「自然と一体化して魚を釣る」のがフライフィッシングの醍醐味
宮城県の鳴子温泉の先、秋田とのほぼ県境に位置するのがここ荒尾川です。ここの特設釣り場では、冬季にニジマス釣りが楽しめます。
一般的に本州での渓流釣りは9月でシーズンが終わり、10月以降はイワナやヤマメなどの渓流魚の産卵のために禁漁期間となりますが、この荒尾川では、10月1日~11月30日まで釣り人のためにニジマスを放流していて釣りが楽しめます。
仲間たちからここの話はよく聞いていて、いつか行ってみたいと思っていたので、ようやく来ることができました。
軽井沢からだと車で6時間かかるけど、いいロケーション。
さっそく偵察に行きましょう。初めての川は特に下調べが大事だからね。
橋の上から見渡せるのはいいね。あ、いるいる。大きな石が沈んでるところや橋の真下のえぐれてるところに何匹も定位してる。水流が弱まって居心地がいいんだろうね。
あそこにいるのは60cmくらいあるんじゃない? けっこう大きいよ。あ、水面にメイフライ(カゲロウ)も出てるね。これはひょっとしたらドライ(フライ)でも出るかも。
日頃どんなにお店が忙しくても、釣りの時間は作るようにしています。ランチタイムが過ぎた頃からそわそわし出して、閉店とともに車で近くの川に釣りに行くんです。
翌日休みなら少し遠出して、そのままキャンプをすることもあったり。3月から9月末まではそんな感じでフライフィッシングに没頭してますね。
今回はこの禁漁期に釣りができるなんて、本当にうれしい。
これがフライ(毛鉤)です。鳥の羽や動物の毛をベースに鉤に糸を巻いて、魚の餌となる虫などを模した擬似餌を自分で作るんです。
主な種類としては、水面を飛ぶカゲロウなどの羽が生えた虫を模した「ドライフライ」や、水生昆虫の幼虫を模して水中に沈める「ニンフフライ」、小魚に似せた「ストリーマー」などがあります。
お、さっそくかかった!
放流魚がかかりやすい他の魚の卵に模した「エッグフライ」でまず試してみたけど、それがよかったね。
サイズは尺(30cm)まではいってないけど、きれいなニジマスだね。今より気温が上がってくれば、魚が水面付近にいる羽虫や川に落ちたカメムシなんかを食べ出すだろうから、ドライフライに替えてみようかな。
見えている魚をドライフライで釣るのが僕は好きですね。魚の前にうまくフライを落としてやれば、水面に出てきてパクって食いつくところが見れるんですから。そのためには一投目が大事なんです。
魚っておもしろくて、フライの落とし方ひとつで食いつきが違う。あくまで自然に「虫が落ちてきた」って魚に思わせないといけません。
釣りたい魚がその時期に何を食べているのか、どんな色の虫が羽化して飛んでいるのか、虫が飛ぶ時間帯はいつなのか、魚だけでなくその周辺の自然まで観察して釣るのがフライフィッシングという釣り。
だから季節の変化にも敏感になる。自然というのはすべて連動しているから、このフライならいつどこに行っても釣れるというセオリーはないんです。そういう難しさがあるから飽きないし、釣れたら嬉しい。
自然とうまく一体化することで魚を釣るのがフライフィッシングの醍醐味じゃないかな。
キャンプにも、自分が自然の一部になっていると感じられる瞬間があるから、昔からずっと変わらず好きでいられたんだと思います。
最後の最後で、今日一番のが出ました。サイズは48cmか。これをドライで水面に出させて釣ったというのがさらに嬉しい。
このニジマスは去年放流したのが居残っていたんだろうね。
肌艶もいいし、今日何匹か釣ったニジマスとはひれが全然違う。
胸びれも尾びれも丸まってなくてちゃんと尖ってる。自然の中で活発に育ってきた証拠だね。こういう魚に出会えると思わずニヤケちゃうな。