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OCEAN MASTER STORY

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世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2017.10.24
名匠一族の新たなる挑戦 15

2層目のチャインと船底を張り終え、
ついにRIGBYの船体が完成。

美しくも迫力ある船底曲線に、
走りへの期待が膨らむ。

佐野造船所を訪ね、RIGBY(リグビィ)の設計図をはじめて見せてもらったのは、2014年10月23日のことだった。当初、龍也氏は30フィート艇として設計図を起こし、翌11月にはホンジュラス・マホガニーを使って、1/10のスケールモデルを削り出している。
それから2年後の2016年の10月22日には、31フィートに設計変更されたRIGBYの縦通材が組み終わり、記念すべき起工式が行われた。
そして今年10月下旬、ダブルプランキング(2層構造)の船底を張り終え、船体が完成した。
設計図を見てから、ちょうど3年になる。
まだ2層目のサンディングや、キール、舳(みよし=ステム)、トランサムの仕上げなどが残されてはいるが、間もなく船体がひっくり返され、その後はデッキやコックピット周りの建造に移っていく。
チャイン2層目には、1層目と同じくホンジュラス・マホガニーが用意された。
1層目に接着剤を塗布し(写真左)、製材した部材を載せる。このあと木ねじで留める。
今回はチャイン2層目と、船底材2層目の作業についてご紹介する。
船底建造の作業は、前回このシリーズ(第13話)でご紹介した通り、ホンジュラス・マホガニーを使ってチャイン1層目の取り付けにはじまり、続いてチーク材による船底1層目が造りこまれていった。そして次の工程がチャイン2層目の取り付け作業だ。
1層目と同じく、2層目もホンジュラス・マホガニーの柾目が外に出るように製材された。
厚さは1層目が4分厚(約1.2cm)。そして2層目は6分厚(約1.8cm)で、船側(せんそく)と同じく2層の厚みは1寸(約3センチ)となる。柾目のマホガニーによる1寸ものチャインは、世界中のマリーナを歩いて回っても、そう簡単に見られる物ではない。しかもその幅は最大で3寸もある。一見の価値がある。考えてみれば、これまで様々なボートの紹介記事を雑誌などで書いてきたが、チャインという一部位に対して、「一見の価値がある」と書いた記憶は無い。本当にRIGBYのチャインは見応えがある。近い将来、RIGBYはお披露目されるだろうが、その艇体を見かけたら是非とも船側の下を覗き込んで、チャインに目を凝らしていただきたい。
写真でもご紹介しているが、チャイン材には相当な手間をかけている。
木造艇の場合、単に船体の曲線に合わせてチャイン用の部材を製材しただけではだめで、木表、木裏に対して、木端、木口が直角で製材された部材を受け止めるために、チャインの内側(船底材と合わさる面)に細かく鉋を入れる必要がある(下記写真A参考)。1センチ、いや数ミリ場所が違えば、船底材とチャインの合わせ角度が違ってくる。双方がキッチリ合ってこそ、美しく、強い艇体が出来上がる。だから龍也氏は神経を使ってチャインの内側に鉋をかけ、角度調整を行ったはずだ。これこそが木造艇建造の難しさでもあり、面白さでもある。
これが建造上の大きなポイント。船尾から船首まで船底は曲線を描いて造り上げられるので、船底材とチャインが合わさる部分には、接合のための細かい角度調整が必要になる。龍也氏がとった方法は、チャイン側を削って直角に製材された船底材と接合するというものだった。
写真A:船首寄りのチャインの断面を見る。チャインの右側、つまり船底材と合わさる面が斜めに削られているのがわかる。2層目の部材と同じ厚さで、直角に伐られた端材を置いてみるとピタリと合う。
舳(みよし=ステム)の手前までチャインを張り込む。最大で3寸以上あったチャイン幅も、ステム付近では指1本ほどの細さに。それでも合わせる2層目の船底材のために角度調整がなされている。
チャインを船側(せんそく)の面に合わせてノミで削る。
鉋をかけた後は電動工具でチャインを削っていく。船側の下塗り剤も剥がれるが想定内の結果だ。最終的には15回ものニスの重ね塗りが行われるので問題ない。
取材協力:(有)佐野造船所(http://www.sano-shipyard.co.jp/index2.htm)
文・写真:大野晴一郎
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