マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識弾道測定器の数値はココに注目!
上達に必要なデータの見方

2021.10.07

プロの世界ではデータを参照しながら練習するスタイルが当たり前になっています。高価な測定器を導入して弾道やクラブの挙動を数値で把握し、これらをより良い数値に引き上げていくことでスイングを改善しようという試みです。
最近では小型で簡単に持ち運びできる計測器も登場するなど、データを活用しながらの練習はアマチュアにも広がりつつあります。そこで今回はレッスンの現場でよく使われる基本的なデータについて解説しようと思います。

弾道に関するデータ

ボール初速を上げることが
飛距離に直結します

まず弾道に関するデータですが、「ボール初速」「打ち出し角度」「スピン量」が「飛びの3要素」と言われ、飛距離アップの目安となります。これらの数理を理想的に組み合わせることで最大飛距離を実現できますが、最も重要なのはボール初速です。

飛びの3要素

●ボール初速(BALL SPEED)インパクト直後のボールの速度で、速ければ速いほど遠くに飛ばせるポテンシャルがあるという証拠。PGAツアーの中心選手はドライバーのボール初速が75~76m/sぐらいでキャリー300ヤード近く飛ばしてくる。アマチュアの場合、男子で70m/s、女子で60m/s以上あれば十分飛ばし屋といえる。

●打ち出し角度(LAUNCH ANGLE)地面に対してボールが打ち出された角度のこと。以前は15度がドライバーの理想的な打ち出し角度と言われたが、最近では打ち出しを高くして距離を稼ぐ選手も増えている。

●スピン量(SPIN RATE)インパクト直後のボールの回転数で数値が多ければボールは高く舞い上がり、少ないと地面に早く着地する。ドライバーでは毎分2000~3000回転に納まっていれば距離をロスすることはないが、4000回転以上あるようだとインパクトの改善が必要。アイアンでは番手×1000回転が適正弾道の目安となるが、ロフトが立っている飛び系のアイアンでは番手×1000回転×0.8ぐらいでOK。

球が曲がるようならボールの回転軸(SPIN AXIS)に注目します。数値がプラスならフック回転、マイナスならスライス回転がかかっているということ。「軸が倒れた方向に曲がる」と覚えておきましょう。


スピンアクシス
(SPIN AXIS)

ボールの回転軸(SPIN AXIS)が何度倒れているかを示す数値で0度なら、ボールはまっすぐ飛ぶ。左に倒れれば数値はプラスになり、このときボールにはフック回転がかかって左に曲がる。逆に右に倒れればマイナス数値で、ボールにはスライス回転がかかって右に曲がる。

スマッシュファクター1.50を目指そう

昔から飛距離のポテンシャルはいわゆる「ヘッドスピード」で語られてきましたが、欧米では「クラブスピード」といいます。「ヘッドスピード」自慢のゴルファーは少なくありませんが、いくらクラブヘッドを速く振れてもエネルギーがボールに伝わらなければ意味がありません。マン振りするのは構いませんが、つねにインパクト効率を示すスマッシュファクターの数値を意識し、最低でも1.45以上をキープすることが大切です。

●クラブスピード(CLUB SPEED)インパクト直前のクラブヘッドの速度で、飛距離の潜在的なポテンシャルを表す数値として使われる。男性アマチュアは45m/s以上、女性アマチュアは40m/s以上あれば飛ばし屋の素質あり。

●スマッシュファクター(SMASH FACTOR)ボール初速をクラブスピードで割った数値で、インパクトの質を表す。数値が高ければクラブのエネルギーがボールに無駄なく伝わった証拠で、1.50が「最高効率」として理想的といわれる。1.45以上ならまずまずだが、それ以下だとエネルギーをロスしているのでインパクトの改善が必要。

クラブの挙動に関するデータ

上手くなりたいなら
フェースアングルの数値を要チェック!

高性能な弾道測定器ではクラブの挙動を解析できます。アイアンはしっかりダウンブローに打てているか、逆にドライバーはアッパー軌道でとらえられているかをチェックしましょう。

プッシュアウトやひっかけが出るようなら、クラブパスが大きなプラス数値(インサイドアウト)になっていることが考えられます。スライスするようなら、マイナス数値(アウトサイドイン)が大きくなっているはずです。
また、ここではフェースアングルが重要で、上手い人は限りなく0に近いという現実があります。インパクトでフェースがスクエアになっているかにも注目しましょう。フェースアングルが0に近づけばスマッシュファクターも上がります。


アタックアングル
(ATTACK ANGLE)

クラブヘッドがボールにアタックするときの角度で、0度ならレベルブロー、マイナスならダウンブローに打っているということになる。アイアンでプラスの数値(アッパーブロー)だといわゆる「すくい打ち」なので改善が必要なのに対し、ドライバーの場合はプラスの数値が必須となる。


ダイナミックロフト
(DYNAMIC LOFT)

インパクトの瞬間のリアルロフトのこと。たとえばロフト35度の7番アイアンは35度でインパクトするわけではなく、ダウンブローにとらえるので実際にはダイナミックロフトが30度以下になる。


クラブパス
(CLUB PATH)

インパクトにおけるクラブの軌道で、インサイドアウトやアウトサイドインの度合いを示す数値。0度がスクエアでプラスがインサイドアウト、マイナスがアウトサイドイン。


フェースアングル
(FACE ANGLE)

インパクトの瞬間のクラブフェースの向きで、上手い選手はこの数値が0に近い。プラスは右向きでマイナスは左向き。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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