MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2005年2月号
高校生座談 ph
高校生座談会:「自転車通学の安全」
<出席者>
山梨県立巨摩高等学校 山梨県立増穂商業高等学校 山梨県立塩山高等学校 山梨県立山梨園芸高等学校
若杉麻里江・加藤慎二 熊王めぐみ・桜田拓郎 武川美紀・宮原正太 村田知加・野口和樹
※ いずれも高校3年生
通学などで自転車を利用する機会が多い高校生たち。運転免許取得年齢に達し、交通社会の一員であることを強く問われる世代でもあります。当の高校生は自転車通学をどのように考えているのでしょうか。ここでは、自転車やバイクで通学を行っている山梨県にある4つの高校から2名ずつ8名の高校生が集まり、自分の体験を通して、他の人のことを考えた自転車の乗り方や意味のある講習会のあり方などを話し合いました。

加藤 司会を担当する加藤です。自転車をどのように利用しているか、自転車でヒヤリ、ハッとしたことがあれば教えてください。
僕は通学の時ぐらいしか自転車を使いません。交通量がほとんどない道で、通学時間は10分と短く、朝は早めに登校し、帰りは遅い時間なのであまり人にも会いません。危険な要素がほとんどない通学路なので、自転車でヒヤリ、ハッとしたことはあまりありません。
若杉 自転車通学は2年生までで、今はバイク通学です。自転車通学をしていた時、坂で2人乗りした男の子と正面衝突したことがあります。彼らはよそ見をしていて、私の存在に気づいてなかったんです。2人乗りやよそ見は危ないですね。
熊王 私はずっと自転車通学で、冬の朝、自分の自転車の乗り方にヒヤリとしたことがあります。寒くて家を出るのが遅れてあわてていたら、雪で滑ってしまい、怖い思いをしました。気持ちに余裕がなかったです。
桜田 1年生まで自転車通学をしていました。ヒヤリとした体験は、休日に細い道で後ろからクルマがいきなり出てきたことです。そのクルマは細い道にしてはスピードを出していたと思います。50代ぐらいの女性が運転しながら、携帯電話をかけていたみたいでした。僕は左に寄ったんですけど、クルマは右に寄ってくれなかったので、バランスを崩してしまい、急ブレーキをかけました。そしたら自転車の前輪に足が引っかかって、そのまま体がふっ飛んで、頭の上に自転車が落ちてきたんです。運転中の携帯電話は危ないですね。
武川 自転車で通学しています。ヒヤッとしたのは、登校する途中のT字路で青信号に変わった横断歩道を渡ろうとした時のことでした。向こうからクルマが曲がって来て、ゆっくり来てはいたんですけど、ちょっと危ないなと思っていたら、そのまま私にドンとぶつかってきました。倒れましたが、ケガは打撲だけですみました。
宮原 自転車通学をしています。自転車に乗っていてハッとすることは、通学の時に前を集団登校の小学生が遊びながら歩いている時です。石を蹴って、石が道路の方に行くと、その後を追いかけて、いきなり自分の前に飛び出してくる時があり、ぶつかりそうになります。
村田 ずっと自転車通学をしていて、ヒヤリ、ハッとしたことは2つあります。1つは朝、下り坂をあまり前を見ないでまっすぐ下りていったら、横の細い道からバイクが出てきて、いったん止まって左右を確認したそうですが、私には気づかなかったようで、ぶつかりそうになる直前で2人とも気づいて止まりました。もう1つは夜7時頃、T字路の手前にある運送会社から出てきたトラックがウインカーを出していなかったので、真っ直ぐ行くのだと思って渡ろうとしたら、急に左折してきてぶつかって転倒してしまいました。
野口 自転車は通学にも普段の移動にも使っています。1週間に5回ぐらい、ほぼ毎日ヒヤリとしています。すごくヒヤッとしたのは、学校帰りのT字路で、正面からクルマがどんどん右折をしてくるのですが、1台がウインカーを出していなかったので行けるかなと思って出たら、信号の手前で急にウインカーを出して曲がってきてぶつかりそうになった時です。僕が前方不注意で飛び出してしまったり、僕の存在に気づかないでクルマが走ってきて危なかったりすることはよくあります。

加藤 皆さん、いろいろな体験をされていますね。小学生の飛び出しのことが出ましたが、自転車に乗っていて、こういう歩行者は危険だと感じることはありますか。
野口 歩行者というと、基本的には高齢者と小学生というイメージがあります。いやだな、と思うのは狭い道を子どもたちが横に2列になって下向きでしゃべりながら歩くことです。クルマが来るともう進めないので、その場で止まってクルマが過ぎるのを待たなくてはいけません。
村田 小学生が集団登校している時、道路を渡るのに一所懸命で私たち自転車の存在が近くにあることに気づいていないようです。小学校の先生からもまわりに注意することを教えてほしいですね。
宮原 僕は歩道があるのに車道を歩いている人がいて、なんで歩道を歩かないのかなと思うことがあります。
武川 カーブで先が見にくい場所で歩行者がいきなり出てきて、危ないと思うことが時々あります。高齢者の方が多いです。こちらはびっくりしますが、高齢者の方はぜんぜん気づいていない感じで通り過ぎて行くので、何も言えませんね。
熊王 お母さんたちが集まって道でしゃべっていたりするのは、迷惑だと思うし、夜に黒い服を着ている人がいると、発見が遅くなったりするので危ないと思います。歩行者は自転車を避けてくれるだろうと思っていてはだめなので、自分から気をつけて乗らないといけないと思いました。
加藤 やはり、友だちとのおしゃべりに夢中で前を見てくれない人がいちばん迷惑ですね。ただ、高齢者とか小さい子だったら、こちらが気をつけて速度をゆるめたり、1回降りてあげればいいと思います。でも、同じ年代や中年の人だったら、向こうも気をつけるべきではないかという感じがします。

加藤 自転車に乗っている時と、親の運転するクルマに乗っている時では目線が違ってくると思いますが、クルマから見ると、自転車も同じように道の真ん中を並列で走っていたりして「この自転車、迷惑だな」と思うことがありますか。
村田 今日は雪なので、母の運転するクルマで登校したんですけど、狭い道だと歩行者用の路肩はほとんど雪が積もっていて、自転車は車道の真ん中よりのところしか通れなくなっていました。でも前にいる高校生の自転車に母が「自転車、邪魔ね」と言うのです。私が自転車の時も、狭い道だとゆっくり走ってくれるクルマが多いんですけど、気を遣われているのは自分もいやだし、相手も多分いやだろうなと思って、できるだけクルマと距離をおくようにしています。狭い道での追い越しは本当に怖いので、自転車が余裕をもって通れる道を作ってほしいと思います。
若杉 クルマから見ると並列で走っている自転車を「これ、危ないんじゃないかな」とよく思います。だから自分も気をつけるようになりました。

加藤 自転車から見て、このクルマ迷惑だとか、このバイク危ないじゃないかと思ったことはありますか。
桜田 信号無視が危ないと思います。以前、横断歩道で青信号を確認して渡っていたのに、ものすごいスピードでクルマが突っ込んできて、轢かれそうになりました。
熊王 前の道路が渋滞している時に、トラックの運転手が携帯電話をいじりながら横断歩道上に入ってきて、私たちが渡れなくなったことがあります。

加藤 最後にどうすれば自転車の事故がなくなるかについて意見を述べてください。
若杉 私が自転車同士でぶつかったのは、注意力がなかったことも原因なので、注意することがいちばん大切だと思います。事故に遭ってからでは遅いので、親でも先生でも、地域の人でも常日頃、交通安全意識を高めていく運動をもっと進めていくといいと思います。
村田 「交通事故って怖いんだよ」ということを親からも、経験者からも語ってもらい、教えてもらえれば、「よし、気をつけよう」となると思います。事故の怖さがわかっていれば事故はなくなっていくと思います。
野口 事故が起きたら加害者も被害者になると思うんです。僕が自転車で相手にぶつけてしまったら、当然のことですけど損害賠償を払わなければいけない。それもやっぱり自分にとっては被害だと思うので、お互いに被害を大きくしないように気をつけるという意識を持つことが大切だと思います。
武川 信号無視を考えると、一人ひとりが安全確認を心がけることが大切だと思います。
宮原 赤信号ではちゃんと止まるようにすることと、一人ひとりが信号無視のクルマがいるから気をつけようといった意識を持つことで事故を徐々に減らしていって、最終的になくなっていけばいいと思います。
熊王 バイクの講習会に参加して、私はとても勉強になったので、自転車講習会を学校で開いて正しい乗り方などを指導すればいいと思います。小学校や中学校でも話だけで終わってしまい、実際に乗って教えてもらったことがないんです。
野口 僕は小学校の時に校庭で講習があり、自転車に乗って右折する時は右手をあげてという事をやりました。でも実際に走る時は右手をあげてなんてぜんぜんやってなかったですね。小学校の頃だから、よくわかっていませんでした。
若杉 確かに小学校の時は学校で乗る練習をしたけど、ほとんどの人は何が危ないかわからないまま、ただ練習するだけという感じだったと思うので、「こういうことがあるから危ないよ」と意識しながら練習するほうがいいと思いました。実際に自転車通学を初めてから、教えてもらったほうがいいと思います。
加藤 自転車の人は、だいたいが自分は事故とは関係ないと思っている。そのちょっとした考えがいちばん事故につながっていくので、事故は自分のすぐ近くにあることを頭の片隅に置いておけば、減っていくのかなと思います。
今日はありがとうございました。


 
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