遂にS660が発売された。
モーターショー・コンセプトモデルはあまりにもかっこ良過ぎてボディサイズは軽自動車の規格を超えてるんだろうな、発売される時は規格内に収める為に手直しされて、ズングリしたスタイルになるのかなぁ、電動ルーフは無くてもいいからあのズングリスタイルはやめて欲しいな、等と思っていた。ところが発売されたモデルはどうだ、コンセプトモデルそのままの素晴らしさ！一線入魂スタイルは、見ただけで胸のときめきは高鳴るばかり。細い仕様が分かって来る程、その造り込みの拘りようには、なぁるほど〜といちいち頷いてしまう程説得力があり“欲しい”モードはたちまちレッドゾーンだ。
私はオープンスポーツのボディーカラーは派手な原色が好きっ！
ホワイトしか設定の無いコンセプトエディションは早々とパス、こいつはやっぱりブルーで決まりでしょう。
ミッションはCVTにしたよ。愛妻が限定免許だし、生活圏が渋滞圏だからね。HondaのCVTは、皆さんも良くご存じの通りとっても高性能。7速パドルシフトを使えば誰でもスポーティなドライビングが楽しめるし、万一渋滞に巻き込まれたって左膝がカクカク笑ったりしないよ。それに下手なくせにMTでヒールアンドトゥ等やろうもんなら足なんかツっちゃうもんね。
かくしてメーカーオプションのシティブレーキアクティブシステムとセンターディスプレイを装備したCVT仕様のS660は、素晴らしく妖艶で艶やかなプレミアムビーチブルー・パールを華やかに着飾って我が家にやって来たのである。営業所の皆さん全員で納車式を挙げて頂きました。
地を這う様な低いシートは身体全体を絶妙に包んでくれる。ウィンドゥ越しに見る前方視界の低さとオープンルーフは非日常感際立つ。
この低い視界は遠い昔、初代シビック、アコード、2代目プレリュードのシートから見たあの衝撃的光景。今、S660のスーパーコックピットがあの時の記憶を鮮明に蘇えさせる。そして、またしてもHondaがS660で新しいスポーツカーの到来を告げる。

とにかく楽し過ぎちゃってもうダメ。何が楽しいかって言われても具体的に言葉で表現するには少し時間が欲しい。
で、まだ800km位しか走ってないけど今の状況を少し。燃費がいいね、納車されてから初めてのロングドライブは、ツインリンクもてぎで開催されたS660オーナーズパレード出席。
往復とも一般道使用、帰路は渋滞に呑まれながらもアイドルストップの恩恵を受け、流れに乗った走りで約260km走行、その他、200km程度のツーリング数回、全て20km/L以上記録。満タン法、全行程エアコンON、妻と2名乗車。S660はツーリングカー的使用では素晴らしい経済車と言える。
伝統の“S”を授かったS660は専用エンジンでは無いが、そこが常用回転での燃費の良さに貢献しているのではないか。低回転でも予想以上にトルクフルだし、なんらストレスを感じる事無く流れをリードできる。特に停止状態からのスタートダッシュは後輪の蹴り上げが鋭くて、背中、腰にグっと来る快感は一度味わうとクセになっちゃうよ。まだ、高回転はさせてないのでなんとも言えないがそこは世界のHondaエンジン、高回転は得意中の得意、他の追随を許さない、きっとS660は低回転から高回転まで、低速域から高速域まで、両刀使いに違いない。
標準装備のオーディオはチューンしたいね。車載なので多くは望まないが、中高域の抜けを良くして全体のボンヤリ感を無くし音の輪郭をはっきりさせたい。S660にはバッハが似合う。シゲティの渋いバイオリンが奏でるモノラル録音のシャコンヌとS660のエキゾーストノートとのデュオはただただ感動の涙を誘う。
世界一でなければ駄目だ！と言われた本田宗一郎氏の言葉。S660は、今まさに世界一のスモールスーパーカーだと断言できるじゃないか。
見て素晴らしい、乗って楽し過ぎる、こんなS660を創業者であるあの本田宗一郎氏が見たらなんとおっしゃるでしょうか？顔を真っ赤にしてスパナを握り締めた右手をグルグル回しながら“バカヤロー、テメエら俺に内緒でこんなイイもん造りやがって、この馬鹿っ面ぁ〜っ！”と、言われるでしょうか。勿論、真っ赤になったお顔には、満面の笑みに溢れたあの宗一郎スマイルが…。