土づくり(新規の畑の場合)
育ちやすい野菜なので、日当たりがよく水はけのよい場所ならどこでもつくれます。厳冬期に肥料を入れてもすぐには発酵分解しないので、秋口には施肥して準備を始めます。秋野菜を収穫した直後に施肥しておけば、春にはフカフカのジャガイモ向きの土壌ができあがります。初めての土壌なら、3週間以上前に1m2あたり牛ふん堆肥を1.5kg、発酵油かすを200gをいれて軽く耕しておきます。土がアルカリ化するとそうか病が出やすくなるので石灰類は入れません。目安としては深さ20cmくらいに耕すと良いでしょう。やわらかい状態の方がよく育ちます。
なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では上記の量の2割増しを目安にします。
十分な土づくりができなかった場合は、植えつけ時に株間に発酵油かす20gを置いておきましょう。
マルチフィルムを張ると畝の温度と湿度が安定して生育がよくなりますが、排水性を高めるため畝は10~15cm程度のやや高めにしておきます。これは粘土質でも砂質でも同じです。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けている畑では土が肥沃になります。ジャガイモは肥料が少なくても育つため、秋口に土を軽く耕しておくだけで十分です。土が蓄えている養分で育ちます。
往復して畝の原型をつくり、表面をならして形を整える
植えつけ
植え方
種イモを縦2つに切って、切り口を日に当て1〜2日乾かしてから植えます。株間は30cm。植え方はいろいろな方法があります。
・伝統的な方法
平畝に10cmくらいの穴を掘って種イモの切り口を下にして埋めます。畝は土寄せでつくっていきます。
・家庭菜園におすすめの方法
やや高畝をつくってマルチフィルムを張ります。土の5cmくらいの深さに種イモの切り口を上にして埋めていきます。ジャガイモは発芽適温が18℃と高く、マルチフィルムによる保温効果で発芽が早くなります。また、除草や土寄せの手間も省けます。種イモの切り口を上にすると、根がスムーズに生えてきます。発芽は遅れるものの、元気な強い芽だけが伸びてくるので病害虫に強い株になり、芽かきの手間も省くことができます。
浴光催芽と呼ぶ芽出し作業。種イモは2つに割って乾かしておく
マルチフィルムに穴をあける。株間は約30cm程にする
種イモが埋まる深さを目安に植穴を掘り、種イモを入れて上から5cm程度土を被せる
連作障害
ジャガイモは連作障害が出やすい野菜です。同じ場所での栽培は3年ほどあけると安心です。ただ、堆肥をすき込んで土づくりを続けている有機の畑では、連作障害はあまり気になりません。
病虫害対策
ジャガイモはニジュウヤホシテントウやアブラムシの食害を受けることがあります。見つけ次第手で払うか捕殺しましょう。
芽かきと土寄せ
ジャガイモは15~20℃の冷涼な気候を好みます。ただ、寒さに弱いので、芽が出てきたら4月中旬くらいまでは不織布をべた掛けして保温しておきます。種イモから芽がいくつも出てくるので、芽が15cmくらい伸びた頃に、芽かきをして3〜4本にしぼって育てます。
シャドークイーンは5月下旬に白い花が咲きます。この頃に30℃を越す日が多くなったらマルチを剥がして地温上昇を抑えます。ジャガイモは暑さも苦手なため、30℃を超えるとイモの生長を止めてしまうためです。そして、雑草を抜き、イモが日光にさらされないように土寄せしします。
長さが15cm位になったら、芽の数を3~4本に絞って残りは芽かきをする。芽かきをする時は、イモが持ち上がらないように注意
収穫と保存
イモができて地表に飛びだすと、緑化してソラニンと呼ぶ有毒物質が生成されてしまうので、こまめに土寄せしてイモに土を掛けておきます。
イモの肥大は葉が枯れる直前まで進むので、収穫は急がなくても大丈夫です。葉が枯れたら、晴れた日の午前中を選んで掘り出し、1~2時間乾かしておきます。
その後に3日ほど日陰で干すと保存性がよくなります。
地上部が完全に枯れたら収穫。シャドークイーンは地下の深いところにイモができるので、採り残しに注意する