免許を取って28年。
一度はスポーツカーの文法で作られた車を自分の足として乗ってみたいというのはわたしの夢のひとつでありました。
20年前に出たビートは自分でも手を出せる(維持できそうな)スポーツカーと言う条件を満たしていたのですが、色々な理由から逡巡しているうちに生産を終えてしまい、以来臍をかむ思いをしてきたものです。
そんな折のS660のリリースはまさに福音でした。
とはいえオーダーしたものの初めてのスポーツカーという事もあり納車までの期間は期待以上に不安もあった事も確かです。運転歴が長いとはいえ「ただ長いだけ」と言う私の経験を思うと扱いきれない可能性もそれなりにありましたから。
ですがいざ納車されてみるとそれらの大半は杞憂でした。
マニュアルミッションのダイレクト感、曲がる時の身の軽さ、軽自動車としては意外なほどの高速巡航性の高さ、オープン状態の視界の新鮮さ。どれもこれもが新鮮でした。
端的にいうなら「車の運転がこんなに楽しいものだとは!」を再認識させてくれたのがS660です。
同時に軽自動車と言う規格内で作られたがゆえに「日本人が日本の道を楽しむために特化して作られたようなスポーツカー」となっている点も大きな魅力でした。
もちろん欠点もありますが、それらはS660だからというよりもスポーツカー全般にも言えそうな点ばかりだと思います。
その意味ではこのクルマはスポーツカーのエッセンスをほどよく凝縮させた軽自動車とも思えます。
室内は私には狭いものの着座姿勢はしっくりくるもので、操作系の殆どが「あるべき所に適切に配置されている」のはスポーツカーならではと思います。
6速マニュアルミッションは2速から4速の間を最も多用しますがシフトフィールも良く満足している点のひとつ。
ブレーキもなかなかで60キロからのフル制動でこれほど短い制動距離でしかも姿勢が乱れない軽自動車(及びコンパクトカー)は見た事がありません。
専ら休日の足としての使用ですが、燃費計で見る燃費は平均してリッターあたり20キロ前後と過給機の付いたスポーツカーとしては驚異的に思います。


