土づくり(新規の畑の場合)
育ちやすい野菜なので、日当たりがよく水はけのよい場所ならどこでもつくれます。ただ、酸性土壌は向きません。ヤーコンは長さが30cmくらい育つので、目安としては深さ20cmくらいに耕すと良いでしょう。やわらかい状態の方がよく育ちます。初めて野菜づくりをするところなら、種イモや苗の植えつけの3週間以上前に1m2あたり牛ふん堆肥を2kg、発酵油かすを200g、貝殻石灰を100gいれ、軽く耕しておきます。
なお、粘土質の畑は肥料もちがいいので、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では、上記の量の2割増を目安にします。
畝は粘土質の畑では10~15cm程度のやや高めにしておきます。水はけがよくなり、生育初期の根腐れが無く安心です。砂質の畑の場合は、排水性が高ければ5cm程度の低い畝で十分です。早い時期に植えつけをするときはマルチフィルムを張ると、温度や湿度が安定し、生育がよくなります。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
冬収穫する野菜がよく育った場所を利用するなら、軽く耕し、植えつける場所の真下を深さ20cmくらい掘って発酵油かすを20g程度入れておきます。追肥をせずに元肥だけでしっかり生育します。
往復して畝の原型をつくり、表面をならして形を整える
植えつけ
種イモを植える
4月より早く植えると栽培期間が長くとれるのでイモの肥大がよくなりますが、ヤーコンは寒さに弱いので早く植えるときは保温する必要があります。マルチフィルムを畝に張って保温し、地温が下がりすぎないようにします。温度が低ければ不織布、保温ビニールなどをべた掛けしておきましょう。土が5cmくらい被るように種イモを植えます。株間は50〜70cm空けます。芽がたくさん出てきたら、そのままでも栽培できますが、本葉2~3枚のときに芽を2~3本に絞ります。
マルチフィルムに穴をあける。株間は約50~70cm程にする
5月ごろの様子。寒さに弱く遅霜に当たると枯れてしまう場合もあるので、5月中旬までは寒冷紗のトンネルなどで保温しても良い
7月ごろの様子。梅雨が開けたらマルチフィルムを取り外してもいい
9月ごろの様子。ぐんぐん上に伸び、葉を大きく広げる
10月ごろ。草丈が1mを超えるようなら倒れないように摘芯をする
苗を植える
5月の連休頃に、本葉3〜5枚の苗を植えつけます。5月中旬以降に植えつけるならマルチフィルムなしでも育てられます。種イモをポット育苗することもでき、たくさん芽がでたら株分けできます。
連作障害
ヤーコンは連作障害が出にくいので、連作が可能です。
暑さ対策・摘芯
暑さに弱く30℃を越えると生育が悪くなるので、梅雨が空けたらマルチフィルムをはずすことも考えます。雑草を排除する能力が高いので、除草にもそれほど気を使う必要はありませんが、雑草で株元の風通しが悪くなって蒸れないように気をつけましょう。枯れ草やワラを根元に敷いておくと暑さによる生育不良対策に有効です。
背丈が1mを越えてきたら先端を摘芯して、伸びを抑えておくと安心です。放っておくと2mくらいになり、台風などの強風でなぎ倒される可能性があります。支柱を使って誘引してもいいでしょう。
初夏に小さなヒマワリのような花が咲きます。枯れたら摘みます。まれにアブラムシなどがつくことがありますが、基本的に病害虫には強いので心配いりません。
収穫
秋になるとイモの肥大が始まり、11月上旬頃から収穫できます。イモは根元を中心に10〜15個くらいでき、20〜30cmくらい伸びます。育ったイモを切らないように、収穫するときは根元から30cmくらい離れたところにスコップを入れて掘り出します。
サツマイモみたいな形のイモは塊根と呼ばれ、収穫して食べる部分です。根元近くには紫色っぽい固まりができていて、これは地下茎にできる塊茎です。塊茎は保存しておけば翌年の種イモになります。塊根は種イモになりません。
イモは株元から30cmくらい離れたところまで伸びるので、掘り上げるときに切らないように。1株で3〜6kg収穫できる
根本の紫色のところが塊茎。ここが来年の種イモになる