開幕戦のクラッシュの影響で、まだ本調子とは言えないカーマイケルに加え、第2戦で右腕の筋を痛め、今大会は欠場のフォンセカ……。Honda陣営には暗雲が漂いつつあったが、それを見事に吹き飛ばしてくれたのが、他でもないラ・ロッコだった。
もうすぐ31歳になるベテランのラ・ロッコは、Hondaのサテライトチーム、ファクトリーコネクションに所属しているが、マシンはカーマイケルやフォンセカと同仕様のCR250R。開幕戦以来スタートダッシュが際立っているのは、マシン性能によるところが大きいと本人も認めていた。
今大会の決勝のスタートは、ラ・ロッコの思い通りにはならず、1周目9番手という出だしだったが、スタートが不得手で追い上げが得意というラ・ロッコを知る者にしてみれば、不安は少しもなかった。ホールショットのウィンダムに続き、パストラーナ、バーン、ロンカダ、ラムゼイ、ビーラマン、ラスクからなる上位陣。カーマイケルはスタートで出遅れた上に、前走者のクラッシュにラインをふさがれ、1周目12番手から挽回を図る。
序盤から飛ばすウィンダムとパストラーナが、3位以下を引き離すランデブー走行を見せたが、6周目にパストラーナがリーダーになると、ウィンダムの遅れが目立ちだし、その後方で繰り広げられていたビーラマンとロンカダのバトルに、やがて飲み込まれてしまう。その頃、Honda勢の追撃は小康状態を迎え、ラムゼイが5番手、ラ・ロッコが6番手、ラスクを挟んだ8番手にカーマイケルがつけていた。
11周目、ラ・ロッコがスパート。ウィンダム、ラムゼイ、ロンカダを一気にかわして、ラ・ロッコは3番手にジャンプアップした。トップのパストラーナは、2番手のビーラマンに対し、最大で7秒のマージンを稼いでいたが、12周目に転倒を喫し脱落。これで優勝争いはビーラマンとラ・ロッコに絞られた。
ビーラマンとの2秒差をわずか3周でゼロとしたラ・ロッコは、15周目の最終コーナーでついにリーダーとなる。ビーラマンも離されずに追走を試みたが、結局ラ・ロッコが2秒弱のリードを維持して優勝を果たした。なお、3位が目前だったラムゼイは、最終ラップに他車と接触し転倒。4位のカーマイケルに続き、5位でチェッカーを受けた。
R.カーマイケル(4位) ケガした左手の状態は悪くないよ。体力的にも劣っていると思えないし、ただ15位からあそこまでしか挽回できなかったということさ。今年はみんな速くなっているようだし、スタートの失敗は致命的だよ。1周目にチャド・リードがクラッシュして、そのバイクにもう少しでノックアウトされるところだった。自分としては、これもスタート失敗の一部だと思ってる。レース中盤までラ・ロッコを追いかけるようにポジションを上げて行ったんだけれど、間にラスクが入ってなかなか抜けなかったのが問題だった。今のオレに必要なのは1勝だけ。全然難しいことじゃないよ。いつもの練習量に戻すことができればね。