今季のHondaは、ラスクとトーテリの2人に、テストライダーのヒューズを加えた3人体制だ。ヒューズはスーパークロスシーズン中はニューマシンのテストに専念し、アウトドアナショナルから出場という変則的な参戦になる。また、今年からユニバーサルスタジオがチームスポンサーとなり、Hondaのマシンにはキャラクターのウッドペッカーが描かれることになった。
サテライトチームのファクトリーコネクションには、ベテランのラ・ロッコに加え、125要員としてジェスマンとボニファスを迎え入れている。
ちょうど1年前の開幕戦では、エースのラスクがプラクティス中に肩を脱臼し、その後シーズン全戦を棒に振るアクシデントがあった。ラスクが復帰を果たした今年の開幕戦、今度は同僚のトーテリが入れ替わるように練習中のクラッシュで肩を負傷。トーテリは精密検査を受けるために欠場を強いられることになってしまったが、前年のラスクほどの重傷ではないと見られている。
チーム内には重苦しい空気が漂い始めたが、そんな空気を吹き飛ばしてくれたのが、ラスクの心強い活躍だった。長い休養のせいで、2001シーズンを予想する際に、彼の名を挙げる声が聞かれなくなってしまうほど、株が下落してしまったラスクであったが、実は密かに力を蓄えていたのだった。
決勝でホールショットを取ったのはビーラマンだったが、オープニングラップのリーダーは激しいトップ争いの末にマクグラス、ロンカダと入れ代わった。1周目のオーダーはロンカダ、マクグラス、ラスク、ビーラマン、カーマイケル、フェリー、パストラーナ……。序盤は、ロンカダとマクグラスがコーナーごとにラインをクロスさせるバトルを繰り広げたが、これを制したマクグラスが4周目からトップの座を確保する。
3番手につけていたラスクは、5周目に2位に浮上するとマクグラスを追う態勢を整えた。その差は2秒ほどで、十分に手が届く距離ではあったが、ラスクは7周目に自らのミスでマクグラスの独走を許してしまう。背後には3位に浮上したカーマイケルが迫ってきたが、ラスクはここから再度ペースアップを図って追撃を振りきる。
レース後半になると、マクグラス、ラスク、カーマイケルのトップ3が落ち着く一方、ラ・ロッコの追撃が目立つようになってきた。ラ・ロッコは8番手スタートから徐々にポジションを上げ、15周目にはパストラーナをかわして4位に浮上。結局、2001年最初のチェッカーを受けたのは、マクグラス。ラスクは8秒差で2位に入賞した。
痛恨のアクシデントからちょうど1年、苦い思い出の残るアナハイムで見事なカムバックを果たした。レース後、パドックの撤収作業に従事するHondaのスタッフの表情は明るく、殺到する取材に応じるラスクもことのほかうれしそうだった。
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