土づくり(新規の畑の場合)
まず、畝をつくる場所に元肥をまいて約15cmの深さまで耕し、高さ10cm程度の畝をつくります。元肥は1m2あたり完熟堆肥2kg、草木灰300gを施します。
なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では上記の量の2割増しを目安にします。
畝にマルチフィルムを張ると、畝の湿度と温度が安定して育ちがよくなります。また、雨による泥はねが防げるので、病気予防になります。マルチフィルムの代わりに、刈り草やワラを敷くのも同様の効果があります。
なお、畝づくりは定植の4週間前までにすませておいてください。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けると土が肥沃になります。肥料過多になると病虫害が心配です。
元肥の量は新規の畑の3分の2程度にします。
堆肥をまく。堆肥は完熟タイプの牛ふん堆肥などを利用する
往復して畝の原型をつくり、表面をならして形を整える
植えつけ
苗を植える
5月の連休前後に本葉5枚くらいに育った苗を植えるか、5月下旬以降にタネを直まきします。
幅60cmの畝に1列に、株間90cmで植えます。ツルが長く伸びるため、畝の隣に2m以上のスペースを用意しておきます。
苗を植える場合は、定植の前にポットごと水につけて吸水させてから植えるとよく、その後は水やりを控えます。こうすると、根をしっかりと伸ばすことができ、丈夫に育ちます。
植えつけたら、仮支柱を立てて苗を支え、風で揺さぶられて苗が傷むのを防ぎます。
タネをまく
株間90cmで1か所に2~3粒のタネをまき、本葉が出そろったら間引いて1か所に1株とします。双葉がきれいに出そろい、葉に病変や虫食いのない、生気のある苗を残します。
株間90cmでマルチフィルムにまき穴をあけ、土を手で押さえて鎮圧する
双葉の間から本葉が出てきたら、間引いて1本を残して育てる
連作障害
バターナッツかぼちゃなどカボチャの仲間は、連作障害が出にくいので連作が可能です。
害虫対策
植えつけ直後に、ウリハムシが飛来して葉を食害することがあります。
幼苗期に食害されるとダメージが大きく、その後の生長が芳しくありません。苗の周囲に「あんどん」を立てて虫害を防ぐといいでしょう。
摘芯と追肥
摘芯
定植後は摘芯をしないで、そのまま放任で育てても構いません。
本葉が5~6枚になったときに親ヅルの先端を摘芯すると、葉のわきから強い子ヅルが3~4本伸び出します。このツルを同じ方向に伸ばして行く方法もおすすめです。
敷きワラ、または防草シートを利用する
畝の隣にツルが伸びるスペースを用意しますが、ワラを敷いておくと、巻きヅルをワラに絡ませながらツルを伸ばして行きます。ツルが安定し、風でツルが動くことがなく順調に育ちます。
大量のワラを入手できない場合は、織りタイプの防草シートを敷いておくのもおすすめです。ツルが安定し、雑草を抑えることができます。
ツルが旺盛に伸びる。ツルが伸びるスペースに防草シートを敷いておくと、雑草が生えず管理がラクになる
追肥
追肥は基本的に不要です。ツルの伸びが悪い場合は、ツルが伸びる約30cm先に1株当たり15~50gの発酵油かすを撒いてワラをかぶせておきます。防草シートの場合は、織りの隙間から発酵油かすを地面に落としておきます。
重要:スイカ同様、着果したあとは、追肥は行わないこと。追肥をするのは着果前にツルを伸ばしたい場合のみです。
受粉
バターナッツかぼちゃには雄花と雌花が咲きます。実になるのは雌花です。花の下にひょうたん型の小さなふくらみがあるのが雌花です。無農薬の畑にはアブやハチがたくさん集まって自然に受粉が行われるので、人工授粉の必要はなく、放任で収穫可能です。受粉すると実が膨らみだし、1本のツルに3~4個の実がなります。人工授粉をするとより確実に収穫できるので試してみましょう。雌花が咲いた早朝に、雄花をちぎって、雄しべを雌しべにこすりつけます。
バターナッツかぼちゃの雌花。ひょうたん型のふくらみが特徴
収穫
実の下に「座布団」を敷いておく
受粉すると実が膨らみ始めます。バターナッツかぼちゃの実の下にワラや枯れ草を厚めに敷いて、実が土に直接触れないように「座布団」を敷いておきましょう。実が汚れず、傷むのも防げます。防草シートを敷いてある場合、座布団は不要です。
収穫
バターナッツかぼちゃは受粉後40~45日で収穫します。いつ受粉したかわからない場合が多いので、採り時は皮の色を見て判断します。皮が濃いベージュ色になったら、ハサミで切り離して収穫します。
一般的なカボチャと同じように、収穫してすぐは未熟なので2週間から1ヶ月程度は風通しの良いところにしばらく置いて追熟すると甘みが増します。
バターナッツかぼちゃはポタージュスープにするととてもおいしいです。ほかに、厚めにスライスしてオーブンやフライパンで焼くのもおすすめ。煮崩れしやすいので煮物にはあまり向きません。