RIGBYの船体完成が近づいてきた。
今回は、7月に行われたチャイン1層目の建造工程をご紹介する。
ボトム(船底)と船側(せんそく)の境目を舳(みよし=ステム)からトランサムまで続くRIGBYのチャインは、滑走型ハルに見られるハードチャインと呼ばれるものだ。不要なローリングを抑え込んでスタビリティを確保し、艇体の滑走を助けるためにある。さらに船首付近ではステムから湧き上るスプレーを、海面に叩き落すスプレーノッカーの役目も果たす。わずか10cm前後の幅の艇体構造物だが、「走り」に大きく影響するとあって、設計者である龍也氏のこだわりが見られる箇所である。
今回は、7月に行われたチャイン1層目の建造工程をご紹介する。
ボトム(船底)と船側(せんそく)の境目を舳(みよし=ステム)からトランサムまで続くRIGBYのチャインは、滑走型ハルに見られるハードチャインと呼ばれるものだ。不要なローリングを抑え込んでスタビリティを確保し、艇体の滑走を助けるためにある。さらに船首付近ではステムから湧き上るスプレーを、海面に叩き落すスプレーノッカーの役目も果たす。わずか10cm前後の幅の艇体構造物だが、「走り」に大きく影響するとあって、設計者である龍也氏のこだわりが見られる箇所である。

こだわりのひとつが構造だ。
船側と同じホンジュラス・マホガニーを2層で使う。
1層目は4分厚(約1.2cm)で、2層目は6分厚(約1.8cm)となる。つまり船側とまったく同じ構造をチャインに持たせるわけだ。工程としては1層目のチャインを張り終えたところでボトムの1層目の建造を行い、その後にチャインの2層目、続いてボトムの2層目を張って、トランサムを除く船殻(せんこく)が完成する。
船側と同じホンジュラス・マホガニーを2層で使う。
1層目は4分厚(約1.2cm)で、2層目は6分厚(約1.8cm)となる。つまり船側とまったく同じ構造をチャインに持たせるわけだ。工程としては1層目のチャインを張り終えたところでボトムの1層目の建造を行い、その後にチャインの2層目、続いてボトムの2層目を張って、トランサムを除く船殻(せんこく)が完成する。



今回行われたチャイン1層目の建造は、秘蔵の全長16.5尺(約5m)のホンジュラス・マホガニーを、佐野社長と龍也氏が二人がかりで4分厚に製材するところから始まった。
厚みに関しては設計通りに製材するだけなので、難しいことではない。
問題は幅だ。
すでに完成している船側は、曲線で構成されている。加えて縦通材とフレームがむき出しになっているボトム部分も一見直線的に見えるが、実はチャインとの合わせの部分は曲線で構成されている。4分厚に製材されたマホガニーは、内側となるボトム側と、外側となる船側とでは、まったく違う曲線で伐らなくてはいけないわけだ。
厚みに関しては設計通りに製材するだけなので、難しいことではない。
問題は幅だ。
すでに完成している船側は、曲線で構成されている。加えて縦通材とフレームがむき出しになっているボトム部分も一見直線的に見えるが、実はチャインとの合わせの部分は曲線で構成されている。4分厚に製材されたマホガニーは、内側となるボトム側と、外側となる船側とでは、まったく違う曲線で伐らなくてはいけないわけだ。

龍也氏は、ボトム側の曲線を4分厚の板にトレースして、鋸(のこ)と鉋(かんな)で正確に削り、まずはボトム側を決めた。次に船側の曲線をトレースし、やはり鋸と鉋を使ってピタリと合わせていった。舳(みよし=ステム)との合わせの部分は、鑿(のみ)を巧みに使って船側との面(つら)を合わせる技を見せた。
全長31フィートともなると、チャインは分割して取り付けられる。1層目は4分割となった。いずれも繋ぎの箇所はフレーム合わせ、エポキシ樹脂系接着剤と木ねじで固定された。ちなみにトランサム寄りのチャイン幅は、最大で4寸5分(約14cm)と、かなり幅広に設計されている。
全長31フィートともなると、チャインは分割して取り付けられる。1層目は4分割となった。いずれも繋ぎの箇所はフレーム合わせ、エポキシ樹脂系接着剤と木ねじで固定された。ちなみにトランサム寄りのチャイン幅は、最大で4寸5分(約14cm)と、かなり幅広に設計されている。





エポキシ樹脂系接着剤を使うため、船側にはマスキングテープを貼る。接着したあとは木ねじで固定する。





取材協力:(有)佐野造船所(http://www.sano-shipyard.co.jp/index2.htm)
文・写真:大野晴一郎
文・写真:大野晴一郎