防災用だけではもったいない!
冬キャンプのポータブル電源
活用術!使い道や注意点は?

キャンプ場でポータブル電源を活用するキャンパーの姿を見るようになりました。「キャンプに電源なんて!」という人もいるでしょうが、いざという時にスマホやモバイルWi-Fiルーター、LEDライトの電源を確保できる優秀な防災アイテムでもあります。ポータブル電源を防災アイテムとして手に入れるなら、バッテリーの状態確認を兼ねて、キャンプでも活用してみてはいかがでしょうか。今回は冬キャンプをちょっぴり快適にする、ポータブル電源の活用術をご紹介します。

更新日:2022.02.02

いざという時のためにも、
キャンプで使い方に慣れておこう

バッテリーは気温が低いと驚くほど短時間で電池切れとなってしまいます。ポータブル電源を防災アイテムとしてしまい込んでいては、いざという時に十分に充電されていないことがあるのです。

その点、1カ月に1度でもキャンプで使っていると、充電の確認ができるのはもちろん、使用環境(気温)による電池のおおよその減り具合を予想できるようになりますし、いざという時にどうやって使うかを考えるきっかけにもなります。また、冬キャンプにポータブル電源を取り入れると、冬キャンプのハードルをほんの少しだけ下げてくれます。

ポータブル電源は
使いたい電気製品に合わせて選ぼう

電気製品の“消費電力”に使いたい“時間”を掛ければ、必要なポータブル電源の“容量”がわかります。

ポータブル電源の容量は「Wh」という単位で記されていて、「1泊のキャンプなら500Wh〜」「防災目的なら1000Wh〜」が目安と言われています。

※現実には変換効率等により、ポータブル電源の容量をフルで家電に使うことはできません。あくまで目安です。

容量と出力の見方は?

電気製品のカタログで消費電力を調べると、「W」で記されていたり「Wh」で記されていたりするわけですが、電気製品を動かすのに必要な電力が「W」、1時間に使われる電力量が「Wh」です。
例えば30Wの扇風機を5時間使う場合、必要な電力量は30W×5時間で150Wh。50Wの電気毛布を10時間使う場合は500Whの電力量(電池容量)が必要というわけです。

気をつけたいのが電気ケトルのように消費電力が大きい製品。ポータブル電源では「電池容量」のほかに「定格出力」という項目があり、ここに記された数値以上の電力を必要とする電気製品は使うことができません。
例えばポータブル電源の定格出力が500Wで電気ケトルの消費電力が1200Wだった場合、電気ケトルを動かすことはできません。

なお、「定格出力」のほかに「最大出力」という項目もありますが、これは瞬間的に取り出せる電力の最大値のこと。モーターを搭載した電気製品などは、起動時に運転中よりも多くの電力が必要となります。「最大出力」はこれらの製品に対応するものなので、基本的には「定格出力」を参考にすれば良いでしょう。

必要な電力量の総量(スマホ2台分+電気毛布2枚分+LEDライト1台分など)とともに、ポータブル電源の出力にも注目し、電気製品の消費電力(W)がポータブル電源の出力より小さいことを確認しておきましょう。

また、ACコンセントだけでなく、USB端子も最大出力が決まっています。USBの出力を上回る電力が必要な機器の充電を行いたい場合は、USB端子からでは充電ができない場合もあります。ACコンセントから充電できるよう、電源アダプタを忘れずに用意しましょう。

パソコンを安心して使えるのは正弦波

電流の波形には「正弦波(せいげんは)」「矩形波(くけいは)」「修正正弦波」があります。

パソコンやスマホといった精密機器の使用を考えているなら正弦波1択です。正弦波は家庭用のコンセントと同じ波形で、精密機器も安全に使用できます。500Wh以上のポータブル電源ならまず正弦波となっていますが、小容量の安価なポータブル電源では矩形波や修正正弦波の場合があるので、しっかりと確認しましょう。

パソコンやスマホなどの充電をはじめ、プロジェクターを利用する場合なども正弦波のポータブル電源がマスト。なお、キャンプでプロジェクターを使用する際は、音量とともに近くにテントがない方向に投影するよう配慮しましょう。

Hondaの蓄電機なら、精密機器も安心して使える!

Hondaの蓄電機「リベイド E500」は、Honda独自の「正弦波インバーター」を搭載。ご家庭のコンセントの電気と同等品質の電気を安定供給するので、パソコンやスマートフォンなどの精密機器にも安心して使えます。

冬キャンプでの活用術

ポータブル電源は快適冬キャンプの補助アイテム

キャンプでポータブル電源が活躍する場面は、家族分のスマホやLEDライトの充電、冬は電気毛布、夏は扇風機の使用などが挙げられます。

ところが、50Wの電気毛布を4枚用意すると、500Whのポータブル電源では気温の低い冬場であることも考慮すると2時間も使えません。1000Whのポータブル電源でも3〜4時間程度。環境によってはもっと短時間で切れるかもしれないので、“寝袋に入る30分前に電気毛布を入れてあたためておく”など使い方に工夫が必要です。

電気毛布に頼り切るのではなく、あくまで快眠をサポートするアイテムだと考えて準備しましょう。

ポータブル電源が冷えすぎないように対策しよう!

氷点下になることもある冬キャンプでは、ポータブル電源を冷やすと思った以上に早く電池が切れます。できるだけ長く使用するためにも、冷えすぎないよう対策しましょう。

購入時に入っていた箱は、発泡スチロールの緩衝材がぎっちり詰まっています。緩衝材は保温効果が高いので、キャンプの際も箱に入れて持ち運び、使用しないときは入れておくと冷え対策に役立ちます。

購入時の箱を捨ててしまっているなら、写真のように毛布でくるんで保管してもOK。ただし、一部のファン非搭載モデルは、寒い時期に毛布を巻いたまま使えるものがあるようですが、基本的にポータブル電源使用時は排気口を塞いではいけないので、必ず毛布をはがして使ってください。

周囲に十分な空間を確保した上で、冷気に触れにくい環境に整えてスイッチオン。冷たい空気は下のほうに溜まるので、ポータブル電源は棚の上段へ。写真はリビングとなるシェルター内にセットしていますが、棚を寝室(テント内)に置くとベターです。
また、ポータブル電源に必要な空間(壁などとの距離)は、お使いのポータブル電源のカタログで確認してください。

気をつけたいのは薪ストーブや焚き火台を使っている場合。ポータブル電源を近づけないようにしましょう。夏なら炎天下の車内も危険です。こういったことはモバイルバッテリーやスマホなども同様です。充電を行う際も、置き場所は火器から十分な距離をとり、高熱になりやすい場所を避けることが大切です。

なお、キャンプで延長コードを使うなら屋外利用OKのタイプが安心です。屋内用の延長コードを使う場合は、濡れないよう十分注意しましょう。

長期で使うことを想定するなら、ソーラーパネルも検討

2〜3日の連泊で使うことを想定するなら、ソーラーパネルを用意し、2台の500Whポータブル電源を交互に使うという手も有効です。大容量のポータブル電源なら、複数のソーラーパネルをつないで短時間で充電するという手もあります。

これからポータブル電源とソーラーパネルを手に入れようと考えるなら、充電の速さとソーラーパネルの最大出力もチェック。同じ500Whのポータブル電源でも、ソーラーパネル充電が3時間で完了するものもあれば5時間かかるものもあります。

ソーラーパネルで効率よく充電する方法はこちら
モバイル型ソーラーパネルの使い方

モバイルバッテリーも併用しよう

最近はモバイルバッテリーを利用する発熱アイテムが多数登場しています。
ベスト、インナーパンツ、中敷き&ソックス、ブランケット&寝袋、カイロなど、そのアイテムは多種多様。コードがないため自由に歩け、屋外でもあたたかく過ごせます。

ポータブル電源があれば、これらのアイテムを充電して繰り返し使用することができるので、より効果的。とはいえ、発熱アイテムを用意しすぎると電池の管理が大変です。電気毛布同様、朝一番に着たときの“ひんやり”や夜の底冷え解消など、スポット利用すればモバイルバッテリーの数を減らせますよ。

撮影協力:PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
※このコンテンツは、2022年2月の情報をもとに作成しております。