STEP.2

ナスの
上手な育て方

~生長を促す整枝~

苗を植える

植えつけ直後は水やりを控える

ナスの苗は寒さが苦手です。中間地では地温、気温ともに十分に上がる5月の連休前後に植えると安心で、天気の良い日の午前中に植えつけます。この時期は午後になると風が出やすく、苗にとってストレスになるからです。
ナスは、第1花のつぼみが膨らんだ苗を植えるのがベストタイミング。植える日にポットごと水につけて根鉢に吸水させ、たっぷり水を持たせた状態の苗を植えます。
植えつけ後は根付くまで水やりを控えます。こうすると、地中の水分を求めて自ら根をしっかりと伸ばして丈夫に育ちます。植えつけ後から水やりを繰り返すと根は近くに水分があるためそれ以上根を伸ばさなくなります。また、仮支柱で苗を支え、風で揺さぶられるのを防ぎましょう。

病気予防にはネギを混植する
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ポットをはずして根鉢を植え穴に入れます。このとき、ネギの苗を一緒に植えると土壌病害予防になります。

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根鉢と植え穴に隙間ができないよう、土を寄せて軽く手で押さえて鎮圧します。

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仮支柱を立てて麻ヒモで茎をくくって固定しておきます。

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株間約60cmで1列に植えます。

初期の整枝作業

第1果やわき芽を摘んで強い枝を伸ばしていく

第1花が咲くと、第1花の真下の葉の付け根から強いわき芽が出てきます。このわき芽は、主枝(第1主枝)と見分けがつかないくらいに太い枝(第2主枝)になります。
最初についた実(第1果)は早めに摘み、生長のエネルギーを枝葉や根の生長の方に回すようにします。摘果せずに最初の実を大きく育ててしまうと主枝の生長が滞り、長期収穫が期待できなくなります。
第1果を摘果したあと、第2主枝よりも下方にある葉の付け根から出てくるわき芽はすべて摘みます。これが最初に行う整枝作業です。
第1主枝と第2主枝を畝の左右に振り分けて伸ばし、これらの主枝にできるわき芽は摘まないで、しばらくの間は放任で育てていきます。

支柱を立てて
枝を支える

畝の左右にヒモを張って
強い枝4〜6本を誘引する

下の写真の通り、畝の両サイドに約1m間隔で支柱を立て、ヒモを平行に張っておきます。枝が伸びたらヒモに引っ掛け、枝が垂れ下がらないように誘引します。枝の角度は45度よりもやや立たせ気味にします。
最初の整枝以降、主枝からわき芽が伸びて枝数が増えてきます。枝葉が混みすぎないように細い枝は適当にカットして、太くて強い枝を畝の左右に2~3本くらいずつ振り分けた状態に仕立てていきます。風通しと日当たりがよくなり、生育が順調になります。枝が混んで葉が重なると、実に十分な光が当たらず、色の良いナスになりません。
なお、最初の整枝をしたあとも、第2主枝の下方にわき芽が出てきます。こまめに摘んでください。

枝が垂れ下がらないよう支柱にヒモを張る
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長さ約150cmの支柱を畝の両サイドに1m間隔で挿します。

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麻ヒモやビニールヒモなどを水平に張ります。

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枝が増えてきたら、伸びた枝をヒモに引っ掛け、枝が横に広がらないように誘引します。

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実がつくと重みで枝が垂れ気味になります。ナスの草丈が高くなったらヒモを追加して、枝が垂れ下がらないよう誘引を続けます。

通路の除草と中耕

夏の除草と中耕が長期収穫の必須作業

黒マルチを張って栽培した場合、畝には雑草が生えてきませんが、通路には雑草が生えてきます。通路の雑草は、畝の風通しを悪くして多湿となり、病原菌の蔓延を招くことになりますので除草します。
ナスの場合、秋ナスまで狙う長期収穫を目指すなら、通路の中耕が有効です。人が歩いてかたくなった通路を梅雨明け後に1回中耕すると、発達したナスの根の先端に空気を送り込め、このタイミングで追肥をしてあげると、さらに株が大きく生長し、秋ナスをたくさんつくれる株に育ちます。
この作業は暑さが増す時期に重なります。耕うん機なら除草と中耕をいっぺんに短時間でこなせるため、ナス栽培の強い味方となります。

除草・中耕を一度にこなせる
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耕うん機が通れる通路幅にしておけば、植えつけ後から除草作業などで耕うん機を活用できます。

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除草・中耕のタイミングで発酵油かすを追肥しておきましょう。

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夏の通路除草や中耕も、耕うん機を一度かけるだけ。10cmの深さを目安に耕うんします。

収穫する

若い実をこまめに収穫すると
次々に花が咲いて実になる

品種によりますが、開花から2週間~20日で収穫できます。大きな実をたくさんぶら下げておくと、負担になって実のつきが衰えるので、取り残しがないようにこまめに収穫しましょう。
ヘタのすぐ下に見える白っぽいオビの幅を観察すると、収穫のタイミングがわかります。白い部分は前夜に実が伸びた「伸びしろ」で、日に当たると徐々に紫色に変色します。オビの幅が狭くなった実は、縦伸びが終わって横に太りだした証拠ですから収穫適期だと判断します。

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収穫適期の実は皮にツヤがあり、ふっくらとした感じ。ハサミで果柄部分を切り離して収穫します。

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生長途中の実にはヘタの下に白いオビがあります。よく観察すると白から紫色のグラデーションになっています。これは毎晩少しずつ縦伸びしている痕跡です。

家庭菜園の楽しみ

いろいろな品種のナスを楽しもう
いろいろな品種のナスを楽しもう

定番の中長ナスのほか、白ナス、青ナス、ゼブラ柄のナス、丸ナス、長ナスなどを育てて味比べをすると楽しいです。中長ナスは焼きナス、長ナスは麻婆ナスにぴったり、丸ナスはソテーにするとトロっとした食感など、新たな発見があります。

更新剪定をして
秋ナスづくり

ナスが夏バテしたら枝を切り落として休ませる

ナスの実は主枝につくほかに、主枝から伸びたわき芽(側枝)にもつきます。側枝についた実を収穫したら、側枝を適宜カットすると株全体が混み合わずに済みます。ただし、刈り込みすぎると樹勢が落ちるので、全体のバランスを見てほどほどにカットしてください。うまく整枝を続けると、秋までコンスタントに収穫が続きます。
また、お盆の頃になると暑さで株が疲れてしまい、実のつきが悪くなることがあります。その場合は下の写真の通り、枝をバッサリ切り落として追肥をし「夏休み」を与えます。新枝が伸び、涼しくなる頃から秋ナスの収穫が始まります。

枝をバッサリ落として追肥をする
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「夏バテ」したナスはお盆の頃に更新剪定をして若返らせます。まず、枝に葉を1~3枚残して思い切って刈り込みます。

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枝を刈り込んだナスです。

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株元から30cmほど離れた場所にショベルを刺して根を切ります。畝の片側に1か所、反対側に1か所、計2か所で根切りをします。ショベルを刺したら少しだけ傾けて、隙間をつくります。

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隙間1か所につき100gの油かすをパラパラと入れて追肥します。速やかに根が再生し、新しい枝が伸び出して9月からおいしい秋ナスを楽しめます。