3Laps
1167エド・カーペンターSarah Fisher RacingD/H/F+8.7102
1259E.J.ヴィソKV Racing Technology-LotusD/H/F+10.0538
1319アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F+4Laps
1424アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold RacingD/H/F+5Laps
1534セバスチャン・サーベドラConquest RacingD/H/F+8.1992
1678シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+6Laps
173エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+13Laps
1818ジェームズ・ジェイクスDale Coyne RacingD/H/F+39Laps
1977アレックス・タグリアーニSam Schmidt MotorsportsD/H/F+78Laps
2010ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+97Laps
214J.R.ヒルデブランドPanther RacingD/H/F+97Laps
2282トニー・カナーンKV Racing Technology-LotusD/H/F+106Laps
2322トーマス・シェクター Dreyer & Reinbold Racing D/H/F+106Laps
2426マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+106Laps
2527マイク・コンウェイAndretti AutosportD/H/F+215Laps
2638グラハム・レイホールChip Ganassi RacingD/H/F+215Laps
2730ピッパ・マン Rahal Letterman Lanigan Racing D/H/F+215Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing443
2ウィル・パワーTeam Penske396
3スコット・ディクソンChip Ganassi Racing370
4オリオール・セルビアNewman Haas Racing308
5トニー・カナーンKV Racing Technology-Lotus295
6ライアン・ブリスコーTeam Penske277
7マルコ・アンドレッティAndretti Autosport270
8ライアン・ハンターレイAndretti Autosport261
9グラハム・レイホールChip Ganassi Racing240
10佐藤琢磨KV Racing Technology-Lotus238
11エリオ・カストロネベスTeam Penske237
12ダニカ・パトリックAndretti Autosport235
13J.R.ヒルデブランドPanther Racing234
14ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises229
15アレックス・タグリアーニSam Schmidt Motorsports226
16ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas Racing217
17マイク・コンウェイAndretti Autosport200
18ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing183
19チャーリー・キンボールChip Ganassi Racing182
20シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing181
21E.J.ヴィソKV Racing Technology-Lotus180
22アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing157
23セバスチャン・サーベドラConquest Racing145
24ジェームズ・ジェイクスDale Coyne Racing138
25セバスチャン・ブルデーDale Coyne Racing122
26エド・カーペンターSarah Fisher Racing103
27アレックス・ロイドDale Coyne Racing75
28ポール・トレイシーDragon Racing68
29ラファエル・マトスAFS Racing67
30ダン・ウェルドンBryan Herta Autosport with Curb/Agajanian59
31シモン・パジェノーDreyer & Reinbold Racing41
32トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing 40
33ベルトラン・バゲットRahal Letterman Lanigan Racing 30
34ジェイ・ハワードRahal Letterman Lanigan Racing27
35デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing26
36タウンゼント・ベルSam Schmidt Motorsports21
37ピッパ・マンRahal Letterman Lanigan Racing 20
38バディ・ライスPanther Racing20
39ジョン・アンドレッティRichard Petty/Andretti Autosport16
40マーティン・プロウマンSam Schmidt Motorsports12
41ワイド・カニンガムSam Schmidt Motorsports10
42ブルーノ・ジュンケイラA.J. Foyt Enterprises 0
43ホーピン・タンSchmidt Dragon Racing0
44スコット・スピードDragon Racing0