マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識5番ウッドとユーティリティ、
どちらが簡単?違いと購入のポイント

2021.06.10

高さが欲しいなら5番ウッド、
ラインを出すならユーティリティ

キャディバッグの中に5番ウッドを入れるかユーティリティクラブを入れるかは悩ましいところです。ドライバーが苦手な人はもれなくフェアウェイウッドも苦手なのでユーティリティをチョイスしがちですが、果たしてそれでいいのか、というのが今回の話。

アイアンでは届かない距離をユーティリティクラブで処理できていれば問題ありませんが、そううまくいっていないのではないでしょうか。何となく「打てている」つもりになっているユーティリティクラブですが、よくよく考えてみるとショートしたり曲げてしまう場合が多かったというのは珍しいことではないのです。

そもそもフェアウェイウッドとユーティリティクラブはどう違うのかというと、ヘッドの形状とクラブ自体の長さが違います。

フェアウェイウッドのヘッドはドライバーをそのまま小型化したような形なのに対し、ユーティリティクラブはアイアンのバックフェースに肉付けしたような形です。長さはフェアウェイウッドのほうが長く、そのため同じロフトだとフェアウェイウッドのほうが飛びます。5番ウッドのロフトは18度前後ですが、ユーティリティクラブで同じ距離を飛ばしたいなら、マイナス2度前後のロフトが必要になってきます。ここがわかっていないと購入の際に間違ってしまうのでしっかり認識していてください。

実際に打つとどういう違いがあるのかというと、5番ウッドは球が上がりやすく、ユーティリティクラブはそうでもありません。5番ウッドのほうがバックスピンが多くなりますし、そもそもロフトが違うので、同じ距離を狙うなら5番ウッドのほうが高弾道になるのです。高さが欲しいなら5番ウッド、ラインを出すならユーティリティというのが一般的な分類です。
また5番ウッドは基本的につかまりやすく、ユーティリティクラブはひっかけにくいという特性があります。このことから5番ウッドは左へのミスが多く、ユーティリティクラブは右へのミスが多いという事実を経験豊富なゴルファーならよくご存じだと思います。

それぞれのクラブの特徴

5番ウッド

長いぶん難しく感じるかもしれないが、スイートスポットが広く球が上がりやすいので意外にやさしいクラブ。つかまりがいいのでスライサーは積極的に使ったほうがいいかもしれない。5番が難しければ7番ウッドもおすすめ。


ウッド型UT

構えたときの安心感は何物にも代えがたいが、重心距離が長いので振り遅れると大きなミスになることもある。ひっかけが出にくい設計になっているものが多いので、スライサーはモデルやシャフトをよく選んだほうがいい。


アイアン型UT

上級者が強い球をやさしく打つために設計されたクラブなので、ロングアイアンを打てないゴルファーは手を出さないほうが無難。


どういう200ヤード前後を打ちたいかが
購入のポイント

ではどちらを選べばよいかですが、たとえばホームコースがバンカーだらけで、200ヤード超のパー3を高弾道のキャリーボールで打っていきたいような場合は5番ウッドがおすすめですし、チーピン持ちで200ヤード確実に前進できるクラブが欲しいならユーティリティというチョイスになるでしょう。どういう200ヤード前後を打ちたいかが購入のポイントになってきます。

ユーティリティクラブにはウッド型とアイアン型がありますが、ウッド側はつかまりがよく、アイアン型はひっかかりにくくできているのが通常です。
ですからフェアウェイウッドは打てる気がしない、でも球筋は基本スライスで右へのミスが怖いという場合はウッド型を、それなりのキャリアと実力があって「間違ってもひっかけたくない」「風に負けない強い球を打ちたい」という場合はアイアン型を選びましょう。ただし、アイアン型は球がふけ上がらないように設計されているのを忘れずに。現実的には、ドライバーのヘッドスピードが42~3m/sぐらいのパワーがないと使いこなせないかもしれません。


弾道イメージ

5番ウッド

スピン量が多く弾道が高いので、落ちてからのランは少なめ。正しく打てればキャリーボールでバンカー超えのピンを狙える。


ウッド型UT

フェアウェイウッドよりスピン量は少なめで弾道も低く、アベレージゴルファーが使う場合はランを計算したい。


アイアン型UT

基本的には前に飛ぶ強い球になるので、風がある状況や確実にボールを運びたい場合に使う。ヘッドスピードが足りないと距離が全く出ないので注意。

このように、ある程度のレベルになれば用途で選ぶべきですが、初心者から中級までのゴルファーが知っておくべきなのは、簡単なのは5番ウッドだということです。

確かにユーティリティクラブは構えたときの安心感が抜群ですし、ソールが大きいのでフェアウェイバンカーでも使えますが、ぶつけにいくと思わぬミスになることがあります。重心距離が長いぶん、振り遅れるとフェースが開いて右に飛んでしまいますし、十分な距離が出なかったりすることもありがちです。
その点5番ウッドは重心距離が短く、フェースが返りやすいので、フェースでとらえさえすればそれなりの距離は出てくれます。ですから5番ウッドで練習を積んで打てるようにするのも、ある意味ゴルフ上達の近道と言えるでしょう。ポイントは打ち急がずしっかりと振り切ること。球が上がりやすいクラブなので、あおり打ちの癖が直るかもしれませんよ!

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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