モッツァレラチーズ作り体験スタート
はじめてのチーズ作りがスタート! 佐久で採れた牛乳のおいしさを活かせるようにがんばります!
発酵食品であるチーズの工房内に余計な菌は厳禁。用意いただいた作業着と帽子、マスク、手袋を身につけ、しっかりと手洗いをしてからチーズ作り体験に臨みました。
こちらがモッツァレラチーズの素となるカード。ここにお湯を加えて練るだけで完成品になる、チーズの一歩手前の状態です。
カードは牛乳のタンパク質である「カゼイン」が固まったもので、乳酸菌を加えて少し発酵させた牛乳に「レンネット」という酵素を入れて作ります。
乳酸菌が牛乳に含まれる「乳糖」を食べて酸を生み出すことで、酸っぱくなっているんですね。カードの状態でも食べられるので、ぜひ1粒召し上がってみてください。
お言葉に甘えて……モグモグ……おいしい! 爽やかな酸味があって、噛むほどにミルクの甘さが広がりますね。この段階ですでにモッツァレラチーズの味がします。
このカードをどのように練り上げるかでも出来上がりの味も変わってきます。それでは、寒川さんだけのモッツァレラチーズを作っていきましょう!
カードが入ったボウルの鍋肌から滑らすように約90°Cのお湯を注いでいきます。カードが軟らかくなって伸びていくのがわかって、この時点ですでにおいしそう。
2本の木べらで“の”の字を書くようにカードを伸ばしてはまとめていくのですが……これがけっこう難しい! 意外とカードがしっかりしていて、思うように伸びてくれません。
グミみたいな固さになってきました。どのくらいこねたらいいのでしょう?
表面がつるんとしてきたらできあがりの合図です。たくさんこねるほど弾力が出ますが、こねすぎてもミルク感が失われていくのでバランスが重要です。少し難しいかもしれませんが、挑戦してみてください!
表面がなめらかになったら成形にチャレンジ。土屋さんがつきっきりで指導してくれます。
右手の人差し指と親指でつくった輪っかにカードをくぐらせて、下から押し込むようにしてまん丸の球状に。ほどよい大きさになったら指の輪っかを閉じて、そのまま勢いよく“モッツァーレ!”(イタリア語で“引きちぎる”の意味)
輪っかを閉じてチーズのお尻をすぼめるのが案外難しい!
引きちぎったらダレない(締まりがなくならない)ように5°Cの冷水に入れて冷やします。左が土屋さん右が私のチーズですが、やっぱり土屋さんのチーズはカタチがきれい!
やっぱり私のチーズはちぎった部分のすぼみ方が甘いですね。キャンプ場での料理で使うように、小さいものも作ってみましたが、小さいとなおさら難しいです。
ありがとうございます。なんとか形になってホッとしました。
では、せっかくだから私が作ったチーズを食べ比べてみましょうか!
最初に仰っていた、職人だけが知る"できたての感動"ですね。
はい! 最もフレッシュな成形したばかりのチーズを召し上がってください。
では、土屋さんが作ったできたてほやほや熱々のモッツァレラチーズをいただきます。
「……ジューシーでおいし〜〜〜い!!!!!」
「……よかった(笑)」
熱々で柔らかな食感と豊かなミルク感! 噛めば噛むほど風味が口のなかに広がって、こんなモッツァレラチーズは今まで食べたことがないかも……。作りたてじゃないと味わえないという意味がわかりました。
私は「ジューシー爆弾」って言っています(笑)。続いて、ご自身で作ったチーズも食べてみてください。
……モグモグ……私のチーズもおいしい! でもやっぱり土屋さんのチーズの方が弾力もあるし、よりミルキーですね。
弾力の正体はチーズの繊維で、カードを伸ばして畳んだ分だけ繊維が重なって弾力が生まれるんですね。あとはちぎった部分がしっかり閉じているぶん、私の方がミルクの風味が溶け出さずに濃い味になっているんです。
なるほど、同じカードを使っても、こね方やちぎり方でも味に差が出るんですね。食べ比べたことでプロのすごさがよくわかりました。さすがです!
チーズ作りを終えた後は工房の見学タイム。製造室や熟成庫を案内いただきながら、チーズができる仕組みなどを伺いました。
早速ですが、チーズ作りは牛乳が鍵なんです!佐久中から新鮮な牛乳がこの工房に運びこまれてきます。
ポイントが3つあって、
1. 浅間山と蓼科山のあいだに開けた広い土地
2. 標高500〜1500mの夏でも冷涼な気候
3. 雨の日が少ない晴天率の高さといった環境
そのため、乳牛のストレスが少ないんです。やっぱり健康な牛の方が良質な牛乳を出してくれますから。
たしかに。狭くて暑くてジメジメした環境は人間だって嫌ですものね。
環境だけでなく、食べるものによっても牛乳の質が変わります。牛乳の質が変われば、同じ時間と同じ温度で発酵させても同じチーズにはなりません。そのため、毎回牛乳と対話しながら「乳酸菌の働きを手伝う」という感覚で作りあげています。
すごい!その熱量と佐久の新鮮な牛乳の組み合わせで美味しいチーズができているんですね。
そうなんです!
実際、各地で酪農が盛んな長野県は、チーズ工房がたくさんあって、その数は北海道に次いで全国2位なんですよ。
それはすごい!チーズのような加工食品にも“その土地らしさ”があるんですね。大変勉強になりました。ありがとうございました!
土屋さんにたくさんお話を伺って「チーズ作り体験」は終了! 調理用に追加でモッツァレラチーズを購入して、キャンプ場へ向かいます。