官能の世界へ。
- たぁちゃんさん (20代/宮崎県)
2013年10月30日の投稿
もうすぐNSXを購入して2年目を迎えようとしている。
NSXとの出会いは3歳の時。父の友人が乗ってきた真っ赤なフォーミュラレッドのNSXは今でも鮮明に脳裏に焼きついている。『いつかはNSX…』子供心に固く誓った。
そして23歳。当時乗っていたN社のスポーツカーからの乗り換えを考え様々な車種を検討し、とある車種を買おうと思いショップに向かった。その購入目的のクルマの隣にNSXも展示されていた。
地を這うかの如く低く美しい流線型のボディー、引き締まった肉体美と流麗な曲線美が織り成すNSXのスタイリングに購入目的のクルマのことは脳裏から消え失せ、ただただNSXに見惚れていた。NSXを買おう…
しかし葛藤もあった。
当時23歳の若造が購入してもいいのか?購入金額は当時検討していたクルマを新車フルオプションで買える。ましてや20年近くが経とうとしている中古車…
しかし歯止めは利かなかった。人生は1度だけ、明日死ぬかもしれない。NSXに乗らずに死ぬ?…すべての不安はかき消された。
「このNSXを下さい」
そうして23歳の冬、晴れてNSXオーナーの仲間入りを果たすことができた。奇しくも納車日はクリスマス。
そこからの生活は筆舌に尽くし難いものであったのは言うまでもない。当然苦労はあったが、ガレージに佇むNSXを見れば苦労などどうということはない。
あれから2年。今でも初めて乗った時の気持ちは変わらない。地面に座るかの如きシートに身を委ね、Honda車独特のセルモーターの音を響かせたあとに背後のエンジンが目を覚ます。心躍る瞬間だ。
珠玉のHondaミュージックを奏で、どこまでも廻るかの如きエンジンフィール。正直これだけでNSXを買って良かったと思える。
速さだけなら世界のスーパースポーツに太刀打ちはできない。しかし乗り手の五感を刺激するNSXの乗り味はどのクルマにも負ける気はしない。
巷では新型NSXの発表を今か今かと待ちわびている。速さも大事、しかし乗り手を官能の世界へと誘うNSXの持ち味だけは失って欲しくないと切に願う。