ヤマトイワナ
分類
サケ目サケ科イワナ属
学名
Salvelinus leucomaenis japonicus
別名
イモナ、イモウオ
分布
神奈川県相模川以西の本州太平洋側、琵琶湖流入河川、紀伊半島に分布。
大きさ
35cm以上に達する。
釣期
各河川を管理する漁協が定める解禁期間に準じる。解禁期間は3~9月が多いが、釣行の際には事前確認をすること。
棲んでいる場所
夏の最高水温が13~15℃の河川最上流部の冷水域に棲む。
生活史
産卵期は10月中旬~11月中旬。雌は径30~50cmの産卵床を掘り、ペアで産卵する。産卵場所は、他のイワナ類が好んで利用する開けた淵尻のみならず、淵の両側の巻き返し部、大岩の際や安定した倒木の下などの閉鎖的な場所も利用する。卵は直径5~6mmの黄色く粘性の低い沈性卵で、一つの産卵床に数10~100粒ほどを産む。受精卵は真冬にふ化するが、仔魚は砂礫の下にとどまり、雪解けの終わり頃に泳ぎだす。稚魚ははじめ岸よりにおり、7~10cmになる夏以降に開けた場所に泳ぎだす。1年で10~15cm、2年で13~20cm、3年で15~30cmに成長し、雌雄とも多くが満3歳直前の2歳魚で成熟する。同じ場所に棲むヤマメと比較すると成長が遅く、同サイズになるのに1年余分にかかる。日中は岩下などにひそむが、夕マヅメには淵内を回遊したり定位して盛んに流下動物や落下動物を食べる。
特徴
イワナの日本固有亜種で、イワナは本亜種のほかアメマス(S. leucomaenis leucomaenis)、ニッコウイワナ(S. leucomaenis pluvius)、ゴギ(S. leucomaenis imbrius)の4亜種とするのが一般的。本亜種は、体に瞳孔径の50%以上に達する大きな有色斑をもつことで、ニッコウイワナとゴギを除く他のイワナ属魚類と区別できる。さらに、体側に白斑が全くないかあってもごくわずかなこと、体側により小型で紅色の小斑が散らばることでそれら2亜種と見分けることができる。ニッコウイワナの人為放流により交雑が進み、絶滅の危機に瀕している。2011年までの木曽川水系110支流のうち、純系の本亜種が生息していたのは4支流のみという悲しむべき調査結果がある。現在はさらに厳しい状況にあると思われ、最も深刻な国内外来種問題のひとつである。
主な釣り方
釣り方はエサ釣りとテンカラまたはルアー釣りに大別される。いずれにしてもこの魚に出会うためには、車止めから何時間も歩いたり山中泊をするなど、困難なアプローチを覚悟しなければならない。そして釣りの技術とともに、魚止めの滝や堰堤を高巻きして源頭部まで上り詰める高度な遡行技術が必要である。ルアー・フライロッドは遡行の邪魔にならないコンパクトタイプを携行する。エサ釣りは川虫やミミズを使うミャク釣りで、ルアー釣りは小型スピニングリールに道糸6ポンドを巻き、シンキングミノーを中心にフローティングミノーやスプーンを使い分ける。和式毛バリを使うテンカラ釣りは道具立てがシンプルで趣があって面白い。魚はスレていないことが多いのでタックルに凝る必要はなく、魚に出会えれば釣れる可能性は高い。
美味しい食べ方
ニッコウイワナとの交雑が進んだ現在では希少な魚であり、キャッチ&リリースが基本。しかし、古くから山間部において貴重な蛋白源として様々に利用されてきており、その独特な野趣を経験として味わうのはいいだろう。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。