
レーシングドライバー山本尚貴選手のシビックe:HEVインプレッション電動化時代をさらに面白くするHondaスピリット2022.8.12
ガソリン車に続いて登場したシビック e:HEV。2.0L直噴エンジンを搭載した“スポーツe:HEV”であることからも、どんな乗り味なのか気になるのではないでしょうか。当サイトに21年6月に掲載した「これがHonda e:HEVの真実です」において、ヴェゼル e:HEVのSUVとは思えないスポーティーな走りをご紹介しました。
シビック e:HEVは、さらにスポーティーさを際立たせた仕上がりのようですので、昨年ヴェゼル e:HEVに乗っていただいたHRCレーシングドライバー山本尚貴選手に、シビック e:HEV開発責任者とともに、ワインディングから高速道路、そしてサーキットを走り、再度インプレッションをしていただきました。
試す人
今回インプレッションを務めた
HRCレーシングドライバー
山本 尚貴 選手(やまもと なおき)
6歳からカートを始め、2002年に全日本カート選手権FAクラスチャンピオンを獲得。10年からはフォーミュラ・ニッポン、SUPER GTに参戦。18年と20年にSUPER GT GT500と全日本スーパーフォーミュラ選手権でダブルタイトルを獲得。
解説する人
本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター
シビック e:HEV開発責任者
齋藤 吉晴(さいとう よしはる)
自動変速機(AT )の研究部門で、変速ショックやエンジンとの協調制御の研究開発を担当。5速AT、6速ATの開発の後、2011年から2013年までドイツの研究所へ駐在しダイナミクスを研究。帰任後はNSXの9速DCTの開発責任者を務めた。2018年にシビックチームへパワーユニット開発責任者として合流、シビック e:HEVの開発責任者として開発を率いた。
ワインディングインプレッション
爽快な前方視界
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今回のインプレッションでは、まずワインディング、高速道路、そして最後にサーキットと走らせてもらいました。 今回シビック e:HEVに乗って、まず最初に感じたのは視界の良さですね。視界が本当にクリアで爽快でした。それから、何といってもアクセルを踏んだときのフィーリング、自分のペダル操作に対してトルクがものすごくリニアに立ち上がるところが乗っていて爽快感を味わえました。
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ありがとうございます。まず爽快な視界ですが、そこはクルマの基本性能で重要な部分です。視界がしっかりしているということは運転に集中できるということで、しかも衝突性能であったり、骨格全体に関わるところになるので、開発初期にしっかりチームとして見極め、こだわってつくり上げた部分です。
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なぜ、こんなに視界がクリアなんですか?
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前方のフロントピラーを50㎜後ろに引いて、視野角を広げています。それからドア上部のラインとボンネットのラインをまっすぐ結び、ラインを整理したことも見やすさに繋がっています。すっきりと爽快で、運転しやすい視界を追求しました。
e:HEVの力強く爽快な加速
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アクセルを踏んだときのフィーリングですが、自分のペダル操作に対してトルクがリニアに立ち上がるところが乗っていてすごく爽快感を味わえました。
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今回シビック全体としては『爽快シビック』と言っているんですけど、アクセルを踏んだらただ速いだけではなく、ストレスがないということを非常に大切にしました。ですので、アクセルを踏んでいただいたら 思った通りに加速していくセッティングにしました。加速のリニア感には徹底してこだわり、開発の最後の瞬間まで磨き上げ、足の角度ではなく、指先の角度でクルマが反応するようなところまで、こだわり抜きました。
その考え方はステアリングも同じで、ステアリングを切るドライバーのイメージ通りに気持ちよく曲がっていくようにしています。 ダイレクト感に満ちたハンドリング
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サスペンションが動くときのフリクションの少なさが剛性感につながっているのか、ものすごくいい意味でダイレクト感があってドライバーに伝わってくるインフォメーションが多く、気持ちいいですし安心して走れますね。
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やはりクルマの動的なところをしっかりやるためには、クルマの剛性を上げるだけではなく、サスペンションの動き出しの部分でしっかりフリクションを落として足が路面に対してちゃんと追従できることが重要です。
ハイブリッドモデルは、バッテリーがリアシート下にあることで、実は重心が10mm下がっています。それで感じていただいたようなフィーリングに繋がってると思います。 -
10mmも重心が低くなると、ロールなどクルマの横の動きが少なくなるので、しっかりとした走りになっていますね。車格が一段上がったように感じると思います。びっくりしました。
ハイウェイインプレッション
レーシングカーに乗っているような気持ちよさ
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高速道路に来て、アクセルを踏み込むと、e:HEVでの加速によりリニア感を一段と感じますね。いまノーマルモードで走っていますけれど、SPORTモードにして、ちょっと加速してみたいと思います。
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どうぞ。
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おお すごい吹け上がりだ。回転領域がまたさらに一段階上になって、エンジン音もノーマルと全然違いますね。
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SPORTモードでは、エンジン音に加え、アクティブサウンドコントロールで音を加えていますので、さらに気持ち良い爽快な音をお楽しみいただけるのではと思います。
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音が重要だということを再認識しました。SPORTモードにしてアクセルを踏み込むと、高回転域で気持ちのいいエンジン音が伝わってくるので、なんかレーシングカーに乗っているような錯覚すら覚えてすごく驚きました。
サーキットインプレッション
路面が濡れているのにすごい安心感
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一番楽しみにしていたサーキットにやってきました。ちょっと今日はあいにくのコンディションで路面が濡れていて 雨となっているのですが、本当に路面が濡れているのかなというくらいものすごくグリップが高いですし、早速運動性能の良さを感じています。
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ありがとうございます。シビックではスポーティさにもこだわりました。
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いまも縁石にちょっと触りましたけれど、まったくこう突き上げ感みたいなのもないですし、雨で滑ったとしても滑り方がすごくスムーズですね。唐突な抜けがないので本当に安心して乗れます。
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ありがとうございます。雨の日に走っていただいて、そういう言葉をいただけるのは本当に嬉しいです。
やはりHonda、サーキットでこれだけ楽しめるとは
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ノーマルからSPORTモードに切り替えてアタックしてみたいと思います。
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はい。
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すごく食いつきますね、本当に。雨だから滑ったときのクルマの運動性能がより大事だと思うので、今日ウエットでインプレッションさせてもらってよかったと思っています。
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横に乗っていても非常に楽しいです。
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このフロントが入る感じがたまらないですね。フロントが入るということは、リアが軽くなってスピン状態に陥りやすいんですけれど、しっかりとリアの接地がしっかりと残って路面に追従していると感じます。
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曲がっているときに前輪のイン側だけに軽くブレーキをかけて曲がる力を高めるアジャイルハンドリングアシストが入っていますけれど、それ以外は大きく制御が入っているわけではなくて、基本的にはメカニカルグリップで達成できています。
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この車両自体の運動性能の高さが、安定感とグリップのコントロール性のよさにつながっているんですね。
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今回のシビックから、スポーツe:HEVというふうに名乗って運転の楽しさを追求しています。やはりHondaはスポーツが好きなんですね。
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幅広いレンジというんですか、街なかでも静かにしっとりと乗ることができるし、でもこういったサーキットで高い速度レンジで乗ったときもしっかりとクルマをコントロールでき、剛性、低重心の良さを味わえます。幅広いスピードレンジで色々な顔を持ち合わせているのがシビックe:HEVの良さの一つなのかなと思います。
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やはりそういうクルマを目指したところはあります。一度乗ったあと、「もう一回乗ってみたいな」と思う、そういうクルマにしたいという思いで開発しました。どこで走っても楽しいクルマ、そういうクルマにしたいという思いが根底にありました。
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今日はとても楽しかったです。ありがとうございました。
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こちらこそ、ありがとうございました。