自分で直せる!
加圧式灯油ランタンの
メンテナンス術

加圧式灯油ランタンは、正しく扱えば世代を超えて明るい光で照らしてくれます。しかし、使っているうちにススがたまり、パーツも劣化していくため、長く使うにはメンテナンスが不可欠。日頃からこまめにメンテナンスを行い、常に万全の状態を保っておくのがベストですが、忘れてしまったり見逃したりで、事前にすべてをケアするのはなかなか難しいのが現実ではないでしょうか。そこで今回は、不調を感じた際にすぐに対処できるよう、不具合別に自分でできるメンテナンス術を解説します。

更新日:2017.12.06

専用の工具を使えば、
不具合の多くを自分で解消できる!

加圧式灯油ランタンのメンテナンスでは、パーツを分解する必要があるため、専用工具が別売りされていたり、あらかじめメンテンス用のセットが付属していることが大半。これらを使えば、「なんか調子がおかしいぞ」と感じた際に、不具合の多くを自分で解消することができます。

これは、今回紹介するランタンに付属しているリペアセット。①専用スパナ、②注油キャップ用ゴムパッキン、③ニップル、④クリーニングニードル、⑤ニードルキー、⑥掃除針です。

今回は遭遇しやすい6つの不具合別に、その対処法を解説。前回の正しい使い方に引き続き、灯油ランタンの輸入販売を行っているメーカーに教えてもらいました。

加圧式灯油ランタンの不具合別・対処法

1. 予熱バーナーに点火しない

バーナーの噴射口が詰まっている可能性があります。掃除針を使って噴射口を掃除しましょう。

レバーのすぐ上にある穴からバーナーのノズルに差し込み、クリーニングします。

2. 予熱バーナーの調子が悪い

掃除針でクリーニングを行い、かつ圧力が適正であるにも関わらず、予熱バーナーの調子が悪く空焼きや予熱ができない場合は、故障の可能性があります。販売店やメーカーに問い合わせをしましょう。
いざキャンプ場で使おうとした際に気づいた場合は、アルコールがあれば急場をしのぐことができます。予熱バーナーの脇にある小さなトレイ「予熱カップ」を利用します。

まずはしっかりポンピングをして、タンク内に圧力をかけておきます。

アルコールをアルコールコンテナーに移し、青いグリップホイールの上にある穴から「予熱カップ」に注ぎ入れます。

グリップホイールの上にある穴からマッチの炎を近づけ、アルコールに着火。2〜3回アルコールを追加して十分予熱を行ったら、予熱カップに入っているアルコールが燃え尽きる直前に、グリップホイールの矢印を下向きにします。これでマントルに点火できます。

3. ポンピングをしても圧力がかかりにくい

ポンプロッドを引き抜いて、革のパッキンを確認してください。写真右のように、劣化して、硬く、小さくなっているのでは。

グリースをパッキン全体に塗り込み、指で広げるようにします。これだけで圧力がしっかりかかるようになります。ひび割れなどの損傷がある場合は、交換しましょう。

4. マントルが発光しない

セラミックノズルを増し締めしているのに発光しない場合は、専用スパナを使ってニップルをはずし、クリーニングニードルを確認しましょう。

グリップホイールの矢印を上向きにして、クリーニングニードルをチェック。写真のように曲がっていたり、折れたりしていたら交換です。

クリーニングニードルはニードルキーを差し込み、くるくる回して取り外します。曲がったり折れてしまったクリーニングニードルを取り外したら、新しいクリーニングニードルを入れて手で回してから、ニードルキーで締めます。

グリップホイールの矢印を下向きにしてクリーニングニードルを下げます。あとはニップルを取り付け、針がきちんと出てくるか確認して終了です。

5. マントルは発光するけれど不安定

U字になっているミキシングチューブの高さを調整します。ヘッドカバーをはずして圧力調整スクリューを開き、グリップホイールの矢印を下向きにした状態で、ミキシングチューブを固定しているネジを緩めます。

付属の専用スパナにはゲージが付いています。製品名の数字部分を参考に、ニップルとミキシングチューブの隙間が適正になるよう高さを調整。ネジをしっかり締めて、ミキシングチューブを固定します。

6. 注油口からエアが漏れてしまう

ポンピングしても注油口からエアが漏れる。そんな時は注油口キャップの裏に付いているゴムパッキンを確認します。硬化していたり、割れていたら新しいパッキンに交換します。千枚通しなど先が細いもので引っかけると簡単にとれます。

加圧式灯油ランタンは他の道具と比べて手間がかかりますが、その分、より深い愛着が持てる道具とも言われています。長く使うために、自分でメンテナンスできるようにしておきましょう。

協力:スター商事

※このコンテンツは、2017年12月の情報をもとに作成しております。