スティックセニョールってどんな野菜?

スティックセニョールはスティックタイプのブロッコリーで、地中海原産のブロッコリーを品種改良してできた日本生まれの品種です。
一般的なブロッコリーは先端にできる大きなつぼみを収穫する野菜ですが、それに対しスティックセニョールはわき芽がよく出るようにした品種で、次々と出てくるわき芽のつぼみを収穫します。つぼみがつく茎もやわらかく、アスパラガスのような食感と風味を味わうことができます。冬から春にかけて4〜5か月と長く収穫が楽しめますので、家庭菜園にもおすすめのユニーク野菜です。

スティックセニョール栽培、3つのポイント

ポイント1
生育初期の防虫対策と真冬の鳥対策をしっかりしましょう。アオムシやヒヨドリの食害をうけるので、植えつけてすぐに防虫ネットをかけます。
ポイント2
株の中央にできる最初のつぼみは早めに収穫するとわき芽がたくさん出ます。生長が早いので、つぼみができたらすぐに収穫します。
ポイント3
寒さに強く、4月まで収穫を続けられます。収穫期間は短くなりますが、晩秋から早春の時期に植えつけても収穫ができます。冬の防寒対策も必要ありません。

スティックセニョールの栽培時期

ブロッコリーやカリフラワー、キャベツと栽培の方法はかわりません。むしろカリフラワーやブロッコリーより成長が早いので栽培は簡単。節間が詰まって、がっしりとした印象のいい苗が手に入れば、ほとんど手間なくよく育ちます。
8月中旬~9月上旬に苗を購入して植えると、10月中旬くらいからつぼみが出始め、収穫がスタートします。
タネをまくなら7月終わりに育苗ポットにタネまきをして苗をつくり、9月上旬に苗を植えると11月から4月までビックリするほど長く収穫できます。2月~3月にタネをまき、3月~4月に植えつける早春まきもでき、5月の連休頃から6月いっぱいまで収穫が続きます。

スティックセニョールの育て方

土づくり(新規の畑の場合)

キャベツやブロッコリーと同様に、日当たりがよく水はけのいいところならよく育ちます。肥料はそれほど必要としませんが、新規の痩せている畑なら、植えつけの3週間以上前に、1m2あたり完熟堆肥2kg、油かす200g、貝殻石灰を100g入れて軽く耕しておきます。アブラナ科の野菜はやや未熟な有機物を好むので、使う肥料はどちらかというと発酵油かすよりも、油かすが向いています。
水はけの悪い粘土質の畑では、高さ15cm程度の高畝にして排水を良くします。水はけのいい砂質の畑では畝を高くする必要はありません。
なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では上記の量の2割増を目安にします。
畝にマルチフィルムを張っておくと過湿を防いでくれ、冬の防寒にも役立ち、雑草を予防する効果もあります。雨による泥はねが防げるので、病気予防になります。マルチフィルムの代わりに、刈り草やワラをパラパラと敷くのも同様の効果があります。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けている畑では土が肥沃になります。肥料もそれほど必要ないので他の野菜がよく育つような場所なら、植えつけ時に軽く耕し、苗の真下を深さ20cmくらい掘って1苗につき油かすを20g程度入れておくだけで十分です。追肥はほとんど必要ありません。畑の水はけの良し悪しに合わせて畝の高さを変えてください。
深く耕す時も耕うん機なら楽に耕せる
培土器を使えば素早く土寄せができる
往復して畝の原型をつくる
畝の表面をならして形を整える
マルチを畝に広げる
マルチの裾に土をかけて固定する

植えつけ

植え方
本葉4〜5枚の苗を9月上旬から中旬に植えるのが最適です。畝幅70cmの畝に、45cm間隔で植えつけます。
気をつけたいのは生育初期で、長雨による過湿、根や葉を食べるヨトウムシ、コナガ、アオムシなどの害虫被害にあうと、生育が大幅に遅れてしまいます。アブラムシが大量発生する可能性もあります。その対策として、畝の周りを掘って畝の水はけをよくしておいて過湿による病害を予防し、植えたらすぐに防虫ネットを張って害虫の産卵や侵入を防ぎます。初期生育がよければ、あとは放任でもよく育ちます。
マルチに穴をあけて植え穴を掘り、根鉢を入れる
植え穴に根鉢をおさめ、隙間がないように土を寄せて鎮圧する
植えつけ完了。株間45cmが目安。9月の上旬~中旬に定植するのが理想
植えたらすぐに防虫ネットをかける。モンシロチョウなどに卵を産みつけられるとアオムシの食害をうける
連作障害
スティックセニョールは連作障害を避けるために同じ場所での栽培間隔を2~3年あけると安心です。ただ、堆肥をすき込んで土づくりを続けている有機の畑では連作障害はそれほど気になりません。

土寄せと害虫・害鳥よけ

背丈が大きくなってきたら、土寄せをし、支柱を使って倒れないようにします。
株が大きくなってきて葉などが防虫ネットに触れていると、モンシロチョウなどにネットの外からでも産卵されます。大きめのトンネル支柱や弾性ポールを使って株がネットに触れないよう工夫することと、葉の裏表を見て害虫を早めに退治することが大切です。
真冬になるとヒヨドリなどの鳥が葉を食べに来るので、防虫ネットや不織布を掛けて防ぎます。
しっかり土づくりをし、元肥をきちんと入れていれば追肥はほとんどの場合必要ありません。
植えつけから約1週間。倒れないように注意
植えつけから約50日。茎がしっかりしてきた
植えつけから約70日。頂花蕾(ちょうからい)の収穫時。わき芽もぐんぐん生えてきている

収穫

最初に主茎の先端につぼみができます。ブロッコリーだとこのつぼみを直径20cmくらいに育ててから収穫しますが、スティックセニョールは500円玉くらいで採りましょう。早めに採ることでわき芽の発生が旺盛になり、次々とわき芽が出てきます。
収穫するのはこのわき芽にできるつぼみで、茎を5〜15cmつけて採りましょう。つぼみを見てツブツブが開いてきたら開花の合図なので、採り遅れないように。暖かくなるとつぼみから開花までの時間が短くなるので、こまめに収穫しましょう。花が咲いても食べられますが、茎がかたくなり味が落ちます。また、つぼみを放っておくと花が咲いてしまい、株が弱る原因になります。早めの収穫を心がけます。
頂花蕾は小さなうちに収穫する
蕾が花開く前にどんどん収穫しよう。花が咲いても食べられるが株が弱る原因になる

スティックセニョールの保存方法

スティックセニョールの保存方法は基本ブロッコリーと同じです。保存に適した温度は0~5℃です。常温での保存には向いていないため、必ず冷蔵庫で保存してください。
乾燥を防ぐためにラップに包んだり、ビニール袋に入れて冷蔵します。日持ちはしないので、すぐに食べないときは固めに茹でて冷蔵、冷凍保存することをおすすめします。

スティックセニョールのおいしい食べ方

スティックセニョールの長〜い肉巻き

材料(2人分)
  • スティック
    セニョール
    200g(6〜7本)
  • 豚ロース薄切り
    6枚(100g程度)
  • 少々
  • 粗挽き黒こしょう
    少々
  • サラダ油
    小さじ1
  • マヨソース
  • マヨネーズ
    大さじ2
  • 大さじ1/2
作り方
  • スティックセニョールの葉を切り落とし、火の通りを均一にするために皮をピーラーで剥く。
  • 8cmほどに切り揃えたスティックセニョールを、向きを揃えて豚肉で巻く。
  • この時、肉を手前に引っ張りながら巻いていくと、きつく巻きつけられる。
  • 塩で下味をつける。
  • 熱する前のフライパンに、肉の巻き終わりを下にして置く。ゆっくり熱を加えることで肉が剥がれにくくなり、綺麗に仕上がる。
  • 焼き色がついたら裏返してフタをし、弱めの中火で火が通るまで3〜4分ほど蒸し焼きにする。
  • マヨネーズ(大さじ2)に酢(大さじ1/2)を混ぜ合わせ、ソースを作る。
  • マヨソースをたっぷりかけて、お好みで粗挽き黒こしょうをかけたら完成。
調理ポイント
  • 火の通りを均一にするため、皮をピーラーで剥く
  • 肉の巻き終わりを下に!フライパンに置くのは熱する前から!
育て方監修
株式会社 学研プラス
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