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2001 全日本トライアル選手権シリーズ
  第8戦/最終戦 東北大会(宮城県・スポーツランドSUGO)
 
  2001年 10月21日開催 前のレースへ  
  天候:晴れ 気温:17℃ 観客:1,500人  
     
  藤波貴久、黒山健一との好勝負を制して
優勝で全日本4連覇達成!
 
  藤波貴久(Honda RTL)、4年連続シリーズチャンピオン獲得!  
 
 
全日本4連覇達成の藤波、トライ直前 クリーンを重ねていく藤波 今季6度目となる優勝のシャンペンシャワーをあびる藤波(中) ゴール後、TEAM HRCの集合写真
 
 

5勝2敗で最終戦を迎えた藤波貴久(Honda)は、ライバル黒山健一(ベータ)とがっぷり四つに組む好勝負を演じ、最後にはこれを引き離して有終の美。今シーズン6勝目を決めるとともに、4年連続5回目の全日本チャンピオンを獲得した。

 
   

21世紀最初の全日本選手権も最終戦。会場となるスポーツランド菅生は、大量の岩を入れ、新しいセクションも開拓されて、試合の流れはよりエキサイティングなものが期待された。

2週間前の中部大会で惜敗した藤波貴久(Honda)だったが、ここまでの7戦を5勝2敗としてチャンピオンに王手。ここで5位に入れば、黒山健一(ベータ)がたとえ優勝してもチャンピオンは決定するという計算だったが、しかし5位で満足できる藤波ではない。完璧な勝利をもってシリーズチャンピオンに輝きたい。それが藤波の唯一、そして絶対の目標だった。

今回のセクションは、新規に入れられた岩の効果もあって、全体にやや辛口な設定となっていた。藤波が2メートルはあろうというステアケースのある第3セクションで足をつけば、黒山も新たに開拓された4セクションで1点減点。その4セクションで、今度は藤波も1点減点というハイレベルなシーソーゲームを展開する。

しかし藤波は、黒山に対してのわずか1点の劣勢を、まったく意に介さず、試合を進めていく。はたして黒山は第5セクションで減点3、藤波はクリーン。今度は藤波が2点リードとなった。ラインのない第6セクション、黒山はさらに減点1点を追加して、藤波は3点のリードをとった。

しかしまだまだ試合は始まったばかりだ。第7セクションの大岩の飛び石ポイントで、藤波はやや目測をあやまり、減点3。リードを帳消しとして、両者の戦いは振り出しに戻った。このふたりに続くは、野崎史高(ヤマハ)、田中太一(ベータ)。藤波、黒山とは、かつては同じチームに属した仲間でもある。しかしこのふたりも、トップ争いを展開するふたりに割って入ることはできず、いつものとおり、藤波と黒山の戦いは別次元だ。

トップライダーにとって、今回最大の難所となったのは第10、最終セクションだった。パドックのすぐ裏手に位置するこのセクションは、造成工事によって新たに現れた新セクションだ。強烈な登りは、ライダーを次々にはね落としていく。褌身の力で、最初にこのセクションを減点3で切り抜けたのは野崎だった。その直後、黒山がトライ。しかし黒山はここを抜けられずに、時間切れで減点5。

ライバルの減点5を確認しながら、しかし藤波がここを抜けられる確証はない。田中太一が、別ラインでからくもマシンを運び出し減点3となったあと、藤波は田中と同じラインで、危なげない走りで減点3。黒山に対して2点リードで1ラップ目を終了した。

この時点で、5時間半の持ち時間の大半を使いはたして、残るは2時間足らず。2ラップ3ラップは、これもいつものとおり、コンセントレーションを維持したまま、いかに早くセクションを消化していくかも勝負となる。

2ラップ目、藤波は第9セクションまでオールクリーン。対して黒山は、1ラップ目も減点3となった第5セクション、木の根を越えて登る泥の斜面で2点の減点を喫して、その差は4点となっていた。

ここで最終10セクション。自信はあった、と語る黒山だが、このセクションの最初の岩盤で失敗して減点5。1ラップ目と同じく、藤波がここを3点で無難にこなせば、戦況はさらに藤波に有利になる。

しかし藤波は、脱出確実だが3点減点を覚悟しなければいけないラインではなく、クリーンを狙って直登するラインを選んだ。見事登ったと思った瞬間、アンダーガードを岩盤に叩きつけて失速。失敗の5点。4点差は変わらず、勝負は最終ラップにもつれ込んだ。

3ラップ目、黒山はちょっとしたミスで、減点を増やしていった。藤波も第5セクションで3点の減点を喫したが、黒山のミスは7点にも及んだ。最終セクションに到着したときには、その差8点。もはや勝負あり。ここを黒山がクリーンして藤波が5点となっても、藤波の勝利は揺るがない。

勝負がついたふたりは、ラインを確認しあって次々にトライ。ここまで難攻不落だった凶悪なセクションを、まず藤波が見事な加速でクリーンすれば、すぐあとに黒山もまったく同じようにクリーン。ふたりの卓越したライディングテクニックの前に、不可能はないと思わせるような素晴らしいパフォーマンスを見せて、最終戦は幕を閉じ、同時に2001年シーズンも終了したのだった。

 
 

藤波 貴久(優勝)
走り始めて、今日はいつにもまして自分の調子もよかったので、健ちゃんの動向を気にせず、自分の走りに専念しました。序盤にわずかにリードされたりということもありましたが、始まったばかりなので、特に戦況を意識することもありませんでした。
2ラップ目の最終セクションは、クリーンを狙いにいったつもりはなくて、1ラップ目と同じように3点をとりにいこうと走り始めたのですが、難所の登りにさしかかったら、思ったよりも加速がよくてスピードがのっている。これならいけると、方針を急きょ変更してまっすぐ登ってみました。結果はアンダーガードを打って落ちてしまいましたが、これで3ラップ目は確実にクリーンがでると確信できました。
3ラップの10セクションでは、健ちゃんが「もう勝負は決まってるんやな」と話しかけてきて、お互いの点数を確認して、それならと、ふたりで気持ちよくセクションを攻めてクリーンしました。あれは、もう勝負は終わっていたんです。
今シーズン、負けもありましたが、負けた時には必ずなんらかの対策はしました。勝てば勝ったで、やっぱりどこかで安心してしまうところがありますから、それを維持するのが一苦労。勝ち続けるのは、どんな状況であれ、やはり苦労の連続です。
おかげさまで4連覇。また来年、5連覇を目指して、そして世界では今度こそ世界チャンピオンを目指してがんばりますので、また応援をよろしくお願いします。今年1年、声援、ありがとうございました。

 
       
 
     
  全日本トライアル選手権 第8戦 結果表  
 
国際A級スーパークラス
POS RIDER MACHINE TEAM LAP 1 LAP 2 LAP 3 PEN. CLE. TOTAL
1 藤波 貴久 Honda RTL TEAM HRC 8 5 3 0 24 16
2 黒山 健一 Beta Team BETA KENNY 10 7 7 0 20 24
3 野崎 史高 Yamaha FUMITAKA YAMAHA 13 18 12 0 14 43
4 田中 太一 Beta Team BETA Taichi 17 20 9 0 15 46
5 成田  匠 Yamaha ハザードブレーカーズ 22 16 15 0 11 53
6 渋谷  勲 Yamaha TEAM TYS 25 14 24 0 13 63
7 小川 友幸 Beta Azzurro & 山陽DS 32 21 21 0 5 74
8 白神 孝之 Sherco Kenny’s Club 37 27 24 0 4 88
9 三谷 英明 Honda RTL HRCクラブMITANI 40 35 33 0 0 108
10 山田 哲也 Beta Team BETA NAMITA 43 36 41 0 0 120
11 田中 裕人 Honda RTL HRCクラブMITANI 40 42 40 0 0 122
12 北山 将司 Gas-Gas 46 42 48 0 0 136