Power Products

~除雪機~

雪国の暮らしを強力にサポート

「人々の暮らしを技術で楽にしたい」を合言葉に生まれたHondaパワープロダクツ。
1980年には、降雪量の多い地域の暮らしを支える除雪機の販売を
北海道地区で開始しました。

国土の約6割が
積雪寒冷地域に指定されている日本

冬の間に雪が日常的に降る地域を、国土交通省は「積雪および寒冷地」と定めています。2月の積雪量最大値の累年平均が50cm以上になる地域を「積雪地域」、1月の平均気温の累年平均が0℃以下の地域を「寒冷地域」と呼び、北海道や東北、北陸、山陰、中部山岳地が積雪および寒冷地に指定されており、その割合は日本の国土の約6割に及びます。

Hondaが除雪機の市場に参入したのは、Hondaパワープロダクツの基本理念である、人々の暮らしを技術で楽にしたい、という思いからです。

南北に長い日本列島は、四季がある美しい国土であると同時に、雪国日本と呼ぶことができるほど、降雪量の多い国です。当然、冬の間は、雪で日常生活を送るのも難しくなる地域もあり、災害級の豪雪も少なくありません。

こうした背景のもと、Hondaは1980年に、排気量144ccで3.5馬力の汎用エンジンG150を搭載した初の除雪機「スノーラHS35」の販売を開始しました。

すでに、降雪の多い地域では、自治体によって幹線道路の除雪は実施されていましたが、幹線道路から外れた住宅地や路地の除雪までは対応されないのが一般的でした。

市区町村の除雪車が出動し、道路の雪を路肩まで寄せるものの、排雪は行なわれない。このため、自宅前や幹線道路に至るまでの道路は、各家庭の住民がスコップなどを使用して手作業で除雪する重労働を強いられていたのです。

家庭用小型除雪機「スノーラ」
家庭用小型除雪機「スノーラ」

それまでの除雪は、投雪機と呼ばれる機械にスコップなどで雪を入れ、それを飛ばす作業で、「家庭用の除雪機」というカテゴリー自体が確立されていない時代でした。このような状況に対してHondaは、個人でも機械で雪を砕いて飛ばす作業が可能な家庭用の小型除雪機の開発を目指していました。

降雪量の多い地域では、朝の除雪ができなければ、出勤も登校も困難となるため、Hondaは開発に際して除雪機を単なる作業機として捉えず、生活を守る道具と考えました。

除雪する人のことを考慮し、高齢者や女性でも扱いやすく、簡単に操作できることを念頭に置いた開発でした。

例えば出勤前に駐車場からクルマを出すために30分ほど除雪をし、日中は、家に残った家族が家の周りを除雪する。Hondaは、そのような重労働を機械の力で楽にしたかったのです。

また、降雪量の多い地域では、屋根の雪下ろしが容易な落雪式の屋根が普及し、その屋根から落ちた雪を取り除くためにも、家庭用の除雪機の必要性が広まりました。

こうして販売を開始した「スノーラHS35」は、重量が45kgと軽量なこと、燃費の良さと静粛性に優れ、除雪・投雪・推進・停止などの操作を手元で行える仕様とすることで、高齢者や女性の使い勝手にも配慮しました。
また、外気温が-25℃でも始動可能なエンジンを採用するとともに、手袋を着用した状態でも操作が可能な、大きく握りやすいスイッチ類も採用しました。

「スノーラHS35」は個人の自宅前や駐車場など少量の除雪を想定した商品でありながら、毎時30t=毎分500kgの除雪が可能。さらに、冬季以外には使用しないことを前提として、ハンドルは折りたたみ式を採用し、コンパクトに収納できるようにしています。

スノーラは、雪を砕くらせん状の集雪羽根「オーガ」と、集めた雪を遠くへ飛ばす「ブロワー」機能を一体化。新潟や青森など水分を多く含む雪が積もる地域で実証実験を重ね、雪かき機能と投雪機能の強化を図りました。

それまで流通していた除雪機は、高価で種類も少なく、一部の農家や駐車場が広い場所などでは使用されていたものの、家庭に広く普及するには至りませんでした。

そこでHondaは、価格を10万円以下に設定して「スノーラHS35」を販売しましたが、手押し式であることや小型であることから用途が限定的でした。また、小型で収納しやすい点が好評を得た半面、駐車場から道路までの除雪などの軽作業を念頭に置いた商品であったため、販売は必ずしも順調ではありませんでした。

そこで、より幅広い用途で、誰もが使いやすい新たな商品として、集雪と投雪の機能を分離させた商品の開発にとりかかりました。

こうして、1982年に「スノーラHS35」の3.5馬力に対して、重い雪でも雪詰まりが発生しない5馬力という高出力で、かつ集雪と投雪の機能を分離させた除雪機HS50の販売を開始しました。

集雪と投雪を分離させた2ステージ式の「HS50」
集雪と投雪を分離させた2ステージ式の「HS50」

また2年後の1984年には出力が7馬力で、さらに除雪能力を向上させたHS70の販売を開始しました。

この頃から、降雪量の多い地域では、Hondaの家庭用小型除雪機が広く知られるようになり、除雪機が一般の家庭に浸透していったのです。

力強い除雪能力を発揮する「スノーラHS70」
力強い除雪能力を発揮する「スノーラHS70」

降雪量の多い地域で暮らす人たちの生活を技術で楽にしたい、という思いから始まったHondaの除雪機は、その後も様々な技術を投入して進化を続け、さらに多くの人々の重労働を軽減していきます。