こういうドレッシーな場面にもシックリとくるのがレジェンド。しかし一度走り出せば、高速路もワインディングも思いのままに駆け抜けることができる。場所、季節を選ばない優等生 |
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使用頻度の高いスイッチをセンターパネルとステアリングホイール周辺に集中配置しており利便性が高い |
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オーナードリブンではあるものの、リアシートでの快適性が高い。たまにはこちらでくつろぐのも良さそう |
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機能性とデザインに優れる立体自発光メーターとマルチインフォメーション・ディスプレイを装備 |
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Honda HDDインターナビシステムを標準装備。様々な情報が車内にいながら得られる |
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今やHondaのミドルクラス以上には欠かせなくなったプログレッシブコマンダー。直感的な操作が可能だ |
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ロール量、ロールスピードともにうまく抑えられており、ドライビングプレジャーに長けている
(*テストコースでの撮影です) |
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SH-AWDの作動状況を表示。活発に駆動力が変化していることを確認できる |
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会場には全6色の新型レジェンドが準備されていた。今回レジェンドは1グレードのみの展開のため、クルマはオプション装備の有無に違いがあるだけだ。全体のたたずまいは精悍といった表現がピッタリで、高級車にありがちな重たげな雰囲気はない。ボディサイズは全長×全幅×全高がそれぞれ4,930(mm)×1,845(mm)×1,455(mm)と堂々としたものだが、印象はじつにスマートである。コンパクトなエンジンを横置き配置したことによって、従来比で全長を65mm、ホイールベースを110mm短縮していることを聞けば、それだけでも旋回性能の向上は察しが付く。しかし、それ以上に全体のかたまり感が強調されていて、安定感あるフォルムとなっている。空が映り込んでいる艶やかなボディは、ボンネットフード、フロントフェンダー、トランクリッドにアルミを採用し、さらに手作業による工程を施した超高外観塗装が行なわれている。生産ラインにレジェンド専用塗装ラインが設けられ、従来の塗装プロセスに、熟練した職人による水研ぎに加え、クリアも2回重ねるという手の凝りようで、これまでにない輝きとコントラストを実現した。
乗り込んでみて最初に感じたのは広さであった。従来比でホイールベースが短くなっているにも関わらず、室内長は30mm拡大され、全幅25mmワイド化に対し、室内幅は40mm拡大されている。新型レジェンドはオーナー自らがステアリングを握ることを強くお勧めするクルマであるが、やはり後席が広いのもうれしいではないか。運転席に座るとまず目に飛び込むのはメーターだが、そのメーターフードにはインテリジェント・ナイトビジョンシステムのヘッドアップディスプレイが格納されていた。早速、使ってみたかったのだが昼間は作動しないので、今回はデモンストレーションで疑似体験するにとどまる。しかし、その実力を実際に見てみると驚くしかない。インテリアの質感については多くを語る必要はないであろう。オプションの本木目パネルは高級家具メーカーである天童木工の手によるもので、やわらかなカーブを描き、クオリティの良さを倍増させる。そして、インパネのセンターにはHonda HDDインターナビシステムが標準装備されているが、今回、世界初の気象情報をリアルタイムで表示するインターナビ・ウェザーが追加されていて、まさに至れり尽くせり…。ようやく一通り室内を確認し、すべて電動のパワーシートを動かしてシートポジションを調整。いよいよエンジンをかけて走り出す。
試乗コースは神奈川県の芦ノ湖周辺。ここは比較的Rの小さいコーナーが多いワインディングで、しかも道幅もあまり広くない。インテグラやシビックで走るには絶好のポイントであるため、レジェンドには少々きついかなと思われたが、その予想が裏切られることになろうとは…。
まずは静々と走ってみる。高出力のエンジンやリアドライブユニットなど、ノイズ、振動の発生源は増えているだろうが、室内に侵入するそれらはごくわずかだ。ただ、まったく音がしないのではなく、アクセルとリニアにシンクロする心地よいサウンドのみが聞こえる。ここで、電装開発の方に強く勧められた、カーオーディオを試してみた。車体の設計段階からBOSE社と共同開発したというオーディオシステムは、さすがに自信ありというだけあって、臨場感あふれる音楽を奏でていた。原音再生という究極の目標に向かって、BOSE社のエンジニアたちは幾度もチューニングしたという。
しだいにペースを上げてみる。すると、その軽快なハンドリングに驚かされた。この大きさでこの回頭性はちょっと経験したことがない。まさにステアリングを切った分だけ曲がるといった印象であった。これは四輪駆動力自在制御システム「SH-AWD(Super Handling All-Whell-Drive)」によるものであろうが、いったいSH-AWADはどの程度介入しているだろうか。気になるそれは、スピードメーターの下部にある、インフォメーション・ディスプレイによって知ることができた。そこにはSH-AWDの作動状況を表示するモードがある。見てみると、予想以上に駆動力配分が変化していた。しかも速度域に関係なく。これほど介入していても、まったく違和感がない。基礎研究から始まって新型レジェンドに搭載されるまで、なんと18年という長い年月をかけて熟成してきたシステムだけあって、完成度の高さは折り紙付きだ。
エンジンは300PSを誇るものの、ドライブ・バイ・ワイヤー式のスロットル・コントロールが比較的マイルド指向ということもあり、パワー感はジェントル。高級車らしい制御に好感がもてる。ハンドリングだけでなく、車速感応パワーステアリングのフィーリングの良さも印象深い。普通、四輪駆動というとアシスト量を多めに設定しがちで、その分ステアリングに伝わる路面からのインフォメーションをスポイルしてしまう場合がある。しかし、新型レジェンドでは決して重過ぎず、軽過ぎず、しっとりとした高級車ならではのフィーリングとなっていた。タイヤは235/50R17という大径、幅広なものだが、専用設計というだけあって、過大なノイズや突き上げ感を感じることはなかった。
これだけのパフォーマンスを発揮する新型レジェンド。その秘密はSH-AWDに代表される新技術の数々と、Hondaの志とも言えるこだわり。とにかく、試乗した体験をまずは伝えたいと書き記したが、実際の技術内容について、これらを紹介していきたい。最初に注目すべきは、やはりパワートレイン。まずは世界初となる四輪駆動力自在制御システム「SH-AWD」から見てみたい。第一、レジェンドが4輪駆動になったことだけでもニュースであるのだから。 |
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