「ふしぎ」を見に行こう

「ふしぎ」な現象

流れ星の正体とは?
12月の
「ふたご流星群」を
もっと楽しむ方法

毎年夏と冬に一度ずつ見られる大きな流星群。
流れ星のナゾやたくさん見るコツを解明するよ!

流星写真撮影:中西昭雄

  • 星を見に行く場所ではマナーや安全にも十分注意しましょう。大さわぎしたり、子どもたちだけで行動してはいけません。防犯やクルマの通行、足元にも気をつけましょう。
  • 夜空を長時間見上げると首がいたくなるので、アウトドア用のチェアやベッド、寝袋ねぶくろ、マットなどにそべって見るようにしましょう。
  • 冬の星空観察は寒さ対策たいさくが一番大切です。重ね着をして防寒グッズを用意しましょう。

探検たんけんメンバー

  • 隊員りりか
    ふしぎ探検隊たんけんたいが行くよ!
    隊員りりか
  • 川口 雅也さん
    この人に聞いたよ
    天文雑誌ざっし『星ナビ』編集長の
    川口かわぐち 雅也まさやさん

流星群はいつ見られる?

  • 流星群って流れ星がたくさん見えるんでしょ? いつ見られるの?
  • 流星群とよばれるものはたくさんあるけれど、みんなが「わぁ〜!」と感動するような大きな流星群(1時間に30〜40個くらい出現)を毎年安定して見られるのは、8月のペルセウス流星群12月のふたご流星群だけなんだ。
  • 12月のふたご流星群は寒い時期だけど楽しめるかなぁ?
  • 寒さ対策たいさくをしっかり行えば、冬のすみきった夜空に光る星はとてもキレイで良いものだよ。
  • そうなんだね! でも、どうして毎年決まった時期にふたごやペルセウスから星が流れてくるの? ほかの星座せいざからは流れて来ないの?
  • 流星群って星座せいざから星が流れてくるわけじゃないんだよ。
  • え!
  • ペルセウスやふたごの方向から流れてくるように見えるから、その名前がついているだけなんだ。
ふたごの一点から星が流れてくるように見えるから
「ふたご流星群」というだけ

※天文シミュレーションソフト ステラナビゲータ10で作成

  • 星座せいざは関係ないの!?
  • うん。それらの星は地球から何十・何百光年*もはなれた遠い場所にあるけれど、流星群はわずか上空100kmくらいの、地球の大気で起きている現象なんだよ。 * 光年:光の速さで1年かかる距離きょり(約9.5兆km)
  • ええー! 宇宙うちゅうのかなたで光る星を見ているのかと思ってた! じゃあ、流星群の流れ星の正体って何?
  • かんたんに言えば砂粒すなつぶ
  • えぇっ? 砂粒すなつぶ…?
  • いや、すい星の落とし物と言うべきかな?

流星群はすい星の落とし物? 意外と知らない「流れ星」の正体

1流れ星の正体とは?

  • すい星の落とし物ってどういうこと!?
  • すい星はを引いているから「ほうき星」ともいうけれど、その本体は雪や氷に砂粒すなつぶやチリがまじったものなんだ。
  • どろまじりの雪だるまみたいなもの?
  • そうそう。すい星は直径が5〜10kmくらいで、太陽のまわりをだ円状に回っている。ところが氷のかたまりだから、太陽に近づくと熱でとけて中から砂粒すなつぶやガスがふき出てしまう。それがすい星の「」として見えるんだ。ふき出た砂粒すなつぶは、そのまますい星の軌道きどう上をぐるぐる回り続けるんだよ。
  • それが、すい星の落とし物?
  • そう。そして地球も太陽のまわりを回っているよね。流星群はすい星からふき出た砂粒すなつぶやチリの流れの中を地球が通るときに起こる現象なんだ。
すい星の軌道きどうに地球がぶつかったときに流星群が見られる

すい星の本体がどこにあろうと、地球がすい星の軌道にぶつかったときに流星群が見られる。

  • そっか! 地球は1年をかけて太陽のまわりをまわるから、毎年決まった時期に流星群が見られるんだね。
  • その通り! これらのすい星は流星群の母天体ぼてんたいともいうよ。ふたご流星群の母天体は「ファエトン」という小惑星しょうわくせい。表面がカラカラに固まってを引いていないから、「小惑星しょうわくせい」として発見されたけど、かつてはすい星だったと考えられているんだ。
すい星の軌道きどう砂粒すなつぶやチリの流れ)の断面イメージ

砂粒すなつぶ(=流れ星のもと)は中央にいくほど密集みっしゅうしている。地球はここを何日かかけて通っていくから、ピークの日を境に見られる流れ星の数が変わる。

2流れ星が光るワケとは?

  • 流れ星のもとって砂粒すなつぶだったんだー。
  • そういうこと。大きくても数ミリくらいの砂粒すなつぶなんだ。すい星は、46億年前に太陽けいが生まれたころにできたと言われている。そして何十年、何百年、ときには何万年も前にすい星からふき出た砂粒すなつぶが、地球とたまたまぶつかって最後に燃えつきる瞬間しゅんかんをぼくたちは見ているんだよ。
  • あ、そう考えるとロマンチック! でも、どうして砂粒すなつぶが光るの?
  • 砂粒すなつぶはすごい速さ(秒速20〜70km)で地球の大気にぶつかる。すると砂粒すなつぶの前にある空気が急激きゅうげき圧縮あっしゅくされて高温・高圧になる。それによって大気がプラズマ化して光を発するんだ。
  • むずかしい!
  • そうだよね。この絵を見てイメージしてもらえるといいかな。砂粒すなつぶからしてみれば、もうスピードで走っているときにいきなりかべにぶつかるような衝撃しょうげきを受けるんだ。
砂粒すなつぶが地球の大気に突入とつにゅうしたときに起こるプラズマ発光のイメージ
  • その衝撃しょうげき砂粒すなつぶが光るんだね。
  • 砂粒すなつぶ本体だけじゃなく、砂粒すなつぶのまわりの大気にもエネルギーが伝わる。ぼくたちが流れ星だと思って見ているのは、ちょう高温・ちょう高圧になった砂粒すなつぶとそのまわりの大気」が光っているものと考えられるんだ。

3流れ星はどこに落ちる?

  • 流れ星ってどこに落ちているのかなぁ?
  • 小さな砂粒すなつぶだから落ちる前になくなっちゃうよ。
  • そうなの? 流れ星をひろうのが夢だったんだけどなー。
  • ひろえるくらいの大きな石が地球にぶつかるときは、「大火球かきゅうと言って、昼間でも全国各地で目撃もくげき情報が出るくらい、すごく明るい流星が見えるんだ。
  • それって隕石いんせきのこと? 大事件になっちゃうね!
  • 地上に落ちれば隕石いんせきとよばれるね。流れ星のもとはすい星だったけど、隕石いんせきのもとは小惑星しょうわくせいのカケラだから、もともとでき方がちがうんだ。
  • 宇宙うちゅうってふしぎなことがいっぱいあるんだね。あともうひとつ質問! 流れ星が流れている間に3回願い事をとなえたらかなうって言われているけど、そんな時間あるのかなぁ?
  • 流れ星は1秒くらいで消えちゃうから、短い言葉にしないとむずかしいかも。「世界平和! 世界平和! 世界平和!」とか。
  • かんじゃいそう…。
  • まあ、今、流星群を見ているこのときこそが夢がかなったような幸せな時間なわけだから、その時をめいっぱい楽しもうよ。
  • そうだね! みんなで楽しみたいな!

流星写真撮影:中西昭雄

流星群はいつ・どこで・どんな風に見るのがベスト?

  • Q流星群はいつ見ればいい?
  • Aピークの日時は毎年変わるから調べておこう
  • ペルセウス流星群は8月、ふたご流星群は12月で、どちらも2〜3夜連続で見られることが多いけれど、ピークの日時は毎年変わるから都度調べよう。

2018年の「ふたご流星群」のピーク

2018年のふたご流星群は月明かりが弱くて星がキレイに見える。さらに日本でのピークは12月14日(金)の夜9時ごろという当たり年。夜8時くらいには観察する場所に着くといいよ。当日の月没げつぼつは東京で22時39分だから、月がしずむのも見てみよう。
  • Q流星群はどこで見ればいい?
  • A明かりが少なく見晴らしのいい場所へ行こう
  • 住たく地でも1時間に5個ぐらいは見えるけれど、街の明かりがジャマをして見られる数は少なくなる。満天の星(1時間に30〜40個くらいの流れ星)を楽しみたいなら、明かりが少なく見晴らしのいい場所へ行こう。
    理想は山の中腹ちゅうふくにあるような見晴らしのいい駐車場ちゅうしゃじょう海岸ぞいなど。遠くに行けないなら、大きな川の河川敷かせんじきに下りて空を見上げるのもおすすめ。堤防ていぼうのおかげで街の明かりが目に入りにくくて星がよく見えるよ。
山の駐車場ちゅうしゃじょう・海ぞい・川べりなどがおすすめ
  • Q流星群を見るときにあるといいグッズは?
  • Aそべって見られるグッズがあるとラク。冬は防寒グッズが必須ひっす
  • 夜空を長時間見上げていると首がつかれていたくなるのでそべって見るためのグッズがあるといいよ。アウトドア用のチェアやベッド、寝袋ねぶくろなどがあると便利。流星群は肉眼で見たほうが楽しめるから望遠鏡はいらないよ。冬は寒さ対策たいさくもしっかりと。重ね着をして毛布やダウンケット、ぼうし、手袋てぶくろ、マフラー、温かい飲み物なども用意しよう。
星空に集中できるよう、そべりグッズや防寒グッズを準備しよう
  • Qたくさんの流れ星を見るコツは?
  • A「暗やみに目を慣らす」「空全体を見わたす」「1時間は見続ける」
暗やみに目を慣らす

暗やみに目が慣れるまで15分ほどかかると言われているから(最低でも5分)、星空観察を始める15分前には照明を消したり、スマホなどの画面を見ないようにしよう。街灯などからは目をそらすようにして見よう。

空全体を見わたす

ふたごのほうを見る必要はないよ。むしろ天文ファンの間では、ふたごと反対側の空の中ほどを見たほうが多くの流れ星を見られるという意見も多い。まぁ細かいことは気にしないで、空全体を広く見わたせばOK

ふたごの方向を気にせず空全体を見よう
ふたごの放射点の近くでは短めの流星が、放射点ほうしゃてんから遠くなると長い流星が見える傾向けいこうがある。どこを見るかはお好みで。
1時間は見続ける

1〜2分じゃ目も慣れないし、次から次へと流れるわけじゃないから、できれば1時間くらいは見てほしい。天文ファンは一晩中ひとばんじゅう見ちゃうよ。もちろん寒さがきびしい場合は無理しないで。

川口さんからのメッセージ
  • 流星群の正体に関する研究が進んだのはここ50年くらいのこと。意外と最近のことなんだ。宇宙うちゅうは広くてナゾがたくさん。空を見上げて疑問ぎもんに思ったことがあれば、調べてみたり、プラネタリウムや博物館に出かけて質問してみよう。
まとめ
  • 毎年安定して見られる大きな流星群は8月のペルセウス流星群と12月のふたご流星群。
  • 流星群はすい星からふき出した砂粒すなつぶの流れに地球がぶつかったときに起こる現象。
  • 砂粒すなつぶが地球の大気にぶつかったときに高圧・高温になることで光るプラズマ現象が流れ星の正体。

Profile

川口 雅也

川口かわぐち 雅也まさや

天文雑誌『星ナビ』編集長

天文趣味をサポートするソフトウェアやデジタルプラネタリウムの開発、天文雑誌の編集・出版などを手がける株式会社アストロアーツの取締役を務める。
アストロアーツ
http://www.astroarts.co.jp/