

「5mmシリーズ」がSNSで注目されている粘土作家のフジイさんですが、活動するに至った経緯を教えてください。
美術系の大学の課題で粘土を使ってみたのがはじまりです。絵を描く画材のひとつとして粘土に出会い、粘土に魅了されました。
展示会をした時、思っていた以上に人の反応がよかったんです。先生からも「可能性はある」と言われ、面白がってくれたのでやってみないともったいないかなと思いました。
『5mmシリーズ』が生まれたのは、自分のオリジナルキャラクターを「どれだけ小さく作れるのか」という単純なチャレンジからです。結果として5mmくらいのサイズで出来上がったので、『5mmシリーズ』としてスタートさせました。
最初はクリスマスツリーや鏡餅などイベントのアイテムを作っていたんですが、動物を作ってSNSにアップした際に反応がわかりやすく違ったんです。そこから動物モチーフで制作していくことにしました。


5mmで表現することの魅力はどんなところにありますか?
『5mmシリーズ』を作っていて感じたのは、制約の中で作ることがデフォルメの勉強になるということです。どこの要素を残し、どこを削ればいいのか。最初は5mmに収まらないことが多かったのですが、慣れていくと気づけばむしろ小さすぎることが増えていきました。キリがないので、ちゃんと5mmにおさめようと思いました。
僕の作業はパーツづくりや色づくりなど9割が地味です。でも、最後の組み上がっていく1割が楽しいんです。今回だと建物を配置していく作業ですね。


今回はHondaのVEZELやFIT、スーパーカブをモチーフに作品を作っていただきました
概念的な「車」ではなく実在する車種なので外せない要素がたくさんあって、フォルムやパーツのデフォルメの具合を工夫するのが大変でした。忠実に再現すると縦長になってしまうし、デフォルメしすぎるとその車種に見えなくなってしまう。特徴的なところは多少大げさにもしました。
たとえばスーパーカブについては、ミラーを作ったことでスーパーカブらしさに近づきました。何がそのキャラクターを構成しているのか、という視点を改めて持つことの重要性に気づきましたね。
個人的にはFITは好きなHondaの車の一台なので、今回作っていてうれしかったです。その対象物への理解がそのものを形作る際に大事なんだということを実感しました。
今後はもっと『5mmシリーズ』の依頼を受けていきたいですし、キャラクター開発にも携わっていきたいと思っています。

