MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2003年9月号
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マネジメントから安全を考える視点

出席者: 柿内宏之 (株)ヒガ・インダストリーズ ドミノ・ピザ本部 営業部部長代理
小林實 (財)国際交通安全学会・(株)損害保険ジャパン顧問
新家哲男 鈴鹿サーキット交通教育センター交通教育課長
堀内武徳 堀内経営研究事務所所長
(五十音順)

92年11月に企業の交通安全活動の情報交換の場としてスタートしたトラフィック・セーフティ・フォーラム。今年で12年目を迎えたフォーラムを通じて企業の交通安全活動は何が変わったか。また、企業の交通安全活動の問題点と課題、あるべき姿を座談会を通じて探りました。


 安全を売り物にするなら、現場の所で考えないと具体的にならない
 柿内宏之 (株)ヒガ・インダストリーズ ドミノ・ピザ本部 営業部部長代理
ドミノ・ピザは今年で18年目に入りましたが、経営トップの、経営全体の交通安全活動に対するしっかりとしたポリシー、風土があります。ドミノ・ピザも今、これまでの取り組みの棚卸しをしています。160店舗のお店からのアイデアや知恵の蓄積したものの成果から、どのパズルを組み合わせると短期的にはいちばん効果があるのか、長期的に取り組むにはどれを組み合わせれば効果が出るのかということをやっています。これまでのように安全管理者が中心となって施策とか方針を出すと、あるところまでは維持できるのですが、安全を売り物にしようと思ったら、結局は現場の所で考えないと具体的にならないのです。


 これまでの棚卸しを行なって、交通安全活動のモデル化が必要
 小林實 (財)国際交通安全学会・(株)損害保険ジャパン顧問

この12年、フォーラムはいろいろと試行錯誤をしてきましたが、情報提供と情報の共有化の2つはある程度できたので、ここで1回、交通安全管理の棚卸しをやるべきです。これまで何をやってきたのかということを振り返り、評価する。そのなかで管理上、核となるポイントを組み合わせて、あるタイプの交通安全活動のモデル化を作り上げることが必要です。参加者から有志を集めて、自主的でもいいからモデル化の事業に取り組むことを提案したいですね。フォーラムの今後ですが、例えば海外の人も交えたフォーラムをやってみたらどうでしょう。今の形で継続することは、もちろんそれなりに意味がありますが、新たな可能性を考えてもいいのではないでしょうか。


 企業が社員の安全管理手法を成功事例を交えて発信したい
 新家哲男 鈴鹿サーキット交通教育センター交通教育課長

それぞれの企業の交通安全活動の情報交換ができたこと、企業が抱えている課題に取り組む切り口やヒントを提供できたことがフォーラムの成果だと思います。今後は、企業が社員の安全管理をする手法をもっともっと成功事例を交えてお話をしていくべきです。さまざまな業種、業態にあった管理手法を模索して、このフォーラムを介して発信し、そして、安全管理ができる組織とはどういう組織であるべきなのかということを、いい企業の例を取り上げてPRすることです。また、企業だけではなくて、間口を広く、敷居を低くして、例えば車やバイクの好きな一般の人が参加してもおみやげになるような、そんなフォーラムに発展していったらいいなと思っています。


 フォーラムは初めてマネジメントレベルから安全問題を追求した
 堀内武徳 堀内経営研究事務所所長

フォーラムに参加するまで、安全運転についての会合などに出ていましたが、事故事例をテーマにしたようなものが多く、ここで初めてマネジメントレベルから安全問題を追及しようということを経験できました。フォーラムはマネジメントから安全を考えるという視点を確立したことだと思います。今後、フォーラムで是非やっていただきたいと思っているのは、いろいろなドライバーを指導し、いちばんドライバーに対する目をもっているインストラクターの方たちがパネラーとして、指導する立場から映るドライバーの姿を聞かせてもらったら、経営者に対してもインパクトを与えるものになるのではないかと思います。

写真左手前から堀内武徳さん、小林實さん、新家哲男さん、柿内宏之さん

 
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