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Honda SEDAN

「見せかけ」を「本物」のように撮ることはできない[写真家 内田 修]

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「このセダンは、良質な生き方と響き合う」「基礎から豊かさをめざすクルマづくり」。
1989年に登場したセダン、「コンチェルト」のカタログにはこうある。
現在の基準から考えれば、決して「堂々たるサイズ」を持つわけではないが、
カタログ全体を通じて確かな上質感と、上級セダンの風格が表現されている。
Hondaが目指した「良質な生き方と響き合うセダン」とは、「基礎からめざした豊かさ」とは、どんなものだったのか?
そして、「セダン」の魅力とはどんなところにあるのか。
このカタログを撮影した写真家、内田 修氏との興味深い「セダン談義」を始めよう。

実り多き「日英共作」

「コンチェルト」はすごく思い出深いクルマですが、その前に、これが生まれてきた「背景」というのを、当時の仕事仲間から聞いていましてね。「コンチェルト」は、フラッグシップセダン「レジェンド」なくして語れないのですよ。
1980年代前半というのは、コンパクトでカジュアルなクルマづくりを得意としていたHondaが、悲願であった「上級セダン」を世に送り出すべく、さまざまなチャレンジを行っていた時代でした。その中のひとつが、英国の自動車メーカーとの技術的な提携でした。
主にインテリアにおける、木、布、皮といった素材の使い方、パネルの造形……イギリスから学ぶことが多かったのだそうです。
そして、そういった「日英の交流」をスタート地点として、日本車でありながら、どこか異国情緒を感じさせるレジェンドが完成したのだそうです。あのクルマのカタログ撮影も担当しましたが、シンプルでありながら質感の高い「日本車離れ」した美しさを持っていましたね。一方で、英国メーカー側も機械としての設計などの面でHondaの実力を認めてくれていたと言われていますし、双方にとって実りの多い提携だったに違いありません。

  • レジェンド 4ドアV6Xi

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フラッグシップと共通の「志」

そんな流れの中で生まれたのが、コンパクトサイズながら確かな上質感を持ったセダン、「コンチェルト」でした。もちろん、フラッグシップたるレジェンドとは違って、高価な本木目のパネルなどは使えなかったと思いますが、大きくラウンドしたダッシュボードをはじめ、英国メーカーとのタッグによって得られた「上質感、心地よさとは何か」という問いへの答えがたくさん詰まっていたように思います。レジェンドとコンチェルト、大きさや価格は違えども、「志」は一直線に繋がっていたのです。
当時、日本は景気がよくて、「上質感」を売りにしているコンパクトカーは多くありました。でも実際には、単に「着飾った」だけだったり、

コンチェルト 4ドア セダン JX-i

コンチェルト 4ドア セダン JX-i

あるいは宣伝で「上質」と言うだけだったりして、コンチェルトのように、クルマづくりのコンセプト、基礎となる部分からきちんと考え抜かれていたものは、あまりなかった。あれは、Hondaの誠実さ、真面目さが詰まったセダンだったのです。
……そうでなかったら、コンチェルトのカタログに表現していた「上質なセダン」としての写真は撮れなかったでしょうね。
「上質感、心地よさとは何か」ということについて、Hondaは真っ先に深く考えた。そして、フラッグシップセダンからコンパクトなセダンまで、一気にこれを展開した。その結果が、あの端正なセダンフォルムと、上質なインテリア。今にして思えば、ずいぶんと時代に先駆けていたものです。

「美しさ」を求める人がいる限り

「コンチェルト」がデビューした当時とは異なり、今は「クルマと言えばセダン」という時代ではなくなりました。ステーションワゴンやミニバンなど、荷室や座席数から見てセダンよりも「優れた」クルマはたくさんあります。でも、なぜ「セダン」がなくならないのでしょう。
──私が飛行機の写真を撮るとして、単純に「空を飛ぶ乗り物の美しさ」を切り取ろうというのなら輸送機よりは旅客機、旅客機よりもHondaJetのようにコンパクトな飛行機を選びたい。複葉機みたいなプリミティブな飛行機も、絵として美しいでしょうね。
クルマもそうかもしれません。「道を走る乗り物の美しさ」を切り取るなら、やはりセダンを選ぶと思います。「道を走ること」それ自体に関係のないものがそぎ落とされた分、クルマが本来持つべき姿・かたちというものが際だつからかもしれません。私はいろいろなHonda車の写真を撮ってきましたし、いずれもきちんと「クルマとして美しい造形」が考え抜かれていると思います。でもね、ここだけの話……「撮っていてワクワクする」のはセダンですよ。

  • コンチェルト 4ドア セダン JX-i

  • コンチェルト 4ドア セダン JX-i

  • コンチェルト 4ドア セダン JX-i

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いろいろなクルマの選び方があります。でも、せっかくなら「荷物がたくさん積めるから」とか「人がたくさん乗れるから」という理由ではなく、「美しさ」でクルマを選びたい。そう考える人がいる限り、「セダン」は永遠に不滅。そう思います。

カタログも、クルマの一部である

Hondaのカタログを作っていた会社から独立して、「修行」のためにいろいろなメーカーのカタログ写真を撮ったことがありました。そのときに思ったのは、「Hondaほど『写真にうるさい』メーカーは他にない」ということでした。
これは、カメラマンの大先輩である添野清さんの時代からそうだったと思いますが、カタログまで含めて一台の車であるという考え方があったのかもしれません。クルマの開発に携わった人の声を聞き、それが乗り手にとってどれほど素晴らしいものなのか?本当に真剣に考えなければHonda車の写真を撮ることはできませんでした。
もし、またHondaのセダンを撮影することになったならば、それを開発した人、デザインした人たちの声を聞き、彼らがどんなにワクワクしながらクルマをつくったのかをしっかり知りたい。そして、同じ気持ちになった上で、セダンを選ぶ人たちに伝えたい。そう思っています。
これからどんなセダンがHondaから出てくるのか、私も興味津々です。楽しみですね。セダンファンの皆さんも、そうでしょう?

写真家 内田 修

1952年、北海道生まれ。東京芸術大学卒業後、フリーランスフォトグラファーとして活動を開始。内田修写真事務所設立、株式会社CCレマン入社を経て、Honda製品の撮影を手がけるようになる。1990年、株式会社レプトンを設立し、様々な四輪車・二輪車の広告写真を撮影。現在は、日本国内のみならず中国にも活動の場を広げるほか、ヒマラヤの山岳写真の撮影を行うなど、精力的に撮影活動を続けている。

1989年コンチェルトカタログ抜粋(PDF版)はこちら
(PDFファイル 5.6Mbyte)

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