「ふしぎ」を見に行こう

「ふしぎ」な現象

「天の川」の正体は?
七夕よりよく見える
伝統でんとう的七夕」の日とは!?

七夕はおりひめとひこ星が1年に1回だけ天の川をこえて会えるという伝説のある日。
でも天の川の正体って何だろう? 本当に七夕の日に見えるのかな?
「天の川」の正体は?七夕よりよく見える「伝統的七夕」の日とは!?

天の川写真撮影:飯島 裕

  • 星を見に行く場所ではマナーや安全にも十分注意しましょう。大さわぎしたり、子どもたちだけで行動してはいけません。防犯ぼうはんやクルマの通行、足元にも気をつけましょう。

探検たんけんメンバー

  • 隊員りりか
    ふしぎ探検隊たんけんたいが行くよ!
    隊員りりか
  • 川口 雅也さん
    この人に聞いたよ
    天文雑誌ざっし『星ナビ』編集へんしゅう長の
    川口かわぐち雅也まさやさん

「天の川」にまつわる世界の伝説

  • このあいだ教えてもらったふたご流星ぐん、見たよ。流れ星がたくさん見えた! もうすぐ七夕だし、今度は「天の川」を見てみたいな。
  • 星に興味きょうみがわいてきたみたいだね。
  • うん! それに、おりひめとひこ星のお話も気になっていたの。どうして二人は川の両岸にいて、1年に1回しか会えないの?
  • 2人はもともと一緒いっしょにいたんだけど、遊んでばかりで仕事をしないから、天帝てんてい*おこってはなばなれにしたんだ。でもかわいそうだから1年に1回だけ会わせてあげることにしたみたい。これが中国から日本に伝わった「七夕伝説」といわれるもの。

* 古代の中国では、地上の世界とは別に、天上の世界があると考えられていた。天帝てんていは天上の世界の一番えらい神様。おりひめは天帝てんていむすめ

天の川が舞台ぶたいとなった「七夕伝説」
  • けちー。もっと会わせてあげたらいいのに。
  • まあね。ちなみに昔のギリシャの人は天の川を、「女神ヘラの母乳ぼにゅうが飛び散ったもの*」だと考えていたんだよ。だから天の川は英語で「Milky Wayミルキーウェイ」(ミルクの道)というんだ。

* ギリシャ神話で、神・ゼウスが生まれたばかりの息子・ヘラクレス(後の英雄えいゆう)を不死身にしてやろうと、女神・ヘラ(ゼウスの正妻せいさいでヘラクレスの義母ぎぼ)のている間に母乳ぼにゅうを飲ませたところ、起きてしまったヘラがおどろいてヘラクレスをつきはなしたさいに、母乳ぼにゅうがほとばしって天にミルクの川が作られた……という言い伝えがある。

  • 世界の東西で、全くちがうドラマがあるんだね。
  • 南米大陸にいたインカの人々は、天の川の中の暗い部分をトリやキツネなどの身近な動物の形に見立てていたんだって。
  • 見方が全然ちがっておもしろい!
  • 文化のちがいもあるけれど、そもそも、日本やギリシャのある北半球と、インカ帝国ていこくのあった南半球では、天の川の見え方がかなりちがうんだ。
南半球から見た天の川

撮影:飯島 裕(撮影地:オーストラリア)

  • わぁ、きれい! 真ん中がふくらんだ形をしているね。
  • 一番明るい真ん中の部分は、北半球では地面の近くに見えるから、それがちょうど天から流れてきた川が地上の海に流れこむ河口かこうのように見えたんだろうね。でも南半球から見たほうが、天の川の全体の姿すがたがよくわかるんだよ。
北半球から見た天の川と、南半球から見た天の川
北半球(東京付近)
南半球(南米)

※「ステラナビゲータ11」によるシミュレーション画像

  • 天の川の全体の姿すがたか……。あれ? そもそも天の川って一体なに?
  • 天の川は、ぼくたちのいる銀河ぎんがそのものを見た姿すがたなんだよ。
  • えっ! そうなの!?

「天の川」の正体とは?

  • わたしたちは、天の川の中に住んでいるの?
  • うん。昔の人たちが川やミルク、あるいは雲のようなものだと思っていた「天の川」が、実はとてもたくさんの星の集まりであると発見したのは、あの有名なガリレオ・ガリレイかれは初めて望遠鏡を天の川に向けた人間だと言われているよ。
  • 17世紀のころだね。
  • その後の観測かんそくや研究によって、地球が火星や木星たちと同じように太陽の周りを回っている「惑星わくせい」だということ、その太陽も他の光りかがやく星たちと同じようなありふれた「恒星こうせい」のひとつであること、そして天の川が太陽もふくめた星の大集団しゅうだんのひとつであることがわかった。
  • うわー、すごく大きくて広い話になってきた!
  • ちなみに、天の川は横から見ると真ん中がふくらんだ円盤えんばんのような形をしていて、上から見るとうずまきの形をしているんだ。
天の川銀河ぎんがを横から見た予想図

※「ステラナビゲータ11」によるシミュレーション画像をもとに作成

天の川銀河ぎんがを上から見た予想図

画像提供:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC/Caltech)

天の川銀河ぎんがの直径は約10万光年。太陽けい(太陽を中心とした地球などの天体の集まり)から天の川銀河ぎんがの中心までは約2.8万光年*。中心が棒状ぼうじょうのうずまきは銀河ぎんがの代表的な形。

* 光の速さで1年かかる距離きょり(約9.5兆キロメートル)

  • こうした星の集まりを「銀河ぎんが」といい、地球がぞくしている銀河ぎんがは「天の川銀河ぎんが」または「銀河系ぎんがけい」とよばれているよ。自分たちのいる銀河ぎんが姿すがたを中から見ると川のような帯じょうに見えるんだ。
  • それが天の川だったんだね! 地球は天の川銀河ぎんがのどの辺にあるの?
  • 図の黄色い点のあたりが地球や太陽のある場所だよ。

※NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC/Caltech)の画像をもとに作成

  • ちっちゃ〜い! 宇宙うちゅうには他にも銀河ぎんががあるの?
  • たくさんあるよ。下の画像がぞう宇宙うちゅうの一部をったものだけれど、ここに写っている、まわりがぼんやりと光っているものはほとんど銀河ぎんがだよ。
宇宙うちゅうには銀河ぎんががたくさん!

画像提供:NASA, ESA, and J. Lotz, M. Mountain, A. Koekemoer, and the HFF Team (STScI)

  • うわぁ……。天の川銀河ぎんがはたくさんある銀河ぎんがの中の一つで、その中にあるすごく小さな点が太陽なんだね。だったら他の銀河ぎんがにも、わたしたちのような生き物がいる星はあるのかな?
  • どこかにはいるだろうと考えるほうが自然だよね。他の銀河ぎんがどころか天の川銀河ぎんがだけでも広すぎて、まだわかっていないことがたくさんあるよ。
宇宙うちゅう概念がいねんはこんな風に変わった!
↓↓↓
  1. 流星などの大気中の現象げんしょう
  2. 太陽や惑星わくせい
  3. 近くの恒星こうせい
  4. 天の川の星たちなどの遠くの恒星こうせい
  5. 天の川銀河ぎんがの外にある他の銀河ぎんが

実際じっさい16の間は、外側に行くにつれて飛躍ひやく的に広がっている

昔の人は、すべての天体は自分たちの住んでいる場所から同じ距離きょりにあると考えていた。天文学者たちの研究によって、宇宙うちゅうは広大な奥行おくゆきのある空間で、太陽は無数の星の一つでしかないことがわかった。

用語まとめ

銀河ぎんが

太陽のような恒星こうせいの大集団しゅうだん。英語では「galaxy」(ギリシャ語で「ちち」を意味する言葉が語源ごげん)。

●天の川銀河ぎんが

地球がぞくしている銀河ぎんが。「銀河系ぎんがけい」ともいう。英語では「the Galaxy」(語頭が大文字)または「Milky Way Galaxy」という。

●天の川

地球から見える天の川銀河ぎんが姿すがた。英語では「Milky Way」(ミルクの道)。昔の人は天の川が星の集まりということも知らず、銀河ぎんが概念がいねんもなく、天の川を自分たちがぞくしている銀河ぎんがだとも思っていなかった。

「天の川」はいつ・どこで見られる?

  • 天の川を見ることはできる?
  • 残念ながら町の明かりのせいで、都市部では肉眼にくがんではほぼ見えない。大昔の夜は真っ暗だったから天の川がよく見えて、世界中でさまざまな伝説が生まれたのだろうね。
  • そっかー。町がダメなら、どこに行けば見られるかなぁ?
  • たとえば山の上のほうにある観光地の駐車ちゅうしゃなどがいいかもね。夜間に入れるかは事前に確認かくにんしよう。暗やみに目をならしてから見ることも大事だよ。
  • 流星ぐんのときにも教えてもらったね。星を見るときは街灯やスマホなどの光から目をそらして、最低でも5分、できれば15分以上たってから見るとよく見えるんだよね。
  • うん。あとは近くの天文台に問い合わせてみるのもいいかもしれない。星空観察のイベントをやっていることもあるから。「日本公開天文台協会」のWebサイトに全国の天文台が紹介しょうかいされているよ。

参考:「日本公開天文台協会」のWebサイト

http://www.koukaitenmondai.jp/
  • 意外といろんな場所にあるんだね。
  • 天の川を見たいなら、町中ではない場所の天文台がいいよ。それと、旅行もかねて美しい星空を見に行くなら、思いきってオーストラリアやニュージーランドのある南半球に行ってみたらどうかな。天の川の一番明るいところが高くのぼっているのが見られるからおすすめだよ。
  • おすすめの時期はやっぱり7月7日の七夕の日?
  • 現在げんざいの七夕の日よりも、伝統でんとう的七夕の日(旧暦きゅうれき七月七日)のころのほうが、天の川が夜8時くらいに見やすい高さになるんだ。2019年の伝統でんとう的七夕の日は8月7日。でもその日は月が明るいから、それより少し前の月明かりの少ない(月齢げつれいのわかい)日に見るのがおすすめ。2019年なら7月末から8月頭くらい
伝統でんとう的七夕(旧暦きゅうれき七月七日)はいつ?

明治時代以前までは月の満ち欠けでこよみを数える太陰太陽暦たいいんたいようれき旧暦きゅうれきともいう)が使われており、新月(月齢げつれい0才)の日を月初めの日としていた。国立天文台は、もともと七夕の行事が行なわれていた太陰太陽暦たいいんたいようれきの七月七日を「伝統でんとう的七夕」とよんでいる。

8月1日ごろの東京の南の空

夜9時ごろのようす。天の川はベガ(おりひめ星)とアルタイル(ひこ星)の間に見える。ベガ・アルタイル・デネブは1等星でとても明るく、その3つの星を結んで夏の大三角形という。大阪おおさかでは20分後、福岡ふくおかでは40分後に同様の星空になる。土星と木星は2019年8月1日の位置。

  • その時期だったら夏休みだから、お出かけして見に行けそう!
  • 伝統でんとう的七夕の日は毎年変わるからチェックしてね。それと、天の川は1年中見られることも知っておこう。観測かんそくにちょうどいい時間帯(夜の8時〜10時ごろ)に一番キレイに見えるのが夏、というだけなんだよ。

参考:伝統的七夕の日一覧(国立天文台のWebサイト)

https://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html
  • そうなんだ!?
  • 夏の夜空は、星の多い天の川の中心方向を見ることができるからよく見える。冬の夜空は、天の川のはじの方向を見ることになるから夏ほどハッキリは見えないんだ。
天の川は季節によって見える方向がちがう

北半球の夏…夜に銀河ぎんがの中心方向(明るい天の川)が見える。

北半球の冬…夜に見えるのは銀河ぎんがの中心方向とは反対側(星が少なくて天の川が暗い)。

地球は太陽のまわりを1年かけて回るから、季節によって夜空で見える方向は変わる。

  • 冬に見るのはさらにむずかしいんだね。
  • それでも1年中見えるということは、地球が天の川銀河ぎんがの中にあることがわかるということでもあるよ。
  • そっか! 地球が天の川の中にあると思うと、夜空を見上げるのがますます楽しくなりそう!
川口さんからのメッセージ
  • 新暦の7月7日が梅雨の時期であることも考えると、七夕は太陰太陽暦たいいんたいようれき旧暦きゅうれき)で楽しむと本来の楽しみ方ができるよ。星をよく見たいなら月明かりが少ない日(月齢げつれいがわかい日)、ということも覚えておこう。下記のWebサイトで、月齢げつれいをチェックするといいよ。

・月齢カレンダー(アストアーツのWebサイト)

https://www.astroarts.co.jp/phenomena/moon/moon-calendar.pl
まとめ
  • 星の集まりを「銀河ぎんが」といい、天の川は天の川銀河ぎんがをその中から見た姿すがた
  • 天の川を見るなら伝統でんとう的七夕の日より少し前の月明かりの少ない日(月齢げつれいのわかい日)がベスト。
  • 天の川は街明かりなどがあると見えにくいので、夜空の暗い場所まで行こう。

Profile

川口 雅也

川口かわぐち雅也まさや

天文雑誌『星ナビ』編集長

天文趣味をサポートするソフトウェアやデジタルプラネタリウムの開発、天文雑誌の編集・出版などを手がける株式会社アストロアーツの取締役を務める。
アストロアーツ
https://www.astroarts.co.jp/