今年のF1は、速い。主にタイヤ性能の向上が大きく寄与しているのだが、昨年ハッキネンの出したポールタイムは初日であっさり破られ、予選では多くのマシンが昨年のタイムを4秒以上上回った。
ポールポジションは、ミハエル・シューマッハ。しかしJordan Hondaのハインツ・ハラルド・フレンツェンが、4番グリッドを獲得してトップ4の一角を崩す。他の3人も、チームメイトのヤルノ・トゥルーリ、そしてジャック・ビルヌーブ、オリビエ・パニス(ともにBAR
Honda)が7番手から9番手を占め、全員がトップ10内のグリッドからレースをスタートすることになった。
レース当日の日曜日朝は、昨日までの快晴からうって変わって、鉛色の雲が垂れ込める天候。それでも午後2時のレース開始頃には、薄日が射すまでに回復した。ドライ路面でのレーススタート。そしてレッドシグナルが消えた直後から、大波乱の展開となった。
まずスタートして1コーナーに向かうまでに、フレンツェンとラルフ・シューマッハ、デビッド・クルサードが軽く接触。しかしいずれもコースオフを免れて、フレンツェンは3位にポジションを上げる。続いて2周目、背後から迫ってきたバリッチェロがフレンツェンのインを射した際に、2台が接触。フレンツェンは、はじき出されて大きく後退し、更にマシンバランスを崩してしまった。
そして4周目。第3コーナーに向かう直線で、ビルヌーブがラルフに追突。ウィリアムズのリヤタイヤに乗ったマシンは浮き上がり、コンクリートウォールに接触。そのまま数10m以上地面を滑っていって、第3コーナーのエスケープゾーンの奥でようやく止まった。ビルヌーブ本人には大きな怪我も無く、スクーターの後ろに乗りこんで、パドックに戻っていった。この事故により、セイフティーカーが10周にわたってレースを先導した。
約25分後、レースが再開。トップのシューマッハをハッキネン、バリッチェロが追う。そして5位にはトゥルーリ、その後にパニスがつける。コースアウトで16位まで下がっていたフレンツェンは、じりじりと順位を上げて18周目には11位に。
25周目。2位を走っていたハッキネンが、まさかのクラッシュ。これでフェラーリの1-2体制が形成されたが、33周目にはクルサードがバリッチェロを抜いて2位に。一方4位を走っていたトゥルーリは、32周目にペースダウン。代わってパニスが4位に上がる。
レース後半に入ると、各マシンが次々にタイヤ交換にピットに入っていく。パニスは依然として4位。しかしトゥルーリはエンジンのミスファイアーのため40周目にピットインし、そのままリタイヤしてしまう。一方のフレンツェンは入賞圏内の6位まで上がってきた。
結局そのままチェッカーフラッグが振られ、パニスは4位でフィニッシュ。フレンツェンは終盤、ザウバーのニック・ハイドフェルドを激しく追い上げたが、序盤の接触によるアンダーステアがたたって結局抜けずに6位でレースを終えた。
ところが、パニスに黄旗中の追い越しがあったとレース終了後に判断されたために25秒のペナルティーが課され、順位は7位へ後退した。これにより、6位でチェッカーをうけたフレンツェンは5位入賞となった。
優勝は、フェラーリのミハエル・シューマッハ。ポールポジションからスタートし、最速ラップも叩き出す、堂々たる勝利だった。
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