OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2017.10.24
名匠一族の新たなる挑戦 15

2層目のチャインと船底を張り終え、
ついにRIGBYの船体が完成。

船底2層目の仕上げへ

船底2層目に使われるホンジュラス・マホガニーの製材について、佐野社長(右)のアドバイスを受ける龍也氏。この写真に写っている木々は大変興味深い。左に見える和船の船体は飯能産の「杉」。龍也氏の左肩あたりに置かれた細長い部材(約30尺の長さ)は、和船の上棚に取り付けられる「こべり」という部材で飯能産の「檜」。そして、佐野社長と龍也氏が見つめるのがホンジュラス・マホガニー。佐野造船所ならではの風景だ。
チャインを張り終えた直後から、船底材2層目の張り付け作業がはじまった。1層目は斜めに部材を合わせる通称「矢羽貼り」だったが、2層目はキールと平行に張っていく前後張りである。
最初に張られたのはキールの真横で、この船底材は竜骨翼板(りゅうこつよくばん)と呼ばれている。滑走中大きな負荷がかかる部位である。そのために竜骨翼板の一端は、写真Bのようにキールに支えられるように組み込まれている。今回RIGBYの船底2層目に張られた部材の幅は4寸(約120mm)だが、この竜骨翼板だけは特別に幅が5寸(約150mm)取られている。また前後張りされるそれぞれの船底材の長さは5m前後に製材され、ちょうどフレームの位置で繋がれている。
ちなみに木造船で「根の板」という部位名称が出てきたら、それは竜骨翼板のことである。
ホンジュラス・マホガニーを製材する。佐野造船所に長年保管されていたホンジュラス・マホガニーだ。そのために表面の汚れが目立つが、軽く鉋をかけると見事な風合いの木理が現れる。それが木の凄いところだ。
2層目の部材が揃った。
ダブルプランキング2層目はキールと平行して張る前後張りだ。一枚目は竜骨翼板(りゅうこつよくばん)と呼ばれるキール横から張られていった。この竜骨翼板は根の板とも呼ばれ、幅は5寸取られている。それにしてもひっくり返った31フィートの艇体は大きく見える。ボトムに乗る龍也氏が小さく見える。
船首付近は大きく曲げて1層目に密着させる。ちなみに1層目は斜めに部材が合わさる矢羽貼りだ。
写真B:これはトランサム側からキールと船底材1層目を見たところ。キールが船底材を受けているのがわかる。キールは船底を張り終えた後削られる。
キールと船底材の合わせも90度となるようにキールが削られていることに注目。
2016年5月31日、フレームに仮載せされたキール。まだ削られていない。このあとキールは降ろされ、削りの作業が行われた。それが次の写真。
この2点も2016年5月31日の写真。寸法を計り、ノミと鉋でキールを削っていった。右の写真で鉋で削られているところが、写真Bのように船底材を受ける部位だ。
1年前の10月22日の建造風景。縦通材がフレームに収まり、このあと起工式が行われた。
そして起工式から1年が経った2017年10月下旬、両舷の船底2層目を張り終えた。
今年10月、船底2層目を張り終えた。このあと入れ木などの作業を施した後、サンディングと下塗りが行われる。
その様子は次回ご紹介する。
取材協力:(有)佐野造船所(http://www.sano-shipyard.co.jp/index2.htm)
文・写真:大野晴一郎
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