
さて、今回の釣行の話だ。
ホームポートである石垣市の浜崎マリーナを出た大竹艇「シーファイター号」は、一路新城島へ。西表島、黒島を眺めながら1時間弱のクルージングだ。
エンジンは、まだまだ新品のBF225。
以前のBF175と比べると、馬力が大きくなった分スピードが稼げるので、より釣りに時間が使えるようになった。燃費効率も上がったそうだ。
「天候の急変にも逃げ足が速くなって、安全につながりますね」という大竹さんだが、最近ではネットで気象情報が入手可能なので、前線の通過などがありそうな場合は、あらかじめ逃げ込む港を決めておく。あるいは大物を狙える根が石垣島のホームポート近くにも多くあるので、そちらへ戻って来て釣りをする。大竹流釣行ガイドの基本は「安全」。
今回は、安定した天気の中、狙うポイントは新城島のリーフエッジ。
リーフエッジから80mほどのところに停めた船上から、ルアーの大遠投だ。
大竹さんのポッパーと石垣社長のポッパーが、弧を描いて何度も何度もリーフエッジを責める。
ここで大竹さんの操船技術の高さを知った。
潮と風に船を流されながらも、GPSプロッタを見ながら僅かなスロットルワークとステアリングさばきで、決めたポイント上に船をピタッと留まらせる。片手にロッドを握ったままだし、電子アンカーなどのデバイスを使うわけでもない。上手い。
さすがプロのガイドだ。釣りポイントで操船の上手い人の船に乗っていると、気持ちが良いものだ。
しかしその気持ちの良い操船と、気まぐれなGTの釣果とは別物。
GTはグルクン(沖縄の県魚)を釣るのとわけが違って、一日にひとり1本から多くても2本釣れればラッキーだ。ところが大竹さんから、波照間島に遠征釣行したお客さんが3日間で10本揚げたとか、1日に4本釣った人もいるとか聴かされ、それならば釣り運の強いわれわれは、最低でも2本はいけると愚かな期待をしてしまった。
気が付いてみれば、陽が沈み始めたリーフエッジを呆然と眺める自分がいた。そして「6月にまた来ます。そのときにGTを是非」と、大竹さんに耳打ちしていた。






