ダブルウイッシュボーンがいいの?トーションビームはダメなの?いいサスって何? Vol.1「いいサスの条件」
いいサスの条件2:リアサスがしっかり力を出せること
じゃあ、次の「リアサスがしっかり力を出す」というのは? リアサスが「力を出す」というのが、ちょっとピンと来ないんですが……。
ハンドルを切るとフロントタイヤの向きが変わりますよね。これがフロントサスペンションの役割なんですが、それによって曲がる方向にタイヤが力を出し始めます。今度は曲がりすぎないようにピタッとクルマの向きを止める必要があります。止めるのはリアサスペンションの役割。リアタイヤがしっかりと力を出すようにしてクルマを安定させます。
「サスペンション」とひとくくりに考えていましたが、そんな役割分担があったんですね。
そうです。スポーツというと「曲げようとする力」に注目が集まりがちですが、クルマを安定させる働きのリアタイヤとサスペンションがしっかり働かなかったら、ドライバーはスピンしないように対応するのでいっぱいいっぱいになってしまうわけです。そうなったら、やっぱり走りを楽しむどころじゃないですね。
フロントタイヤがステアリング操作によって動くのに対し、リアタイヤはまったく動かないというイメージがありますよね。ところが、実はリアサスペンションはタイヤから入る力に対して安定方向に向きが変化するように設計され、クルマを安定させる方向に力を発生させています。これが「リアサスがしっかり力を出す」ということの中身であり、サスペンション開発の基本になります。
この不思議な模型は?
リアサスペンションが「クルマを安定させる方向に力を発生させている」ことをわかりやすく説明するために作ったものです。これは「第3回」でお話しします。
はい!なんだかサスペンションに詳しくなれそうで楽しみです!
今回のまとめ
いいサスの条件とは……
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1:しっかり衝撃を吸収できる
一般道はデコボコだらけ!これをしっかり吸収させてタイヤを接地させておかないと、走りを楽しむどころじゃない!
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2:リアサスがしっかり力を出せる
リアサスペンションの「クルマを安定させる力」を増幅させないと、ドライバーはスピンさせないようにするのでいっぱいいっぱいになってしまいます!
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なんだか、思っていたより本格的な話になってきました。次回は、いいサスの条件その1「振動を吸収すること」のヒミツに迫っていきます。どうぞお楽しみに!