バターナッツかぼちゃってどんな野菜?

バターナッツかぼちゃは北アメリカから南アメリカにかけての乾燥した砂漠周辺の荒野が原産地のカボチャで、近年家庭菜園でも人気があります。見た目はかわいいひょうたん型で、味は名前の由来となっているようにナッツのような風味があり、ポタージュなどにすると美味しいです。カボチャには西洋カボチャ(ホクホクした粉質系)、日本カボチャ(しっとりした粘質系)、へポカボチャ(ズッキーニなど)の3系統があります。原産地はアメリカですが、日本カボチャに分類されるバターナッツかぼちゃは、痩せた土地でもよく育つ野菜で、水はけのいい砂質の畑でよく育ちます。
バターナッツかぼちゃはツル性の野菜で、長いツルを地面にはわせて育ちます。畑で栽培する場合には広いスペースを用意する必要があります。家庭菜園ではキュウリづくりと同様に、支柱を立てて園芸ネットを張り、垂直方向にツルを誘引して育てることもおすすめです。狭いスペースでの栽培が可能になります。

バターナッツかぼちゃ栽培、3つのポイント

ポイント1
水はけのよい畝をつくり、マルチ栽培で畝の過湿と乾燥を防ぎます。
ポイント2
肥料はそれほど必要としません。多肥では実のつきが悪くなるので元肥は控えめに与えておきます。
ポイント3
根の力が強く、また、伸びたツルの途中からも根(不定根)を伸ばして土から養水分を吸います。広い範囲に薄く元肥を施しておくとよく育って実をたくさんつけます。

バターナッツかぼちゃの栽培時期

苗を植える
5月上旬に苗を購入して植えつけると、8月上旬~中旬に収穫できます。
苗をつくるなら、4月上旬頃にポットにタネをまいて約30日間育苗します。ポット苗は、簡易ビニール温室や衣装ケースなどに入れ、暖かくして育苗します。
タネを直まき
5月中旬以降ならタネを直まきして育てられます。
※家庭菜園で少しの株数を育てるなら、市販の苗を利用するのがおすすめ。

バターナッツかぼちゃの育て方

土づくり(新規の畑の場合)

まず、畝をつくる場所に元肥をまいて約15cmの深さまで耕し、高さ10cm程度の畝をつくります。元肥は1m2あたり完熟堆肥2kg、草木灰300gを施します。
なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では上記の量の2割増しを目安にします。
畝にマルチフィルムを張ると、畝の湿度と温度が安定して育ちがよくなります。また、雨による泥はねが防げるので、病気予防になります。マルチフィルムの代わりに、刈り草やワラを敷くのも同様の効果があります。
なお、畝づくりは定植の4週間前までにすませておいてください。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けると土が肥沃になります。肥料過多になると病虫害が心配です。
元肥の量は新規の畑の3分の2程度にします。
堆肥をまく。堆肥は完熟タイプの牛ふん堆肥などを利用する
草木灰もまく
元肥のすき込みも耕うん機があれば楽にできる
培土器があれば素早く土寄せができる
往復して畝の原型をつくり、表面をならして形を整える
マルチフィルムを張る。裾に土を掛けて固定する
畝全体を覆う
両サイドに土をかけて固定する
踏んでしっかり固定し、風で飛ばされないようにする

植えつけ

苗を植える
5月の連休前後に本葉5枚くらいに育った苗を植えるか、5月下旬以降にタネを直まきします。
幅60cmの畝に1列に、株間90cmで植えます。ツルが長く伸びるため、畝の隣に2m以上のスペースを用意しておきます。
苗を植える場合は、定植の前にポットごと水につけて吸水させてから植えるとよく、その後は水やりを控えます。こうすると、根をしっかりと伸ばすことができ、丈夫に育ちます。
植えつけたら、仮支柱を立てて苗を支え、風で揺さぶられて苗が傷むのを防ぎます。
タネをまく
株間90cmで1か所に2~3粒のタネをまき、本葉が出そろったら間引いて1か所に1株とします。双葉がきれいに出そろい、葉に病変や虫食いのない、生気のある苗を残します。
株間90cmでマルチフィルムにまき穴をあけ、土を手で押さえて鎮圧する
タネを3粒、まき穴に置く
土をタネの上にかける
手で押さえて鎮圧する。これでタネまき完了
タネまきから約1週間で発芽する
双葉の間から本葉が出てきたら、間引いて1本を残して育てる
連作障害
バターナッツかぼちゃなどカボチャの仲間は、連作障害が出にくいので連作が可能です。
害虫対策
植えつけ直後に、ウリハムシが飛来して葉を食害することがあります。
幼苗期に食害されるとダメージが大きく、その後の生長が芳しくありません。苗の周囲に「あんどん」を立てて虫害を防ぐといいでしょう。

摘芯と追肥

摘芯
定植後は摘芯をしないで、そのまま放任で育てても構いません。
本葉が5~6枚になったときに親ヅルの先端を摘芯すると、葉のわきから強い子ヅルが3~4本伸び出します。このツルを同じ方向に伸ばして行く方法もおすすめです。
敷きワラ、または防草シートを利用する
畝の隣にツルが伸びるスペースを用意しますが、ワラを敷いておくと、巻きヅルをワラに絡ませながらツルを伸ばして行きます。ツルが安定し、風でツルが動くことがなく順調に育ちます。
大量のワラを入手できない場合は、織りタイプの防草シートを敷いておくのもおすすめです。ツルが安定し、雑草を抑えることができます。
ツルが旺盛に伸びる。ツルが伸びるスペースに防草シートを敷いておくと、雑草が生えず管理がラクになる
追肥
追肥は基本的に不要です。ツルの伸びが悪い場合は、ツルが伸びる約30cm先に1株当たり15~50gの発酵油かすを撒いてワラをかぶせておきます。防草シートの場合は、織りの隙間から発酵油かすを地面に落としておきます。
重要:スイカ同様、着果したあとは、追肥は行わないこと。追肥をするのは着果前にツルを伸ばしたい場合のみです。

受粉

バターナッツかぼちゃには雄花と雌花が咲きます。実になるのは雌花です。花の下にひょうたん型の小さなふくらみがあるのが雌花です。無農薬の畑にはアブやハチがたくさん集まって自然に受粉が行われるので、人工授粉の必要はなく、放任で収穫可能です。受粉すると実が膨らみだし、1本のツルに3~4個の実がなります。人工授粉をするとより確実に収穫できるので試してみましょう。雌花が咲いた早朝に、雄花をちぎって、雄しべを雌しべにこすりつけます。
バターナッツかぼちゃの雌花。ひょうたん型のふくらみが特徴
ハチやアブが花に訪れ、受粉を助ける
受粉すると実が膨らみだす

収穫

実の下に「座布団」を敷いておく
受粉すると実が膨らみ始めます。バターナッツかぼちゃの実の下にワラや枯れ草を厚めに敷いて、実が土に直接触れないように「座布団」を敷いておきましょう。実が汚れず、傷むのも防げます。防草シートを敷いてある場合、座布団は不要です。
収穫
バターナッツかぼちゃは受粉後40~45日で収穫します。いつ受粉したかわからない場合が多いので、採り時は皮の色を見て判断します。皮が濃いベージュ色になったら、ハサミで切り離して収穫します。
一般的なカボチャと同じように、収穫してすぐは未熟なので2週間から1ヶ月程度は風通しの良いところにしばらく置いて追熟すると甘みが増します。
バターナッツかぼちゃはポタージュスープにするととてもおいしいです。ほかに、厚めにスライスしてオーブンやフライパンで焼くのもおすすめ。煮崩れしやすいので煮物にはあまり向きません。
ツルが旺盛に伸びる
だいぶ色づいてきた
ベージュ色になったら収穫する

バターナッツかぼちゃの保存方法

丸ごとのバターナッツかぼちゃは常温で保存できます。傷がない状態であれば数週間は持ちますが、熟成したものは果肉が柔らかくなりやすく、あまり日持ちしません。
傷があったりカットしたバターナッツかぼちゃは、ワタを取り出してからラップして冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。

バターナッツかぼちゃのおいしい食べ方

バターナッツかぼちゃのポタージュ

材料(2人分)
  • バターナッツかぼちゃ
    400g
  • 玉ねぎ
    1/2個
  • 300ml
  • 牛乳
    200ml
  • バター
    10g
  • 小さじ1/4
  • パセリみじんぎり
    適量
  • オリーブ油
    適量
作り方
  • バターナッツかぼちゃを半分に切る。
  • タネとわたを取り除き、ピーラーで皮をむく。
  • バターナッツかぼちゃを切っていく。硬いものを切る時は刃先をまな板にあて、肩から押し込むように切ると力を入れずに切れる。
  • さらに一口大に切る。
  • 薄切りにした玉ねぎをオリーブ油でしんなりするまで炒める。
  • バターナッツかぼちゃを入れ、水を加えて煮立たせる。
  • 煮立ったら蓋をして、弱火で柔らかくなるまで10分ほど煮る。
  • ハンドミキサーやブレンダーを使い、牛乳を何回かに分けて入れながら滑らかになるまで混ぜる。
    ※据え置きタイプのミキサーを使う場合は、必ず冷ましてから行ってください。
  • 塩とバターを加え、温めたら完成。
  • パセリとオリーブ油とともにお召し上がりください。
調理ポイント
  • 刃先をまな板にあて支点を作り、肩から押し込むように切る
育て方監修
株式会社 学研プラス
ほかの野菜も見てみよう!- 掲載中のユニーク野菜一覧 -