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このページの内容は、『carmode』編集部より提供されております。 |
後方に跳ね上がる斜めのラインは躍動感を表現 |
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G/G・Lパッケージはエアロなしでシンプル |
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中速域からの伸びとトルクの余裕が自慢の2.4L |
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2Lは数値こそ先代より劣るが、実用域で力強い |
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横基調デザインは視認性も高く、死角も少ない |
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新型ステップワゴン最大の特徴は、低床・低重心プラットフォームを採用したことだ。床は60mm下げられ、全高もマイナス75mmに達した。重心点も、なんと40mmもダウンしているのだ。重心点はコンマ数mmの違いで走りを変化させるだけに、40mmが操縦性に与える影響を無視できるはずもない。
走りは予測どおり、軽快なステップを踏む。グラグラと傾かぬよう、足が適度に硬められている。ミニバンだってことで妥協してきた、鈍重な気配を感じない。
味付けのキモは、ステアリングギヤレシオにある。なんとスポーツカー並に、ロック・トゥ・ロックが3回転半にまで切り詰められているのだ。これって、車庫入れなどで重宝するだけじゃなく、フットワークを俊敏にする効果もある。実際にステップワゴンは、ちょっとドキドキするような切れ味まで追い込んでいたのだ。
低床化をはたしたけれど、ミニバンの魅力は視点が高いことにもある。そのため、シートの着座点は大胆には低くしておらず、遠くを見渡せるようにしている。そのために、ハンドリングの切れ味とアイポイントにややアンバランスが感じられたのもミニバンでも走りにこだわるホンダゆえか。
2.4LDOHC+i-VTECは、最高出力162ps、最大トルク22.2kg-mを確保している。スペックを聞くかぎり、とくに驚かされることはない。実際に動力性能は、可もなく不可もなしといったところ。CVTならではの“唸りながら加速する”こと以外に、とくに印象に残らないのである。ただし、インパクトがないということは、いいことでもある。たとえば発進のその瞬間に、低回転トルク不足を感じないということでもあるし、トルクの谷がないことでもある。十分な加速性能が確保されているということでもあるのだ。実際に、トルクコンバーターが低速発進をサポートしてくれているし、7スピードモード付きCVTがオイシイ回転を探し当てながら加速してくれる。
ちなみに、パドルシフトつきのミニバンなんて、はじめてのご対面である。ステアリングスポークの裏に密かに羽を伸ばしているパドルをいじると、たしかに回転が上り下がりする。ちょっとだけアップテンポな走り方をするって時、とくに加速に移り変わる瞬間がダイレクトだから重宝する。パドルシフト付きのミニバンねぇ?
まったくホンダはやることが熱い。
2Lエンジンは2.4Lエンジンに比較して、最高出力はたった7psしか低くない。155psという出力を誇るのだ。さすがに最大トルクは19.2kg-mに留まるし、発生回転も多少は高回転寄りにはなるものの、2Lとしては十分だろうと予測できた。
それゆえに、1.5tもあるボディを加速させるのに、不満がないのは驚きだった。ついつい意気込んで発進してしまっても、ラフな動き出しにならない。それでいてクルージング体制からのダッシュでは、予測以上のトルクが導き出される。追い越し車線をリードさせるような速度域になると、わずかに排気量の不足を感じるけど、おおむね動力性能にイライラさせられることはなかった。
実は2L仕様には、2.4Lモデルのように7スピードモード付きCVTは採用されず、4速ATとの組み合わせのみ。だがDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)と合体されることによって、排気量の不足をカバーしているのだ。加速にもたつきがなく、ギヤの連係もスムースなのは、DBWが大きく貢献しているのだろう。
さて、低床・低重心化によって新しいミニバンの走りに挑んだものの、モノコックが大きなハコ型であることにより、ボディ剛性は本格的なセダンなどと比べると若干厳しいものの、従来のステップワゴンでは考えられないレベルになっている。突起を乗り越えると、NVHのうちのとくにバイブレーションが残る。パドルスイッチなどもついているものだから、ついついその気になってコーナーに挑むと、ボディのねじれを意識することもあった。
2.4Lでは205サイズの60偏平がおごられている。2Lではそれが65扁平に落ち着く。タイヤの特性とボディとのマッチングでは、2Lのほうが素直で穏やかに感じられた。
もっとも、不快に思うほどバイブレーションがあるわけでもなく、乗り心地も良好である。フットワークを妥協せず、しかも乗り心地を整えているのだ。
(レポート・木下隆之)