昭和62年(1987)秋、私のVFR750R(RC30 以下30)との歴史が始まりました。80年代の私は耐久レースにはまっていました。観戦です(笑)　その常勝RVFが市販される。台数は限定1,000台。応募多数の為、抽選。幸運にもその秋、1台の30が私の手元にやってきました。手元に来た30は乗った瞬間からそれまでのモーターサイクルの常識を打ち破り、私の乗り物の判断基準(criteria)を大きく変えることになる別次元の乗り物だったと記憶しています。

その我が30も発売から30年を経過し、彼方此方に疲労の色が見え始め、30スペシャリストの手でリフレッシュの時を迎えようとしていました。そんな2020年、Hondaが30のリフレッシュプランを正式に発表、我が30は程なく熊本に旅立ちました。リフレッシュセンター入庫後、各部の作業が進むにつれ様々な課題、問題、困難が表面化しましたが、エンジニアの粘り強い取り組みにより完成に至ったことは感謝に堪えません。

その30がリフレッシュセンターから帰って1年、約3,000kmのマイレージを重ねましたので、帰って来た時の印象、そして今についてお話したいと思います。戻った時に感動したエンジンのレスポンス、静粛性、摺動各部のリニアで確実な動き、そして何より各部のリジッドで剛性の有る動きに支えられたブレーキのタッチと効き。35年の時を超えて我が30はタイムマシンに乗って新車、いやそれ以上のクオリティと完成度を携えて帰ってきました。流石と言わざるを得ません。そしてちょうど1年経た今、我が30はドリーム店で定期点検に入ってますが、そのクオリティは高い次元で維持されています。ありがとうございます。これまで35年。という事は新車に戻った30は、これから35年後の現役とそれまでの安全を担保されたと信じます。