MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2003年11月号
高齢者層の増大、地域コミュニティの空洞化、携帯電話の急激な普及、治安の悪化─。社会の変化は交通社会にも反映し、個々の交通参加者の行動に影響を及ぼします。また、個々の交通行動の変化が交通社会のあり方を変えていきます。いま、交通行動はどのように変わってきているのか。最近、街で目につく気になる交通行動を識者、プロドライバー、交通安全活動の指導者など12名の方々にうかがい、自分が困った体験や事故につながりかねない交通行動から、交通社会におけるルールとマナーのあり方を探りました。


今回お話をうかがった6名・2団体(※)の12名の方々から、多くの気になる交通行動の事例があげられました。それぞれの立場や地域により交通行動を見る視点や関心が異なることもあって事例は多岐にわたりましたが、類似したものを含めて、気になる交通行動は次の7つです。

   1―信号や進入禁止を平然と無視するクルマ
   2―携帯電話をかけながら2人乗りをする自転車
   3―信号機のない横断歩道で歩行者がいても止まらないクルマ
   4―無理に割り込む四輪車、渋滞をすり抜ける二輪車
   5―ウインカーを出すのが遅い、出さないクルマ
   6―女性や学生に多い夜間の無灯火自転車
   7―車道を逆走行する自転車

これらの交通行動がどのような意識で行なわれているのかを考えると、いくつかの“気になる”傾向が見えてきます。1つは、ルール違反が平然と行なわれるようになってしまっていること。ルールを忘れて違反する女性ドライバーも多いのだが、知っていて信号無視や進入禁止を無視するドライバーが増えているという。2つめは、携帯電話・メールをしながらクルマや自転車を運転する光景が日常化していることに見られるように、自分の世界に入り込んで他者の存在に目が行かなくなっていることです。いずれにしても、混合交通において交通参加者が相互に関わりあうこと、コミュニケーションするという意識が希薄になっていることを感じさます。
そのなかで、「首都高速などでの合流が1台ずつ交互に入るのが普通になってきて、渋滞でもあまりストレスを感じないで合流できるようになりました」、「ここ4、5年で道を譲ってもらった時にハザードランプをつけて挨拶する一般乗用車は増えました。昔はトラックがほとんどでした」というコミュニケーション・マナーの広がりに勇気づけられる意見もありました。

※6名・2団体の方々
飯田裕子(自動車生活ライター)、春日井安全・安心まちづくり女性フォーラム実行委員会(宇野敬子・鈴木信子・長谷川眞由美・渡邉修子)、(財)交通事故総合分析センターつくば交通事故調査事務所(根本忠二・主任調査員、中丸正博・調査員)、清水昴(茨城県立江戸崎高等学校校長)、鳥塚俊洋(『JAF Mate』編集長)、南雲悦男(HMSクラブClub Active会長)、芳賀 繁(立教大学文学部心理学科教授)、谷島 宏(帝都自動車交通(株)主任運転者)  (五十音順)





 
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