アブソルート。この言葉の響き。49歳になってもまだ私の中に車に対する「絶対」というこだわりが残っていたとは驚いた。決して車の中の車という意味ではなく、またミニバンの中のミニバンでもないだろう。恐らくオデッセイの中のオデッセイという意味においての「絶対」ではないかと直感した私は、内装を選ぶことができないもどかしさをこの「絶対」という言葉で納得したのだった。試乗車もない時点での選択。CVTモデルのフィールに感動しながらもこの「絶対」という言葉を信じた私だった。
2ヶ月以上も待って、私の前に姿を現した我がアブソルート。その姿に「おお、ずっとお前を待っていたんだよ!」と心の中で叫んだ私は、カードキーを受け取るとそっとドアノブに手を添えた。するとアブソルートは私を迎え入れるようにドアロックを解き、歓迎の挨拶を投げかけてくれたのだった。これほど私に感動を与えてくれた車がかつてあっただろうか。凄い車ならいくらでもある。しかし、家族6人の私には6人が同時にゆとりをもって乗れる車でなければならないのだ。
次はセダンかなと思っていた私の前に突然現れたこのオデッセイ・アブソルートはまさに私のために用意された凄い車だった。長い間忘れかけていた上質な走りがロングドライブへと私を駆り立てる。旧愛車であった初代オデッセイでは思わずアクセルを緩めてしまった馴染みのコーナーさえ、軽くクリアしてしまう安定性が嬉しく、つい独身に帰ったような気分にさせられてしまう。一人で乗っても楽しいミニバン。目的がなくとも走りそのものが目的にできる車、それが私の新しい愛車、アブソルートなのである。
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