S2000 20th Festival

1999年にS2000が誕生してから20年。 この節目となるアニバーサリーイヤーを、325台のS2000と450名の参加者がツインリンクもてぎに集まり、大々的な記念イベントを開催して祝った。開催日は2019年9月7日(土)。計画から運営まですべてを、オーナー有志、S2000の開発に携わった研究者の面々、製造に携わった元高根沢工場のスタッフが行った手づくりのイベントである。時代先進のオープンカーにして熱きHondaスピリットが注ぎ込まれたリアルスポーツカーという、世界でも稀有な名車は、20年を経ても人々の心を捉え続けていた。

7:00~第1パドックにて受付開始

全国から三々五々集まって来るS2000を迎えるのは、花柄のシャツに身を包んだスタッフたち。厳正な受付確認体制を取っており、この日パドックに入れるのは、20周年イベントの参加者のみだった。

  • パドックへのアプローチで受付を待つ参加者。受付開始の7時、すでに順番待ちの列ができていた。

  • 心配された台風の影響はなく、快晴となって真夏のような暑い一日となった。

  • 手づくりのイベントであるため開発者も誘導を行った。中央で誘導灯を使い案内しているのはパワートレイン開発責任者の唐木さん。

  • エクステリアデザインプロジェクトリーダーの澤井さんは、ピットロードの入り口で案内。

  • 婦人警官のコスプレで案内をしているのは、イベントマスコットとして参加した自動車ライターの明日葉さん。

先着200台はロードコースへ

受付の先着200台はロードコースのホームストレートにクルマを並べてオープニングセレモニーに参加可能という仕組みだった。少々列ができて慌ただしい受付となったが、ロードコースにクルマを並べることが参加時点からイベントを盛り上げていた。ホームストレートに自身のS2000を停めることができたオーナーは、愛車の近くで楽しげに語らいのときを過ごしていた。

  • ホームストレートのコントロールラインを先頭に並べられた参加者のS2000。フロントローの奥が1番乗りのオーナー。名古屋から来て朝5時に到着したという。

  • 集まった参加者は、それぞれの愛車ついて語り合い仲間との時間を楽しんでいた。

  • ホームストレート上は日差しを遮るものがなく、朝早い時間だがかなりの暑さとなった。

  • 色とりどりのS2000が集まった。オープニングセレモニーのあとはパドックに移りボディーカラー別に駐車した。

  • ホームストレート上に三脚を立てて記念写真。若いオーナーも多かった。

  • さまざまなS2000が隊列をつくる。あちこちでS2000を話題にするワイガヤが巻き起こっていた。

  • このイベントのテーマは「S2000の素晴らしさを語ろう」。まさにそれが現実となっていた。

9:00~オープニングセレモニー

開会式では、運営の中心人物である元高根沢工場の船橋さんとイベントマスコットの明日葉さんが司会を務めた。運営本部委員長を務める本田技術研究所OBでS2000の車体開発責任者を務めた鈴木さんの挨拶に続き、S2000に惚れ込んでパーツなどをつくっている、このイベントのパートナー各社の代表が挨拶を行った。そして最後は、ホームストレートに並べられた200台のS2000がカウントダウンに合わせ一斉にエンジンをスタート。登場から生産終了まで量産エンジン世界一のリッター馬力を誇った2.0L DOHC VTECエンジン200基のエキゾーストノートは圧巻だった。

  • 司会を担当した元高根沢工場の船橋さん。当初からS2000の製造に携わったプロフェッショナルである。

  • コントロールライン近くでオープニングセレモニーを見守る参加者。パートナーズ各社のS2000への熱い思いが語られていた。

  • 開会式の挨拶を終え、集合写真撮影の準備中。開発者とS2000のイラストを配したイベントのタペストリーを持って撮影の立ち位置を確認。

  • 記念撮影写真。参加者の後ろには、長々と続く200台のS2000の隊列が見える。

  • ホームストレートからパドックへと向かう200台のS2000。このあとボディーカラー別に駐車する。駐車場所は申し込みの時点で決められていた。

  • 赤のボディーカラー駐車エリア。

  • 黄、青、黒などのボディーカラー駐車エリア。

  • 白のボディーカラー駐車エリア。

  • 運営チーム入魂の参加者記念キーホルダー。カラーは、大人気カーアクション映画に登場したS2000をイメージした「ムービーズピンク」。

11:00~チームトークショー

トークショーでは、開発責任者を務めた上原さん、車体開発責任者の鈴木さん、エンジン開発責任者の乙部さんがステージに上がり、S2000への思いや裏話を語ったり、参加者からの質問に答えたりした。
乙部さんは、S2000を買わないと他では絶対に手に入らないようなエンジンを開発しようと臨んだ結果、車体はできたがエンジンの開発が終わらないという状況になってしまったが、粘りに粘ったおかげで安心して高回転まで気持ち良く回わせる世界一のリッター馬力を誇るエンジンにすることができたとの逸話を披露。鈴木さんは、研究所人生のなかで一番印象に残っているのがS2000で、通常は開発過程で最初の試作車を作ると大体見通しが立つが、S2000は、試作車を作っても先がまったく読めないほど困難な開発だったというエピソードを語った。

  • 快晴の空の下、ステージ前に座りトークショーを楽しむ。まさに手作りイベントの風景。

  • トークショーのステージ。左から、船橋さん、明日葉さん、上原さん、鈴木さん、乙部さん。

  • 乙部さんは、せっかくだからみなさんからの質問を聞きたいと提案し、質疑応答がはじまった。

  • 参加者から、炎天下でオープンにしても内装は大丈夫かとの質問に、過酷な状況でテストをしているので問題ないとの回答があった。

  • 参加者の質問に対し、ロードスターとのハンドリングの違いに熱弁を振るった上原さんの回答に会場が盛り上がった。

12:00~デモカーラン/体験走行

イベントパートナーのひとつ、ASMによるデモカーランが行われた。豪快なエキゾーストノートを響かせ、参加者を魅了する走りを披露した。また、参加者によるツインリンクもてぎロードコースの東コース体験走行は、たくさんのS2000仲間とサーキットを走るという、参加者にとって貴重な体験になったのではないだろうか。

  • 筑波サーキットNAエンジン車最速を記録したというASMのデモカーの走行風景。迫力の走りだった。

  • 体験走行のために、ピットロードを移動する参加者たちのS2000。

  • 見る側から走る側へ。この快感を味わってしまった参加者たち。

  • 先導車の走行ラインをトレースして、ロードコースを駆け抜ける参加者たち。

  • ホームストレートを駆け抜ける参加者のS2000。走る姿も美しい。

  • フラッグタワーに近づき、チェッカーフラッグを受ける。痛快な体験。

文中・映像内にある「ツインリンクもてぎ」は当時の名称。現在は「モビリティリゾートもてぎ」です。

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