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武藤英紀 第2戦 鈴鹿サーキット
 

 みなさん、こんにちは。今シーズン、ナカジマ・レーシングからフォーミュラ・ニッポン(以下FN)とSUPER GTに参戦している武藤英紀です。先週の日曜日に鈴鹿サーキットで行われたFNシリーズ第2戦の結果を報告します。

  今回のシリーズ第2戦は、フォーミュラドリームやF3でも随分走り込んできた、僕にとってはホームコースの鈴鹿サーキットが舞台。Hondaのサーキットでもあるし、是非とも好成績を、と心に期してサーキットにやってきました。
  3月の公式合同テストではまずまず順調といえるタイムをマークすることが出来ましたが、もっと速いタイムを出せないか、とエンジニアに相談して、新しいセットで金曜日の公式合同テストに臨むことにしました。ところが、タイムが伸び悩んでしまいました。セットがどうこうよりも、僕自身がいけてないところもあったのですが、再びエンジニアと相談して土曜日の公式予選には、3月の公式合同テストと同じセッティングにいったん戻したところから始めることになりました。
 

<予選>
 公式予選が行われた土曜日は、雨。午前中のセッションは完全なウエット。雨が小止みになった午後のセッションは、ウエットからドライへと変わっていく難しいコンディションでした。
  1回目、走り始めた時はマシンのバランスも上々で、手応えもあったのですが、オイルを撒いたマシンがあったようで、後半はとても滑りやすくなってしまい、おまけにマシンのフィーリングも変わってきました。それでも、セッションの前半にマークしていた2分2秒467で暫定7番手。チームメイトのロイック(・デュバル選手)も2秒7まで詰めていたのですが、そのタイムをマークした時にコースで黄旗が出ていてノーカウントとなり18番手まで後退。ツイてないよなぁ、と思っていたら、午後、今度は僕が全く同じ状況になってしまいました。
  2回目も、走り始めはウエットでしたが、次第にラインが乾き始めてきて、残り30分のドライ勝負になりました。スリックに履き替えて、最初は恐る恐る、という感じでいたのですが、こんな状態でも温まってくると、スリックタイヤが意外にもグリップするのです。少しずつタイムアップし、1分49秒720まで詰めたところでピットイン。この時点では4番手でしたが、当然、コンディションが良くなった分、他のドライバーもタイムアップしてくるはずで、もう1セット使って再度タイムアタック。1分48秒081からファイナルラップでは1分47秒553まで詰めることができました。ロイックより僅かに速くて8番手。まずまずだと思っていたら、そのタイミングで黄旗が出ていたことを指摘されました。そう言えばヘアピンで道上(龍選手)さんがスピンしていて、黄旗出ていたよなぁ、と思い出しましたが、これはもうどうにもできません。結局、セカンドベストの48秒081で14番手となってしまいました。
  それでも、47秒5のタイムをマークできたのは事実。マシンに速さはあるんだから、明日の決勝、絶対に追い上げてやろう、と気を持ち直しました。

<決勝>
 決勝はドライコンディションとなりました。朝のフリー走行はウエットコンディションのままでしたが、フルタンクで燃費のチェックをメインに走って1分51秒台をマーク。決勝に向け、集中力を高めていきました。
  開幕戦の富士が、豪雨のためにセーフティカーによるローリングだったから、ルーキーの僕にとっては初めてのスタートです。でも、考えてみればエンジンが一新したことで、ベテランのドライバーだって、このマシンでは初めてのスタートだったんです。上位陣が混乱する中、上手くポジションを上げることができ、1コーナーを立ち上がっていくまでに10番手まで進出していました。目の前にはチームメイトのロイックがいて、2台で追い上げていくぞ! とフルスロットル。
  でも、スタートから間がないとあって、全員がフルタンク、そしてニュータイヤと同じコンディションでは、簡単にはパスできません。上位陣ではブノワ(・トレルイエ選手)がジャンプスタートでドライビングスルーのペナルティ、アンドレ(・ロッテラー選手)がタイヤのパンクでピットイン、とハプニングがあったようですが、ともかく8番手まで上がったもののレースは膠着状態。上位8台が縦列走行を続ける展開となりました。
  チームは素早く作戦を変更。早めにルーティンのピットインを行うことになりました。16周を終えたところでまずはロイックが、それから5周後には僕もピットインすることになりました。このピットイン→タイヤ交換&ガソリン補給→ピットアウトも、FNの実戦では初めてです。GTでは開幕戦にロイックから僕へのドライバー交替も経験していますが、ピットインして作業の後ピットアウトするのは、ちょっとドキドキでしたが、チームは完璧な仕事をしてくれました。後で聞いたらロイックの時よりも、5秒も速く、ピット作業を終えてくれたようです。
  ピットロードを抜けてコースに戻るとロイックが目の前を通過していきました。ついつい、僕も全開……タイヤが温まっていないニューだったことをすっかり忘れてしまい、1コーナーではオーバーラン。グラベルに捕まって立ち往生することなく、何とかコースに復帰できたものの、先にピットインを済ませていた数台にパスされてしまいました。
  痛恨のミスでしたが、それでも悔やんでいる暇はありません。その後は目一杯の走行を続けることができました。終盤になって、雨がパラつき始め、コースは滑りやすくなりましたが、ここでもミスすることなくハイペースを保ち、6位でチェッカーを受け、初ポイントを獲得。少しだけですがチームの期待に応えることができました。

 今回のレースは、ピットアウト直後のミスが総てでした。何とか1ポイントを獲ることはできましたが、チームメイトのロイックが優勝しているだけに、悔しさの方が大きいです。決勝に向けていいマシンを用意してくれたチームにも申し訳ない気持ちで一杯です。でも、51周のレースを走りきることで、よい経験を積むことができました。また、大きなミスをした後、集中力を途切れさせることなく、その後はノーミスで、しかも速いペースで走り続けたことも自信に繋がりました。
  GTも含めて開幕前からハードスケジュールが続いていましたが、次回のFNは5月末(決勝は28日)のもてぎ。その前にゴールデンウィークには富士でGT(決勝は5月4日・祝日)がありますが、少しだけ余裕ができました。ここで気持ちを切り替えて、次回こそ、自分自身で納得できるレースをして、好結果を報告したいと思います。ご期待下さい。

 
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